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あの時、私たちは、目の前の小さな命を、それぞれの正しさで守ろうとしていた


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記事:中村美香(ライティング・ゼミ)

 

「ミルクを足した方がいいんじゃない? こんなに泣いているのに、可哀そうよ」

母にそう言われて、私は苦しくなった。そして、悲しくなった。確かに、目の前で赤ちゃんが泣いている。それは、確かに、お腹が空いているからかもしれない。

 

こんなはずじゃなかった……。

 

母乳なんて、赤ちゃんを産んだら、まもなく、たくさん出るんだと思っていた。赤ちゃんだって、平気でごくごく飲むもんだと思っていた。

 

しかし、実際は、母乳の出が悪かったり、赤ちゃんが飲むことが下手だったり……。

 

ママ自身が疲れていたり、心配ごとが多かったりすると出にくいことも、赤ちゃんの口の開きが小さいと、母乳が出やすい部分をしっかりと刺激できないことも知らなかった。

 

「ミルクを足すことで腹持ちがよくなってしまうの。赤ちゃんのお腹が空くタイミングと母乳ができるタイミングが合わなくなってしまうから、母乳で育てたいならミルクは足さない方がいいわよ」

と助産師さんから言われたのに、ミルクで私を育てた母は

「足した方がいい」

と言う。

 

泣きながら抵抗し、がんばったけれど、さらに出にくくなってしまった。だから、もう、ミルクに頼らざるを得なくなり、だんだんとミルクの量を増やしていった。

 

ミルクを足したことで、ホッとした部分もあり、皮肉にも、母乳が出てきた。しかし、やはり、タイミングが合わなくなって、息子がお腹が空いていないのに、胸が張ってしまった。乳腺が詰まって、病院にも行った。なんでこんなことになるんだろう? 私は、母親失格なのだろうか? と自分を責めた。

 

今思えば、産後うつの一種だったのかなって思う。

 

涙が止まらない日。自分が無力な存在だと感じる日。一人ぼっちに感じる日……。

 

それでも、目の前のミャーミャーなく赤ちゃんの世話はつづく。永遠とつづく……。

 

今、この時間も、そういうママがこの日本に少なからずいるんだろうって思う。

 

側に行って

「大丈夫だよ。ママは頑張ってるよ」

って抱きしめてあげたい。

 

赤ちゃんが生まれて、その笑顔の元に集まった、愛情いっぱいのはずの家族たちの気持ちがすれ違い、どうして子育ての中心にいるはずのママの心が追い詰められてしまうんだろう?

 

最近では、脳科学的にとか、そういったものがだんだんわかってきていると聞くけれど、一つには、頼みの綱の育児書や保健所で事前に学んだはずの知識と、目の前の我が子の様子が一致しないことへの不安があるだろう。それからもう一つ、子育ての知識のジェネレーションギャップがあるからではないかと思う。

 

私の場合も、とても思いやりのある大好きな母がとても恐ろしい存在に感じた。今思えば、あの時彼女は、彼女の孫にスポットを当てていたから、私にはとてもつらく当たったのだろうと思う。いや、私自身がそう受け取っただけで、特別につらく当たったわけではないのかもしれない。けれど、気持ちはすれ違っていた。

 

母は、自分が若い時に、私と同じように育児書を読み、自分で最善を考え、命がけで私という赤ん坊を育てたのだろう。その自信とプライドと、彼女なりの愛情が、今度は孫に全力で注がれていたのだろう。初孫だから、母も“おばあちゃん1年生”。気持ちが舞い上がるのも無理はない……。

 

最近、さいたま市に『祖父母手帳』というものがあることを知った。

 

『笑顔をつなぐ孫育て』というその小冊子は、平成27年12月に初版発行となっている。さいたま市に住んでいるわけでもなく、祖父母でもない私がなぜそれを持っているかというと、さいたま市のHPからPDFで誰でもダウンロードできるからだ。それは、偶然流れてきたFacebookで知った。

 

8年前の自分や、母や父に知らせたいと思うほど、興味深い内容だった。

 

23ページに渡り、孫育てについて書かれているが、その10ページ、11ページの見開き2ページに「ここが変わった! 子育ての『昔』と『今』」が書かれている。

 

そのたった2ページの情報だけで、どれだけのママが救われるだろうか!

 

保健所などで妊婦の時に学んだ情報と、親世代のそれが違うという板挟みにあっているママは少なからずいると思う。けれど、確かに自分を育ててくれた親の生きた学びと、自分の学んできた知識とを天秤にかけて、親の意見を振り払う気力が、出産直後のすべてのママにあるとは限らない。

 

大好きな親に

「そうじゃないんだよ」

って言うことに躊躇があったり、お姑さんや、親せきや、近所のおばさんや、そういった愛情深い人たちに

「そうじゃないんだってば!」

って言いきれるほどの自信はなかなか持てない。

 

だからこそ、こうした、公の機関や専門家が

「昔と子育ての常識が変わったんですよ」

と声をあげてくれることがとてもありがたく感じる。

 

具体的には、抱っこは、昔は

「“抱きぐせ”をつけると、赤ちゃんは抱っこを求めてしょっちゅう泣くようになるから、あんまり抱っこしない方がいい」

と言われていたらしいが、今は、

「“自分は大切にされる価値のある存在だ”という感覚や人への信頼感が育つなど、心の成長に大切だから、“抱きぐせ”は気にせず、たくさん抱っこしていい!」

と言われている。

 

また、卒乳やおむつはずれも、昔は、何歳までとか、できるだけ早くとか、親がリードするべきと思われていたのが、今は、大人の都合ではなく、子どもの体調や発達を見ながら、のんびりと進めていこうと言われている。

 

面白いことに、それは言葉にも表れていて、昔は、“断乳”“おむつはずし”と言っていたものが、今は“卒乳”“おむつはずれ”と言われているのだ。

 

これらが昔の母子手帳に書いてあったというのだから、それは、親世代も信念を持って意見してくるのだろう。

 

ここはひとつ、違いを認め合った上で、パパとママのやり方を温かく見守ってほしい! そして赤ちゃんだけでなく、ママのことも抱きしめてあげてほしい!

 

この冊子を印刷して、親世代にプレゼントしてもいいかもしれない。

 

 

息子が8歳になった今、我が家では、子育ての方針は、親の意見は聞きながらも、私たち夫婦が決めているし、それを尊重してくれている。

 

8年間、迷いながらも、私たちなりに一生懸命子育てしてきた。

 

親にはいろいろと協力してもらっているので、感謝している。目の前の大切な命をこれからもみんなで守っていきたい。

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、店主三浦のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

 

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2016-08-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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