メディアグランプリ

コンテンツマーケティングを極めるために、僕が選択したちょっと危険なチャレンジ


http://tenro-in.com/zemi/writingsemi/34310
記事:小野勝秋(ライティング・ゼミ)

“コンテンツマーケティング”、この言葉を初めて聞いたのはわずか3ヶ月前、
東京ビッグサイトで開催されたweb関連の展示会でのことだった。

ちょうどECサイトの売上低下に悩んでいた僕は、何か改善策のヒントを得ようと、朝早くから気合を入れて出かけたのだ。

あの手の展示会に行くといつも「ムダが多いなあ」と思うことがある。

どれだけ宣伝効果があるのかわからないが、ハデなコスチュームを着たコンパニオンや、電飾ハリボテをたくさん使ったブース。それにもらってもあまり嬉しくないノベルティや荷物になるカタログ。

行く手を遮るコンパニオンを避け、無理やり渡されそうになるパンフレットを拒絶しながら、目的エリアにたどり着くと、小さく地味なブースにいた若い営業スタッフに声をかけられた。

「こんにちは、なにかお探しですか?」
(なんか軽そうな人だな)
「ええ、ECサイトの売り上げが落ちていまして、なにか改善策はないかと」
「失礼ですが、”オンシャ”のECサイトは”オンシャ”で運営されている独自サイトですか?」
この”オンシャ”って言葉、文章で書くときは”御社”でいいのだけど、しゃべるときに使うと”恩赦”とか”オンショア”とか”おんしゃあ”(高知の方言)とかに聞こえるし、あまり響きが好きじゃないので、一回は許せるのだけど何回も使われるときつい。何か代わりのいい言葉はないかといつも思う。ちなみに”貴社”も”記者”とか”汽車”とか”きさん”(博多の方言)とかに聞こえるからよくない。

「そうそうオリジナルのサイトです。半年後にリニューアルを予定しているんですけどね」
「なるほどですね」
(むむっ! なるほどですね?)
「何かいい提案ありますか?」
「”オンシャ”はオウンドメディアとかお持ちじゃないですか?」
(オンシャ3回目)
来たなオウンドメディア、これは最近ようやく覚えた。解説すると、自社で運営しているホーページで、ブログとか動画とかユーザーが必要としそうな情報を提供するインターネット上のメディアのことである。たぶんあってる。

「いえ、作りたいと思っているのですが、なかなか運用が大変かと思い踏ん切りがつかないんです」
「そうですよね、わかります。ですけど逆に、いまいちばん集客とかリピーターとかききめ高いのは、オウンドメディアを使ったコンテンツマーケティングでなんですよね」
(逆に? なってないような……)
「へえ、やっぱりそうなんですね」
聞きなれない言葉”コンテンツマーケティング”、Webマーケティングやデジタルマーケティングは調べてきたのだが。それにしても知らないことを「知らない」と素直に言えないのはいつものこと。

若者との会話にも疲れてきたので、その場を立ち去ろうとしたら若者が言う。
「あっ、名刺とかいただいてもいいですか?」
(名刺とか? 名刺は持ってるけど、とかは持ってないぞ!)

コンテンツマーケティングか……

その日の夜、早速パソコンで検索する。
『コンテンツマーケティングとは』

見込み客が誰かを明確に定め、その見込み客が抱いている疑問や関心事に対して、関係性が深く、適切な情報を提供することにより、見込み客を引き寄せ、買いたい気持ちを盛り上げ、見込み客が適切な商品を選ぶ手助けをするコミュニケーション戦略である。

 

『見込み客の疑問や関心事に対して、関係性が深く適切な情報を提供する』
これはわかるぞ、営業でよく使う手だ。客先担当者に「このシート使うと企画を通しやすくなりますよ」とか、決裁権限者に「部長、いいセミナーがあるんですが、ご一緒していただけませんか」みたいなやつだな。 売りたいものを直接セールスするのではなく、相手が欲しい物や事を提供して、良好な関係を築くことだ。

『見込み客を引き寄せ、買いたい気持ちを盛り上げる』
これはあれかな、「そうそうあるある!」とか「へぇそうなんだ!」とか言わせるために、共感呼んだり気づかせたりする、例えるなら”ジャパネットたかた”や”発掘あるある大辞典”みたいなもの。

なるほど、こうやって調べてみるとなんとなくわかってきたが、コンテンツマーケティングって特に新しいことではなくて、今までにもあったものをインターネット上で展開するってことなんじゃないかな。

その提供する情報の形がこれまでとは違い、ブログとか動画とか、いわゆるコンテンツということか。

「はっ」

ここであることに気がついた。気づきは大切である。
「これって、あれじゃないか!」
その気づきを確かめるために、普段は何気なく見ていたそのサイトを改めて意識して見てみる。

間違いないやっぱりそうだ。
”ほぼ日”(ほぼ日刊イトイ新聞)はコンテンツマーケティングを実践していたんだ。

このほぼ日サイトが開設されたのが1998年6月、ということは18年前からコンテンツマーケティグをやっていたことになる。なんと18年前とはさすが糸井重里、恐るべし。

ここまで調べて、コンテンツマーケティングがどんなものであるかは、だいたい理解できてきたのだが、定義に書かれていた最後の1行が引っかかっていた。
『見込み客が適切な商品を選ぶ手助けをするコミュニケーション戦略である』

前半の”手助けをする”はまあわかるのだが、”コミュニケーション戦略”というのが腑に落ちなかったのだ。コミュニケーションというのだから一方的な情報提供ではなく、双方向での意思疎通があるということだと思うのだが、ブログを書くことで見込み客とコミュニケーションができるのだろうか?

