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メディアグランプリ

「ねぇねぇ、わたしのどこが好き?」とは聞けないから、お金を払います。


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おはな

 

記事:おはなさま(ライティング・ゼミ)

 

「ねぇねぇ、わたしのどこが好きぃー?」

ただでさえ蒸し暑いのに、若い女子が隣の男の腕に絡みついている。

「えー?」

男は怪訝そうな顔をして、気だるそうな声を出している。

 

「んー、そうだなー、変顔?」

「ちょっと嫌だ、何それー?」

予想外の答えに、甘ったるい女子は唇を突き出し、拗ねたフリをする。

 

「ほらほら、その顔ー!」

そう言いながら男が、ねちっこい女子のほっぺたをつまむ。

 

「やだー、痛いよー、もうー」

 

はー、どこかで勝手にやってくれ。

とりあえずこの暑い夏に、わたしの目の前から消えてくれ。

そう悪態を突きながらも、心の中でこう思う。

「わたしだって、そこを聞きたいんだよーー!」

 

 

 

 

「ねぇねぇ、わたしのどこが好き?」

 

それは常に、「わたしと仕事、どっちが大事なのよ!」と共に、

恋愛において聞いてはいけない質問のトップの座を争い続けている。

 

聞いちゃダメだよ、と雑誌でも小説でも映画でもドラマでも歌詞でも、ありとあらゆる場所で訴え続けられているのに、うっかり手を出してしまう女性は、後を絶たない。

 

大抵口にするのは、心のどこかで自信を持っている女性だ。

「そんな野暮な質問をしたところで、男は私から離れることはないわ。私はその辺の女とは違うのよ」とでも思っているのだろう。

だから腕に絡みついて、上目遣いで甘い声で「ねぇねぇ、わたしのどこが好き?」と聞くのだ。

そして時間が経つ内に、男からの関心が低くなっていくのを感じ、痺れを切らして叫び出す。「私と仕事、どっちが大事なのよ!」と。

 

わたしのようにプライドは高いけど、自信はないという中途半端な人間は、どちらにも振り切ることができない。

「ねぇねぇ、わたしのどこが好き?」と聞いたところで、

「んー、どこかなー。改めて聞かれるとなー」と濁されるだろうし、

「わたしと仕事、どっちが大事なのよ!」と迫ったところで、

「仕事だよ!」とブチ切れられるのが、オチだ。

 

恥ずかしい質問をして傷つけられるくらいなら、黙って、飲み込んで、利口になるしかない。

「それを都合が良い女って言うんだよ!」と友人に何度怒られても、長年染み付いた思考の癖を落としきることができない。

感情を露わにし、理性を失ってしまっても、それでも愛される自信なんて、どこにもない。

 

だけど。

聞きたい。その気持を捨て切ることもできない。

「わたしのどこが好きなの?」「わたしのどこが良いの?」

いや、だめだ。

そんな質問をしても愛し続けてもらえる保証なんてどこにもない。

そんなウダウダを、一人頭の中で永遠に繰り返す。

あまりにも不毛で生産性のない無駄な時間ばかりが過ぎていく。

自分の中で答えを出さなければ。決着をつけなければ。

 

そう決意し、わたしは、またお金を払うことにした。

天狼院書店に。

 

 

4月から4ヶ月間通ったライティングゼミの最後の講義を終えてすぐ、8月コースを受講する手続きをした。

 

4月コースの第一講目の日、「前回も受けて、今回もまた受けました!」という人がいて、わたしは「え?」と思わず、二度見してしまった。

だって、それはわたしにとって安い買い物ではなかった。

それこそ、「人生を変えるために、この額を払うのだ!」と意を決して申し込んだんだ。

二回分も払うなんて、考えられない。

一回では身につかないということ? だとしたら、失敗だ。

しまった。やってしまった。出鼻をくじかれたように、わたしは、しょげた。

 

「三浦さんが言っていたように、メディアグランプリに投稿すると、ものすごく書く力が上達する。

でも、自分は前半に全然書けなかったから、それが心残りで。やっぱり書かないと、話を聞いているだけでは上達しない」

二度目の先輩は、そう教えてくれた。

 

なるほど。そうか、書けばいいんだな。

書けば上達するんだな。じゃぁ、書こう。書くことは苦手じゃない。

きっと出来るはずだ。

お金を無駄にしない。ちゃんと書いて、上手くなって、必ずこの4ヶ月間で終わらせよう。そう第一講目の日に、心に決めた。

 

だけど、予想に反してまったく書けなかった。

二度目の先輩の言うように、前半の2ヶ月は、まったく書けなかった。

身の回りの出来事にアンテナを張るのも好きだったし、それなりにネタになるような経験はしてきたつもりだった。

それなのに、全く書けない。文章として成立しない。

何よりも、わたしが絶対にしたくなかったこと。

 

