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メディアグランプリ

僕の心の特効薬は、映画館では観ることができない映画とその監督だった。


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記事:小野勝秋(ライティング・ゼミ)

「あ〜あ、やめなければよかった」

ここ数日、朝起きるといつもおそってくる後悔の念、胃袋の上のあたりがキューッと締め付けられるような感覚は、これまでに味わったことのないものだ。
これだけは考えてはいけないと、思えば思うほど考えてしまう。

2015年6月、僕は長年勤めた会社の取締役を辞任した。
周囲からは会社を去ることへの疑問の声もあったが、自分が考えた道を進むことに何の迷いもなかった。
やめた直後は、自由を得た喜びと、これから起こることへの期待で、ワクワクが止められなかった。
朝、通勤電車に乗らなくていいことは、これほど気楽なものだと初めて知った。
これまでに経験してきた実績と、長年思い描いてきた構想で、必ず成功するという自信は揺るぎないものだった。

しかし、現実は違っていた。
自信を持って提案した企画は、あっさりとボツにされた。
それではと、自分で立ち上げたようとした店舗のテストオープンでは、あまりにも期待外れの結果で、怖くて実開店する勇気はなくなった。
自分の夢に言い訳をして、苦し紛れに考えた新たな企画は、実現性が具体的にイメージできずに、始める前から失敗することが明らかだった。

正直、こんなにダメで惨めな自分がいることは、まったく想定外であった。
自分なら必ずできると思っていた大きな自信は、無残にも簡単に打ち砕かれた。

そんな悶々とした日々を過ごしているときに、ある映画に偶然出会った。

その映画を観たかったわけではない。というよりも映画のことはほとんど知らなかった。
その映画を観に行った理由は、自宅から徒歩で行けるホールで開催されるイベント、ただそれだけだった。

あまり映画には期待していなかった僕の思いは、冒頭のシーンで裏切られることになる。

主人公の女性は会社に辞表を提出する。その理由は「何でも出来ると思って仕事に打ち込んできたが、結局は何も出来ず、誰からも期待されていない自分はダメな人間だ!」ということに気づいてしまったから。

いまの僕の心理状態に、完全にオーバーラップしてしまったのだ。

その主人公の女性は、ストーリーが進む中で様々な人たちと出会い、そして自分の間違いに気付いていく。「誰かに頼ってはいけないと、自分の心の中に自分自身で境界線を引いて、自分を追い込んでしまっていた」ことに。

この言葉は、いまの僕の心のど真ん中にグサッと突き刺さった。

その日、映画上映会のゲストとして監督が来場していた。
イベント後の懇親会の終盤でようやく名刺交換をさせていただいたのだが、参加者が多くほとんど話をする時間がなかった。
あの言葉はどうやって生まれたのかを聞きたかったが、それは叶わなかった。

翌日、監督あてにFacebookの友達申請とお礼のメッセージを送信した。
意外なほどに、すぐに友達承認され返信メッセージがきた。

「おはようございます! 終電を逃し”マージナル”をさまよいました。(爆笑)」

えっ、なんだこのフレンドリーさは?
僕が勝手にイメージしていた監督像とは、大きくかけ離れたメッセージに思わず吹き出した。
”マージナル”とはこの映画のテーマにもなっている境界線を意味している。
おそらくこのとき監督は、僕が何者であるかはまったく知らずにメッセージを送っていた可能性が高い。この人はただ者ではないとそのときに知った。

映画のことよりも監督のことに興味を持った僕は、数日後に映画製作会社をアポなしで訪ねた。そこは空き家をリノベーションしたすごく雰囲気のよい空間で、映画のロケ地としても使われていた。

幸いにも、ただ者ではない監督はオフィスにいて、退屈そうにいや忙しそうにスマホと格闘していた。
僕は先日の上映会で映画を観たこと、懇親会で名刺交換させていただいたことを伝えた。
監督は「お〜っ!」と歓迎してくれたが、おそらく僕の事を覚えていないことは空気感で伝わってきた。

忙しいなか監督は、1時間以上も話しをしてくれた。会話の中でところどころ微妙に感覚がズレてしまうことがあった。よくテレビで見かける『天才』と呼ばれるアーティストにインタビューをして、会話がかみ合わずに戸惑っている司会者と同じ気持ちだと思った。

その微妙なズレが逆に、追い込まれていた僕にとっては、砂漠の中のオアシスのような心地よさを感じた。

それからは、たびたび『キネマフューチャーセンター』と呼ばれる心地よい空間で開催される定期上映会や、企業や団体が主催する映画上映イベントに赴き、何度もその映画を観るようになった。

本当に不思議なことだが、その映画は観るたびごとに受け取り方が変わるのだった。そのときの自分の心の状態によって、またいっしょに観る人によっても、心に響く場面がはっきりと変化していくのだ。

なぜそうなるかはよく分からないが、同じように複数回観た人が、同様の感想を話しているのを聞いて、僕の思い込みではないことは確かだった。

それから約8ヶ月、気がついたら視聴回数は10回を超えていた。
病んでいた気持ちはスッカリ前向きに変わっていた。朝起きて胃袋の上のあたりが締め付けられることはなくなっていた。決して病む以前の状態に戻ったわけではなく、自分の心のゆがんでいた箇所が矯正されてしまったかのうようだった。

周囲の目を気にしてカッコつけることはしなくなった。先のことを考えすぎて不安になることは無駄だと気づいた。自分のためではなく誰かのために何かできることを考えるようになった。
それは僕にとってはとても大きな進化だった。僕の心のシャッターが未来に向かって開いた瞬間だった。

いつ頃から効き始めたのかは定かではないが、確実にこの映画は僕の心を治療してくれていた。自分でも気付かないうちにじわじわと効き目が現れてきた。まるで漢方薬のように。

監督は相変わらずただ者ならぬぶりを発揮して、マージナルをさまよい続けながら、マージナルにさまよう人たちに救いの手を差し伸べている。最近思うのだが、この人はもしかしたらイエスの生まれ変わりが、あと3回くらい生まれ変わった人なのかもしれないと。

いま僕は、新たな夢を実現するために再び岐路に立った。でももう迷うことはまったくなかった。僕のやることはただひとつ、心の病に効くこの漢方薬を日本中の患者さんに届けることだからだ。
『映画が人を幸せにする』という言葉を信じて、監督と僕の旅はいま出航する。

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、店主三浦のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

 

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2016-09-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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