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メディアグランプリ

「新海誠」は決して「宮崎駿」にはなれない。


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記事:雨宮まみや(ライティング・ゼミ)

「新海誠」の名をよく目にする.。
TVでもネットでも、本屋でも。それは今話題になっている「君の名は。」そして過去の作品について。

彼は天才だ。ポスト「宮崎駿」だ。新しいアニメの時代が来た。

その狂騒的な盛り上がりの中で自分も興奮しながらそれを眺めていた。そして、ある一つの記事を読んだ。もちろん「新海誠」についての記事だ。
それを読みながら自分の中でひとつの間違いに気づいてしまった。

「彼は決して宮崎駿にはなれない。」のだと。

ここ最近、新海誠の様々な情報やインタビューを読み漁っていくうちに見えてきた彼の本質は「天才的才能」ではないと思った。
彼は言うなれば「良い建築」だ。
それは僕が建築設計者だったからこそ「間違い」に気がついたのだと思う。

突然だか、みなさんはルーブル美術館に行ったことがあるだろうか。
パリにある世界最大級の美術館(博物館)であるとともに世界最大級の史跡のひとつで、収蔵品380,000点以上を収蔵する美術館である。誰でも知っているような有名な絵画や彫刻が集まり、年間900万人の来場者が訪れる世界で最も大きな美術館だ。
そんなルーブルはその膨大な収蔵品ゆえに8つのカテゴリーに分けられていた。
そのひとつがなにかご存知だろうか。
それは「建築」だ。

絵画でも彫刻でもなく、建築は美術は数えられる。
建築は「最初に体験する美術」としてそこにある。
しかし、その本質は「美術」だけではない。どんなに美しくてもそれが「使う」に耐えないものであればただのオブジェになってしまう。使う人が効率的に、住まう人が快適に過ごすための箱でなければならない。
建築の主役はあくまでの「人間とその活動」にある。
建築は美術ではあるが、常に主役にはなれない。

例えばそれは学校の主役は「生徒」であり、劇場の主役は「役者」であるように。
だから美術館の主役は「美術品」そして「それを楽しむ人間」なのである。
美術館は「モナリザ」にはなれないのである。

でも例えば「モナリザ」がなくなってもルーブル美術館には世界中から客が溢れるだろう。
「新海誠」も同じなのではないだろうか。
彼の作品の本質は美しくて、切なくて、誰もが感情移入できるようなそんな「背景」なのではないだろうか?

今回、新海監督は「君の名は。」において、ふたりの有名なアニメーターを起用している。「田中 将賀 」と「安藤雅司」だ。

田中は「あの日見た花の名前僕たちはまだ知らない」や「心が叫びたがってるんだ 」で知られるアニメ界隈では有名な「キャラクターデザイン」の天才だ。

そして安藤はスタジオジブリにて若干28歳で「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」の作画監督 」を担当した天才アニメーターだ。

なぜ新海監督は彼らをチームに入れたのか。そこには大きな理由がある。
新海誠は絵が下手なのである。

彼の描く背景は恐ろしく上手い。しかし彼は「人物の描写」が下手だ。
過去の作品でも彼はその技術の高さを賞賛されてきたが、同時に決定的な欠陥を指摘され続けている。そう、「キャラクター」が描けないのである。

しかし、だからこそ彼は「それ以外の方法」での感情表現を多く身につけることができたように思う。
例えば作中でも多く登場する「携帯電話」だ。
これは他の新海作品でも多く登場し、主人公の感情や葛藤を表すのによく使われる。
そして「音」。
些細な日常音や細かい劇番音楽のデザイン、声優ではなく俳優を起用したキャスティングなどでそれは見られる。彼は絵コンテの段階で音を合成している事からもそのこだわりが見て取れる。また今回のRADWIMPSの楽曲は映像が完成してから製作を行い、それに合わせて作画を修正したという力の入れようだ。

要するに彼は「背景の天才」なのである。
キャラクターの心情が魅力的に見える背景と音楽、それによって彼はキャラクターをデザインしている。
それは建築家が自ら作った建物の中では起こる幸せな風景を想像しながら図面を引くようなものだ。だからこそ彼はずっと主役にはなれないのである。

新海誠は色々なものが欠けている天才だった。
しかし、「君の名は。」はそれが見事に保管されていた。田中・安藤という新しい「素材」によって生まれた「瀧と三葉」のような素晴らしいキャラクターとそれを豊かに動かす技術。それが「結ばれて」初めてあのアニメが生まれたのだと思う。

新海誠は「宮崎駿」にはなれない。
彼は主役にはなれない。常に建築のように背景であり続けるように。

それでも「良い建築」の中で生まれる体験がその建築によって素晴らしいものになるように、「新海誠」という背景は同時に様々な「才能」が共演することができるような素晴らしい背景なのではないだろう。

本当に「良い建築」という言葉が彼の本質を表しているのかわからない。
それでも主人公の瀧が無数の建築の書籍と写真、そして大量のスケッチに埋もれた部屋の中でひたすらに記憶の中の街を紙に残している姿はまさに「建築」をデザインしている建築家そのものだった。

 

 

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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2016-09-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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