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32歳独身女だってまだ涙は枯れてないっつの。

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記事:弥恵さま(ライティング・ゼミ)

32歳。20代前半までは、自分がこの歳まで結婚していないとは思っていなかったし、これぐらいの歳には子供が二人いる予定だった。あくまで予定。だがしかし、現実は未だ、独身未婚彼氏無し。

32歳。男からすると、「付き合ってしまえば、結婚しなくちゃいけない」というプレッシャーをひしひしと感じるらしい。だから、簡単にお付き合いできない……と。それならば、25歳ぐらいの、まだ何も考えていない女性がいいと。

32歳。実は既婚者にモテる年齢でもある。20代だと、奥さんと離婚してくれだの責任とってくれだの面倒くさいらしい。それが、32歳未婚となると、ある程度大人の恋も経験してしまい、それでも結婚せず、仕事でもそれなりの肩書がつきだす女性達。男ばかりにかまけておらず、所謂かまってちょな「かまちょ女」は卒業している。嫁がおろうが、週末会えないだろうがそんなことで、グダグダ言わなさそう……な年齢らしい。なんて自己中な解釈……。

先日、20代前半の女性と話す機会があった。彼女の周りは第一次結婚ブーム。周りの友人達がどんどん結婚していくので、置いていかれるのではないかと焦っていると嘆く。
おいおい、それを32歳独身の私に言うかね? 

「だって、もう弥恵さん涙も枯れちゃったでしょ? 結婚なんか諦めてるでしょ? だっていかにも一人で生きていけそうですもん! でも私は結婚したいんです!」

いや、だから、フォローするのか、けなすのかどっちかにして欲しいんだが……。
32歳独身でも涙は枯れないっつの。
私だって未だに泣く。寂しい時はあるし、抱きしめて欲しい時だってある。それでも、今一人で生きているのは、結局人生に妥協できなかったからだ。全く恋をしていない訳ではないし、今年の夏だって、夏のせいにして恋をしようという気持ちだけはボルテージを上げてきている。そろそろギアチェンしてみるかって汗ばんでいるのは、気温だけのせいじゃない。

もちろん、これまでの人生で「結婚」の2文字が全く出なかった訳ではない。この人となら結婚しようと思えた人もいたし、子供が欲しいとは思っている。それでも、結婚しなかったのは、やはり仕事だった。仕事の事を考えると、まだ結婚なんかしたくないと思った。結婚して子供でもできてしまったら、私が上ってきた梯子は、そこで途切れてしまうという恐怖があった。
ならば、もう少しだけ。もう少しだけ、働かせて欲しかった。

彼は仕事を辞めろという人ではなかったし、結婚しても仕事は続けていいと言ってくれた。その頃から同棲を始めてみたのだが、やはり彼は私の働き方を受け入れる事は出来なかった。
下手すると、彼より帰りが遅くなる。晩御飯を作って、彼の帰りを待つなんてこと出来ない。そんな私の生活スタイルに、彼は結婚を考え直した。それじゃ、子供ができて、育休が明けた後はどうするんだとも言われた。

あぁ、そうなのだ。
分かっている。子供は欲しい。
可愛い姪っ子の姿も見てきた。1歳なんてまだ卒乳出来てないじゃないか。母親の姿が見えなくなると、不安で泣き出してしまう。そんな子供を置いて、フルタイムで働きに出るなんて、そんな自信私にはなかったのだ。
子供ができてしまえば、私はもう仕事に戻れない気がしていた。あんな可愛い子供を置いて、フルタイムなんて無理。ならば時短勤務で働けば良い。
その代り、同期の男性がどんどん階段を上がっていくお尻を見ながら、私はゆっくりと上っていくしかないのだろうと思った。
35歳ぐらいまで、子供は待てないかとお願いした。でも、それは彼が求めていた「幸せな家庭」ではなかった。恐らく私が彼に、私の人生を応援して欲しいように、彼も同じことを私に思っていた。彼は彼なりに会社の中で出世していくであろうし、そうなれば尚更、家庭の事は奥さんにみていてほしい。うん、分かる。すごく分かる。
だって、私は意外と母性があるし、意外と昭和な女だったりする。女はそうすべきだと思っている自分もいる。
キャリアも積みたい、でも昭和の女でいるべきだとも思う私。当時の私はキャリアを選んだ。

「戻っちゃえばいいじゃないですか!」
「え? 元カレに?」
「だって好きだったんでしょ? その人の事」
「いやー、もう結婚してるんじゃないの? してないとしても、んな簡単に戻れんやろー」
「えー。じゃあ、次行きましょ! 次つぎ! とりあえず、恋しましょ! あっ、相席居酒屋行きましょ一緒に!」

マジか……。涙が枯れてそうと表した女を、相席居酒屋に連れていくのか……。
そうかそうか。
それなら、私の為にお金を払ってくれる男性を、全力でおもてなししようじゃないか一緒に……。

20代っていいな……。
なんかこう、インスタントラーメンでも作るように、恋が出来る。「熱湯入れて3分」ばりに、恋に落ちることができる。いや、むしろ私も10代20代の頃は、10秒で恋に落ちていた気がする。
それに、元カレに戻るのだって、なんかこう「電子レンジでチン」レベル。すぐに、温めなおすことが出来るらしい。
32歳の私は、味噌でも作るように、米麹から作ろうとしているのに……。

全く恋をしていない訳じゃないし、夏のせいにして、恋に落ちようとも思っている。ただ、少しだけ、あの頃よりも臆病になっている。ちょっとだけギア入れ替えるのに、パワーがかかる。
でも、やはり私は人生に妥協はできないんだろう。「結婚したい」というその気持ちだけで結婚することもないんだろう。
それにしても、あれだ。一度レンジでチンは試してみる価値はあるかもしれない。ほら、時が経てば、また色々変わっているかもしれないからね。
という淡い期待だけは持っておこうかな……。
 

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2016-07-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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