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昭和の男に学ぶ、働くということ


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記事:小矢さま(ライティング・ゼミ)

「介護離職なんて、絶対するなよ。俺はどうにでもなるから」
81歳の父が、ずっと独身で会社勤めをしている姉に言った言葉だ。

父は、81歳になるまで仕事をしてきた。資格を持ち、独立して働ける仕事だからということもあるが、父の頭には引退とか、老後はのんびりという考えはなかった。

しかし、今年に入って、とうとう引退を決めたのだ。
病気の進行がかなり進んだためだった。

その病気とは緑内障。

緑内障は、視神経に異常がおこる病気だ。目からの情報を脳にうまく伝えられなくなるので、だんだん視野が欠けていき、最悪の場合は失明する。
根本的な治療法はない。父も一度手術を受けたが、徐々に病気が進行し、今ではわずかな視力しかない。定期的に病院へ診察を受けに行くが、目薬をもらうこと以外することはないのだ。

そんな父は、11年前に突然妻(私にとっては母)に先立たれて以来、81歳の現在も一人暮らしを続けている。子どもに世話をかけるのを好まない昭和世代の頑固な父は、一人暮らしと仕事を絶対に手放さなかった。

ただ、仕事に関しては、さすがにこれ以上は無理だと判断したのだった。やめると決意したときは、どのような気持ちだっただろう。

81歳まで社会で必要とされるとは、それだけでもすごいことだが、父は、生まれて初めて毎日が日曜日の生活を始めた。

それでも父らしく、やるべきことのスケジュールとリズムをつくり、日々充実させようとしている。

ただ、読書が大好きだった父にとって、本を読むことができないことは何よりも悔しいことだ。時間があるのだから新しい勉強をしたい。でも、活字を読むことができない。テレビやCDを大音量で聞いているが、長年情報を活字から得てきた人にとって、耳だけの生活はなんとも味気なく、心許ないものだろう。

活字中毒の父が、音に移行しようとして四苦八苦している姿は、胸が締め付けられる。
ああ、なんとかならないだろうか。もっと簡単に扱えて、面白い音声はないものか。

神様!

しかし、昭和の男は、軟弱娘のセンチな同情など寄せ付けないのだ。

 

「介護離職なんて、絶対するなよ。俺はどうにでもなるから」

テレビのニュースで介護離職した人の悲劇を見た(聞いた)らしい。
認知症や寝たきりなど、年老いた親の介護と仕事の両立で疲弊する人が増えている。両立できず仕事をやめてしまうと、親が亡くなった後で社会とのつながりを失ってしまうことが問題視されているのだ。

父にとって、働くことは何よりの生きがいだったのだ。だからこそ、介護を理由に子どもが仕事をやめるなんてとんでもない話と思ったのだろう。どれほど大変でも働けるということは、父にとって最高の喜びだからだ。

 

先日、電車の中で20代らしい男性二人の会話がふと耳に入った。

「60になったら、速攻で仕事なんてやめてやるよ。
一生働くなんて人生いやだね」

「金はどうする?」

「ああ、早く不労所得を得るよう考えるよ。
自由に遊んで暮らしたいから」

若い頃の私は、どちらかというと彼らと同じような考えだった。

「仕事なんてしないで、好きなことだけして暮らしたい~!」

そんな風に思っていたグウタラ人間だったのだ。
不労所得を得ようともしていなかったのだから、本物のグウタラだろう。

生活力がないのに、頭の中は夢と理想が一杯だった。

「目に見えないことこそ、大切なこと」
「お金だけが人生ではない。人間には、もっとやるべきことがあるはず」と考える夢見る夢子だった。

そんな私に父親が冷たく言い放ったものだ。
「おまえは哲学者か。哲学だけじゃ、人は食っていけないぞ」

そんなロマンのかけらもないことを言う父を激しく憎悪したものだった。

でも……。

結局、ロマンを生きたのは、働くことと人生を分けて考えていなかった父の方だったのかもしれない。

父は、9時から5時だけ労働するという発想ではなかった。

何時でも情熱を込めて、ただ生きたのだ。
朝も誰よりも早く起きて、勉強していた。
仕事に関係ないことも本で一生懸命学んでいた。

もちろん、働くなかで苦労や我慢がなかったと言っているのではない。悔しい思いもたくさんしただろう。でも、そういった経験をしながらも、仕事をやめるなんて考えられなかったはずだ。それこそ、理想の人生ではないか。

私だって、そんな人生を生きたいのだ。だから、若い頃は自分探しに熱中したのだった。
やりがいのある仕事をずっと探し続けた。何かを始めてはやめることを繰り返してきた。父の言葉だけは聞かなかったなあ。

今、父の言葉の定義を全く理解できなかった、あの頃の私を思いっきり叱りつけたい。
働くことを「お金のためにイヤなことを我慢してやる」と勝手に理解していた私を。

遊びはすぐに飽きてしまう。
誰からも必要とされない日々は虚しい。
9時5時労働思考に縛られていたのは私の方だったのだ。

もし父が病気にならなかったら、90歳、100歳まで働いただろう。

よし! 私は、必ず父を越えよう。

自由になりたいと思わないほど、自由に働こう。

 

お父さん、本当にお疲れ様でした。

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2016-09-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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