という疑問が解決できなかった。

”ほぼ日”であれば、イベントをたくさんやっているので、サイト閲覧者と直接会ってコミュニケーションの場を持つこともできるのだろうが、通常のECサイトではなかなかそこまではできないし、そもそも見込み客が近隣にいるわけではない。

ん、ん〜〜〜ん。

頭の中がもやもやな状態のまま、数日が過ぎた。

そんなある日の夜、僕がTwitterで呟いた投稿がすごい勢いでリツイートされた。そもそもフォロワーが300人くらいで、普段投稿してもせいぜい1人か2人にしかリツイートされないのにリツイート数が80を超えた。インプレッションは2万近くになっていた。理由はわかっていた。30万人を超えるフォロワーを持つ人に関する投稿で、その人がリツイートしたからだ。

そのとき僕はあるひとつのことを考えていた。

「これをリツイートした80人以上の人たちは、なぜそうしたのだろう? 」

ひとつには僕の投稿に対して共感をしたということ「お前の言っていることはその通りだ」とか「いいこと言うね」という肯定の意思表示。反対に「その発言はおかしいんじゃない」という否定の意思表示もあるかもしれない。

あるいは「こんなこと言っている人がいるよ」と、自分のフォロワーに対してメッセージを発信している場合もあるだろう。もしかしたらリツイートした人に対して「あなたがリツイートしたのを見ましたよ」という承認みたいなことも考えられる。

これって僕の投稿を通じて行われている、インターネット上の”コミュニケーション”そのものである。
そうか、コンテンツマーケティングにおけるコミュニケーションっていうのは、情報発信側と受取側の双方向のやり取りではなく、情報を受け取った人がそれを誰かに伝えたり、受け取った同士でそれについて会話したりすることなのか。

 

あれ、そういえば同じようなことが昔むかしにあったぞ。

テレビで見た内容を、翌日に学校に行って友達と話して盛り上がった。「よかったね〜泣けたよ」とか「あそこであれはちょっとな」とか「あの話は実は裏があるんだよ」とか。そんなとても楽しい経験があった。それってまさに、メディアの発信した情報から生まれた”コミュニケーション”ではないか。

コンテンツマーケティングの定義をもとに整理してみると、このように言うことはできないだろうか。

 

見込み客の商品選びを手助けするためには、単に情報を発信するだけではなく、情報を受け取った人がそれを誰かに伝えたり、誰かと会話するネタになったりすることで、その後の購入に繋がる効果は高まる。それがコンテンツマーケティングのコミュニケーション戦略である。見方を変えると、コンテンツマーケティングにおける良いコンテンツとは、受け取り側がそのコンテンツを誰かに伝えたくなるもの、拡散したくなるものでなければならない。

 

 

 

ずいぶん時間がかかってしまったが、ようやくコンテンツマーケティングを成功させるポイントが自分なりに見えてきた。

 

ただ問題は、その良いコンテンツをどうやって作ればいいのかということだ。極端な話、これまでの理屈部分のところなど知らなくても、良いコンテンツを作り続けていれば、コンテンツマーケティングはうまくいくわけだから、良質なコンテンツを作ることが最も重要であり、これができなければなんの意味もない。

 

 

 

そこで困ったときのグーグル先生で検索してみると「良いコンテンツの作り方のコツ」「質の高いコンテンツの作り方5つのポイント」等々たくさんのサイトが出てくる。上位に表示されたいくつかのサイトを見てみると、「検索されるキーワード」とか、「ユーザーが知りたい有益な情報」とか、「売り込みをしてはいけない」とか、どのサイトも同じようなことが書かれている。

 

そこに書かれていることは間違いではないのだが、その方法で作られるコンテンツは、僕が思っている良いコンテンツとはちょっと違う気がする。確かにそのコンテンツで検索順位が上がりアクセス数は増加するのかもしれないが、受け取った人のコミュニケーションに繋がるのかという点が引っかかる。

 

どこかにいい方法ないのかなぁ。

 

もしかしたら、良いコンテンツを作ることは、一部のセンスある人にしかできないことなのかもしれないと消極的な考えを持ち始めていたとき、あるフェイスブック広告に目が止まった。

 

 

『人生を変えるライティング教室〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか〜』

 

むむっ、これはひょっとしてと思いクリックしてみると、この広告を出しているのが本屋だったのにまず驚いた。しかもその名前が「天狼院」。寺なのか旅館なのか、それとも秘密結社なのか、何れにしてもただならぬ怪しさをかもし出していた。

 

疑いつつもゼミの募集記事を読んでみると、これがまったく普通ではない。「こんなことができるようになります」「こんなに楽しいです」「いまならお得です!」のようなよくある広告とは全然違う。「本当は教えたくないんです」「極意を知ると簡単に書けちゃうんです」「プロの僕が負けちゃうんです」と、そんなこと言われるとちょっと知りたくなっちゃうなとか、それって本当なのと突っ込みたくなるような、そんな募集記事だった。

 

「あれっ!」

そのとき気付いた。

「これはコンテンツマーケティングのコミュニケーション戦略だ!!」

 

 

 

 

そしていま僕は、天狼院書店ライティング・ゼミを受講することになって、こうして記事を書いている。

もしこの怪しげなゼミが本物であるならば、4ヶ月後の僕は、優秀なコンテンツマーケッターになっていることだろう。乞うご期待!

 

 

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、店主三浦のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

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2016-08-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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