「自分の本音をさらした文章をFacebookで公開する」

 

それが、できなかった。

それだけは、したくなかった。

数少ない友達に、唯一自分のダメなところを受け入れてくれている友達に

「ごめん、さらに心の中ではこんなこと思ってましたー」なんて、自分の手で伝えたくなかった。

なんとか今まで繋いできてくれた、か弱く細い友情の糸を、

自ら切るような行為をしたくなかった。

 

それでも、次第に同じ受講生の記事は次々とweb天狼院書店に掲載されていき、

講座の中でも「あ、あの人はあの記事の人だ」と、記事と顔が一致するようになってきた。

それと同時に、わたしはここに存在していない、という気持ちが強くなった。

わたしを認識してもらう為には、書くしかない。

人生を変えたいと決めて、意を決してクレジットカードを切ったんだ。

無駄にしちゃいけない。

 

「そんなことで離れていく人は、そこまでの人だ」

こどもの頃、友人に嫌われたくないと怯えるわたしに、母が言ってくれた言葉だ。

そう、長年の友人は、どのみちわたしの欠点なんて、イヤというほど、わかっている。

むしろ、「早く自分で気づいてくれ」と思っているはずだ。

いまさら「そんな最低な人だとは思わなかった!」と言って、去っていく人はいないし、それならそうで、ただそこまでの関係だったのだ。

 

書いてみよう。自分のために。

 

そう思って、残りの2ヶ月間は出来る限り、毎週書くようにした。

リーディング&ライティング講座も受講し、本の紹介文も書いた。

普段書く習慣の無かった人間が、突然週に2回も締め切りを持つのは苦しかった。

毎週締切直前に、心臓が止まりそうな思いをしながら投稿ボタンを押す。

とにかく自分が書いたものを見てほしくて、1秒前も諦めずに投稿した。

 

中には、掲載基準に達しなかったものもある。

「ここがわかりづらい」「もっとここを具体的に」

天狼院書店の店主でプロのライターで、両手でも足りない程の肩書を持つ三浦さんと、

Webに記事を更新し続け、一位の座を決して譲らない不動のエースの川代さんは、

いつも丁寧にコメントしてくれた。

「あー、なるほど。こうすればいいのか」

誰かのアドバイスを素直に聞けたのなんて、何年ぶりだろう。

 

次の週は、アドバイスされたことに忠実に書いていく。

こういうことかな? これで合ってるかな?

投稿し、コメントをもらうまで、どういう答えが返ってくるか、いつもドキドキしていた。

 

「ねぇねぇ、今日のわたしはどう?」と聞く、野暮なわたしに、

「うん、すごくいいね!」とか

「ここは、こうしたらもっとよくなるよ!」と、多忙な二人はまっすぐに答えてくれた。

 

そうしている内に、Facebookを通じてわたしの記事を読んでくれた友達からも反応が返ってくるようになった。

「面白かったよ! いつから作家志望になったの?」

「すごいね! もっと読みたいからまた書いてね!」

 

嫌われる。きっと、誰もいなくなる。

そう思っていたはずなのに、友達はいつもと変わらず優しかった。

 

「で、何食べる?」

 

わたしがさらした醜態は、空腹の陰に潜んでしまうようなことらしい。

わたしの「人生を変える」覚悟と行動は、日常の一部に馴染んで溶けていった。

 

「なんだ、そんなもんか」

 

自分が爆弾だと信じこんで、必死に両手で包んで隠してきたそれは、ただのびっくり箱だった。ドラマの緊迫したシーンで、主人公が意を決して箱を開けた瞬間「ぷー」とマヌケな音を鳴らしてバネ状のおもちゃが飛んで行く。

何に怯えていたんだろう。

「これを見られたら死ぬ!」くらいに思って必死に隠してきたわたしの醜態は、爆発する威力すら持っていなかった。

 

それからは、書くことが楽しくなった。

途中、あまりにも物凄い勢いで自分を深掘りしてしまったから、

苦しくなって、尖った言葉しか並べられなくなった時もあった。

 

それでも「書きたい、来週こそは投稿したい」そう思って、

重たい足を引きずりながら、前に進み続けた。

一歩ずつ進む度に、日常は輝き出し、あたたかみさえ感じるようになった。

 

段々とweb天狼院書店に掲載される回数を重ねていくと、

ついにあの欲が自分の中で疼き出す。

 

聞きたい。聞きたい。

「ねぇねぇ、わたしのどこが好き?」

「わたしの書いた文章の具体的にどこがいいの?」

あーーー、聞きたくてしょうがない。

 

