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メディアグランプリ

同世代の男の子に初めて名前を呼び捨てにされたときのあのドキドキといったら



 

記事:櫻井 るみ(ライティング・ゼミ)

 

 

名前で呼ばれたい。

 

「るみ」って。

それがダメなら「るみさん」でも「るみちゃん」でもいい。

 

苗字じゃなくて名前で。

その声で、名前を呼んでほしい。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

好きな人に名前で呼んでもらいたいな……と思っていたら、思い出したことがあった。

 

そういえば私はずっと、名前で呼び合う関係というものに憧れていた。

 

例えて言うなら、『名探偵コナン』の新一と蘭のような。

『金田一少年の事件簿』の一と美雪のような。

 

マンガや小説だと、名前で呼び合う男女は大抵は恋仲、もしくは付き合ってなくてもお互い意識してる関係だったりする。

新一と蘭もそうだし、一と美雪もそうだ。

 

名前で呼び合う関係というものは、仮に恋愛関係になくても、親密さを感じることができて、「ちょっと特別」感を味わえる。

その「特別感」をずっと味わいたかった。

 

 

 

だけれども残念ながら、私には幼稚園からずっと一緒の幼馴染みとか、親同士が友達で小さい頃からよく顔を合わせてた友達とか、そんな甘酸っぱい思い出がありそうな男友達は存在しない。

 

 

 

小学生になってからは、「男の子には“くん”をつけて。女の子には“さん”か“ちゃん”をつけて呼びましょう」と先生から言われたので、名前で呼ぶことも呼ばれることもなかった。

小学校高学年から中学生になると、男子も女子もはほぼほぼ苗字の呼び捨て。

逆に名前で呼んだりしたら、あらぬ噂を立てたれる危険性があった。

「名前で呼び合っていいのは付き合っている男女のみ」という暗黙のルールのようなものがあったと思う。

 

高校生になったら、女子の方、つまり私の方から男の子の名前を呼ぶことはできた。

その男の子はかつて好きだった人だったので、初めて名前で呼んだときはすごく緊張した。

でも、その人のことを名前で呼ぶことはあっても、私のことを名前で呼んでもらうことはなかった。

 

 

大学生になって、学校のサークルとは別の社会人サークルに入ったとき、そこの先輩方には

名前で呼ばれた。

 

でも、それは全然ドキドキしなかった。

 

先輩。

お兄ちゃん。

お父さん……に近い人もいた。

 

社会人サークルだったので、周りは自分よりも年上の人ばかりで、感覚的に「お父さん」や「従兄弟のお兄ちゃん」に近かったのだ。

 

入学したての女子大生という立場も、「妹」ポジションに収まりやすかった。

 

 

 

 

そんな私の密かな願望が叶ったのは、大学3年のことだった。

 

その当時始めた、新しいアルバイト。

某ディスカウントショップのオープニング。

そこそこ大きいディスカウントショップだったので、アルバイトの人数も多かったし、何より大半が大学生で、同世代だった。

 

 

必然的に私たちは仲良くなった。

 

 

毎日誰かが誰かの家に泊まりに行き、何人かで飲んでは近くの誰かの家に寝に帰るといったような日々を過ごした。

集まれば社員の悪口や、お客さんの噂や、時給上げろとかそんな埒もない話ばかりしていたけど、それだけで何時間も過ごせた。

いかにも大学生的な無駄な時間の過ごし方だけど、それがとても楽しかった。

 

もしかしたら、私は今で言うところのリア充だったのかもしれない。

 

 

そうして、アルバイト同士の仲を深めていったある日に、それは突然叶った。

 

 

仕事中に、

 

「るみ! この大葉いくら?」

 

と、バイト仲間の男の子が声をかけてきたのだ。

 

 

 

ドキドキした。

 

 

だって、その男の子は、それまで私のことを名前で呼んだことなどなかったから。

 

 

あまりにドキドキして、すぐには答えられなかった。

 

 

 

その男の子はナオヤという名前で、私より2つ年上の背の高い男の子だった。

少し目付きの悪い彼は、他の女の子達からは「なんか怖い」とか「目付きが悪い」とか言われることもあったけど、話すと面白かったし、私には優しかった……と思う。

 

 

ナオヤが先に私のことを「るみ」って呼んでくれたから、私はナオヤのことを「ナオヤ」と呼べるようになった。

 

 

 

 

 

 

 

だからといって、私たちがその後、恋愛に発展したかというとそんなことはなく、みんなと

一緒に飲んで騒いで、誰かの家に泊まりこむという「仲の良いアルバイト仲間」という健全なグループ交際を貫いた。

 

 

さらにその後のことは良く覚えていないけど、私もナオヤも数ヵ月後にはそこでのアルバイトを辞めてしまったと思う。

 

 

元々、「アルバイト先で会う」から一緒に飲みに行ったりしていたのであって、会わなくなってしまえば、どちらから誘うということもなかったし、お互い忙しくなってきて、それとともに個人的に会う機会はなくなっていったと思う。

そもそも個人的な連絡先を知っていたかどうかも覚えていない。

 

 

 

 

 

だけれども、あの初めて名前を呼ばれた、あの時のナオヤの声は良く憶えている。

もう20年近く前の話だけど、今でも耳に残ってる。

 

 

そういう意味では、ナオヤは私の初めての男。

元彼のことなんて、忘れちゃった人の方が多いけど、多分、ナオヤの声はずっと憶えているんだろうな……。

 

 

 

 

***
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2016-07-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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