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なまはげと私


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記事:高橋和雪 (ライティング・ゼミ)

「泣く子はいねぇが、悪い子いねぇが!」

赤い顔のなまはげと、青い顔のなまはげが各家を訪れる。
そして、子供に近づき、迫力のある顔を近づけて怖がらせ、悪いことをさせないようにする。

なまはげは、ざっくり言うとこんな感じの秋田県の伝統行事である。
私は秋田県の出身、子供のころからなまはげには馴染みがあった。

 

秋田県の男鹿市と言う場所が発祥地である。
行事は大みそかに行われるが、秋田県では、なまはげはイベントやCMなどに1年中登場する。

 

どれくらい秋田県でメジャーかと言うと、例えば秋田新幹線。
名前は「こまち」であるが、当初候補名の一つに「なまはげ」があった。新幹線の名前の投票が行われ得票数が上位であったが、残念ながら採用されなかった。
個人的にはなまはげにならなくてよかったと思っている。
車内アナウンスで、

「本日は、なまはげ3号にご乗車いただきありがとうございます」

というアナウンスが流れたら、コーヒーを拭く自信がある。

また、最近の秋田新幹線は赤い色のバージョンも運転されている。この赤色はなまはげをモチーフにしたようである。

他にも、秋田駅では駅中に、なまはげの赤と緑のお面が飾られている。
電車だけでなく、秋田空港を下りるとなまはげの像がお出迎えしてくれる。

 

まだある。
なまはげは全然関係ないのに、稲刈り機や車のCMに採用されていたり、都内で見る秋田県への観光ポスターには、大体なまはげが登場していたりする。

 

そう、なまはげは秋田県から切り離せない大切な要素である。

 

少し考えてみてほしい。

秋田県と聞いてあなたは何を思い浮かべるだろうか。

 

美人が多い、米がおいしい、日本酒がおいしい、温泉、きりたんぽ。

秋田県から遠く、秋田県がどこにあるのかわからない山陰や九州地方の人でも、どれかは出てくるのではと思う、というか出てきてくれると秋田県民としては嬉しい。

でも、美人以上に秋田県と聞いてでてくる単語は、「なまはげ」である。

もう、何年も前の話、東京に秋田から上京した時に、全国的にも意外と知名度が高いことが分かりカルチャーショックを受けた。

実際に、都内の居酒屋にも、秋田の名産となまはげをセットにしたお店がある。
しかも、時間が来ると各部屋になまはげが登場して人を驚かせてくれるとか。
どんなお店だろうか、一度訪れてみたい。

 

ある時は、インターネットでなまはげの求人広告が話題となった。
車の運転ができることとExcelができること、が要件だったのだが、それが面白かったらしく、バズっていた。
Excelで何を管理するの、とよく質問されたのだが、こちらが聞きたい。
泣かせた子供の数でもカウントするのだろうか。

なまはげについて、個人的な思い出はいくつもある。
残念ながら、なまはげに泣かされたことはない。

発祥地生まれの女友達は、3歳のころに思いっきり泣いたという話をしてくれた。

なまはげが家に来た時に、押し入れに隠れたそうだ。
そして、親に密告され、とても怖くて大泣きしたそうな。

そんな彼女も今は2歳児の母親。
先日会った時には、

「絶対泣かす!!」

と意気込んでいた。
彼女の息子がトラウマにならないことを願うばかりである。

 

自分自身の一番初めの思い出は、小学校高学年の時。
ある雪の積もった日のことである。
なまはげが小学校にやってきた。

この年代になると、なまはげを見たところで怖がるような子供はいない。
そして、小学校高学年ともなると、イタズラしたいお年頃である。

10人くらいで徒党を組んで、なまはげに雪玉を一斉射撃した。

もちろん、なまはげは逃げる。
一緒に投げていた自分が言うのも変であるが、かわいそうである。

 

他に思い出すのは、数年前の正月のこと。
秋田駅前をなまはげが歩いていた。

唐突な出現ではあるが、ディズニーランドを歩いていて、ミッキーと遭遇したら驚くだろうか。
このことをイメージしていただければわかりやすい。
秋田県では当たり前のことである。

さすがに四六時中いるわけではないが、正月や祝い事の時は、大体どこにでもいる。
ある時はスーパーで太鼓をたたきながら踊り、ある時は駅ナカで女子高生と一緒に写真を撮る。
きっと、その後女子高生のツイッターには

「なまはげなう」

と、写真付きで投稿されたに違いない。
それこそミッキーと変わらない。

 

自分自身がなまはげになったこともある。
と言っても、本格的な衣装を着たわけではなくお面をかぶっただけだが。

数年前のある日、友人から、

「別の友人の誕生日サプライズをするから、なまはげの格好してくれない?」

と言われた。
唐突すぎて呆然としたが、よく話を聞くと、物陰に隠れて、

「悪い子いねぇが!」

と言いながら、誕生日の友人を驚かせつつ、ケーキを渡してほしいとのこと。
その友人が(良い意味で)悪巧みをすることで有名だったので、なまはげを思いついたらしい。
自分が秋田県出身という理由だけでお願いされたが、面白そうだったので快諾をした。

なまはげは、両手に包丁と桶を持っているのが伝統的な恰好である。
それが、ケーキナイフとサプライズ用ケーキになった。
ずいぶんと親しみやすいなまはげだと思ってしまった。

 

サプライズイベントの日、始まってしばらくしてから、トイレに行くといって席を外した。
そして、物陰に行き、友人がネットで購入したなまはげのお面を取り付ける。

 

右手にケーキナイフ(危ないのでカバーはつけたまま)、左手にサプライズ用ケーキ(危ないので箱ごと)を持って誕生日の友人の後ろからこっそり登場。

ばれないように近づき、大声で

「悪い子いねぇが!」

と叫ぶ。

 

友人はビクッとなって後ろを見る。

その時にみんなでクラッカーを鳴らす。

「サプラーイズ!」

友人は茫然としていた。
おそらく、色んな意味で。

「なんで、なまはげ?」

と思ったに違いない。
なまはげである必要性は皆無である。

だが、なまはげの本来の役割である、

「驚かせる」

ということがうまくいったと思う。
場の流れ的にもよかったようで安心をした。

 

 

なまはげは、本来は子供を驚かせる存在である。
だが、それだけではない。
色々な意味で、なまはげは秋田には欠かせない要素となっている。
依存と言っても過言ではない。

 

キャラクターでいうならば、熊本県で言うくまモンのような立ち位置。

芸人で言うならば、ダチョウ倶楽部のU氏が

「押すなよ、絶対に押すなよ!」

と言ったら押すのが普通であるかのように、秋田県と言えばなまはげなのである。

 

最初の方にも書いたが、秋田県には他にも魅力はある。

お米や日本酒がおいしいし、乳頭温泉などの良い温泉もある。
きりたんぽ鍋は秋田県のソウルフードと言える程おいしい。
美人も多いような気もする。秋田県は色白の人がたくさんいるので、その影響もあるのではないだろうか。

 

でも、秋田県といえばやはりなまはげである。
驚かせてくれるものとして、安定のネタとして、秋田県に存在し続けてくれる。

 

秋田県を離れて10数年、東京に長く住んでいて恋しくなる時もあるが、なまはげをポスターで見かける度に、秋田県を思い出させてくれる。

 

***
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2016-07-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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