実際、自分ではどこがいいかわからないのだ。

同じ受講生は自分には到底書けない、密度の濃い文章を次々と生み出している。

 

こんなペラッペラな文字を並べてるの、わたしだけじゃないか。

気付くと、掲載されている文章が恥ずかしくなってくる。

何を堂々と並んでるんだ。こんなのピエロと一緒だ。

 

そうなってくると、ますます聞きたくなる。

言い方を変えたり、語尾を変えたりしたら、野暮に聞こえないだろうか。

禁断の質問にならずに済むだろうか。

 

「わたしの文章の、どこがいいのでしょうか。

面白いというのは、具体的に、どの部分がよかったのでしょうか」

 

あー、聞きたい。でも聞けない。だけどそれがわからないと前に進めない。

どうしたらいいんだ!

 

悩みに悩んだわたしは、その答えを自分で見つけようと決意し、

ライティングゼミの8月コースに申し込んだ。

4ヶ月前の第一講目の日、二回目なんて絶対受けないと思っていたのに。

そんなのお金の無駄だと思っていたのに。

それでも、プライドが高いくせして自信のない、利口になるしか選択肢の無いわたしは、

やはり自分でなんとかするしかないのだ。

 

それに、「書かない」という選択肢は、わたしの中にはもう無かった。

こんなに楽しく、夢中になれることをいきなり手放せるわけがない。

せっかく見つけたんだ。

大人になってから、仕事終わりでももう一頑張りしようと思えることに、誰かに見てもらいたいと思えるものに、せっかく出会うことができたんだ。

このまま終わらせたら、また4ヶ月前の自分に戻ってしまう。

そして、結局誰かに答えを求めてしまう。

「ねぇねぇ、わたしのどこが好き?」そう聞けなくて、ずっと悩み続ける。

わたしのいいところって、何? わたしには価値があるの?

聞きたいのに聞けなくて、知りたいのにわからなくて、モヤモヤしながら生きていく。

そんな過去には、戻りたくない。

 

4ヶ月間。この短い期間で、30年以上できなかったことを乗り越えられた。

自分を好きになること。

最低で失敗ばかりで、人に自慢できることはない自分のことを、

それでもいいんだよ、と受け止めることができた。

 

これは、わたしにとって、何よりの宝物。

 

もちろん、愛する誰かにそう言ってもらえたら、それ以上のしあわせはないと思う。

 

でも、わたしはその為の一歩を、ようやく踏み出すことができた。

 

自分ひとりで受け止めたらいいじゃないか。

何もわざわざ文章にして、ネットに投稿したり、大声で叫ぶことじゃないじゃないか。

そう思う人もいるだろう。

何より、わたし自身がそう思っていた。

そんな自分の嫌なところ、恥ずかしいところを見せなくてもいいじゃないか。

わざわざ嫌われるようなことをしなくても。

波風立てる必要なんてないでしょ。

 

そう、思っていた。だからこそ、今まではうまくいかなかった。

嫌なことからは逃げ出し、苦手な人には心を閉じ、嫌われるのが怖いから突き放す。

そうしている内に、自分の核が、見えなくなった。

どこに向かって進んでいるのか、何を大切にしているか。

 

だけど、書いているうちに、1つ1つを取り戻していく感覚があった。

「聞いて聞いて!」とこどもの頃のように素直に伝えたいことが、たくさんあった。

思い出したくもないつらい思い出も、文字にして完結させることで、昇華させることができた。

 

楽しい。ずっとやっていたい。もっと上手くなりたい。

素直にそう思えたのは、いつぶりだろう。

 

最初の4ヶ月は、読んでくれた人に「趣味だから」そう言うことしかできなかった。

でもね、これからの4ヶ月は、真剣にやってみようと思う。

「ねぇねぇ、わたしのどこが好き?」

そう聞けなくてモジモジうじうじしているのは、もう終わり。

誰かに認めてもらなくても、評価されなくても、それはその時。

わたしは、わたし。

 

「様々、試してみてください」

 

三浦さんのその一言と自分を信じて、4ヶ月、本気を出してみようと思う。

心の底から信じられるものがあり、全力を尽くした人にだけ見える世界が、きっとそこには、あるはずだから。

 

「ねぇねぇ、こんな話があったの。 あなたの世界からはどう見える?」

「ねぇねぇ、今日はどんな面白いことがあった? 明日は何をしたい?」

 

4ヶ月後、わたしが聞きたくて仕方ない質問はなんだろう。

わたしがお金を払ってでも知りたいと思うことは、どんな形に変化しているだろう。

自分に期待できる4ヶ月が、また始まった。

 

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、店主三浦のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

 

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