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秋の北海道にいくなら、道東の小清水町は避けた方がいい、これだけの理由


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記事:西部直樹(ライティング・ゼミ)

 

 

「北海道出身です」

 

というと、多くの人が、

「いいですねえ」と、憧憬を込めていわれる。

 

たまたま生まれたところが、北海道なだけで、私がいいわけではない。

 

しかし、皆、北海道に行ってみたいんです。とか、何とか言うのである。

 

秋の北海道は、危険だ。

わけても、わたしの故郷、道東の小清水町は避けた方がいい、と忠告したい。

 

小清水町にいったなら、

行きと帰りでは別人になっているかもしれない。

あるいは、帰れなくなるかもしれないから。

 

そんなところなのです、小清水町は。

 

これほど注意しても、わからないなら、

詳しくその危険性を説明しよう。

 

まずは、遠い。

いささか遠い。

それだけでも、行くのは大変だ。

 

羽田から、最寄りの女満別空港まで

徒歩だと1ヶ月くらい

飛行機もで2時間弱だ。

 

あなたは、空港に降りて驚くだろう。

 

なにもない! ということに。

空港のまわりは畑しかない。

あまりの何もないことに、帰りたくなるかもしれない。

だったら、今のうちに帰った方がいい。

それでも行くというのなら、止めはしない。

 

小清水町は、空港の近くではない。

ここから陸路を行くことになる。

徒歩だと24時間くらいかかる。

公共交通機関は、バスがある。

が、これでも乗り継いでいくと、半日はかかる。

なので、車を借りるしかない。

 

レンタカーは中型クラスがお薦めだ。

大型でもいい。

小さな車も悪くないけど、荷物はなぜか増えるし

長い時間のドライブになるから、大きめの車の方がいい。

 

さあ、小清水までドライブだ。

まっすぐに行って1時間弱である。

なお、北海道の道を走ると、

距離と所用時間が一致することに驚くだろう。

60㎞離れていれば、60分で着くことになる。

スピード違反をせず、時速60キロで走ればである。

なぜかって、渋滞とかがないからなのだ。

 

さて、小清水までは、いろいろなルートがあるが、

ここは、少し遠回りだが、網走市を抜けるルートでいってみよう。

ナビに行く先をセットしたら、出発だ。

 

女満別空港を出て程なく、右手に大空町の道の駅が見えてくる。

メルヘンの丘めまんべつ だ。

ヨーロッパのお城をイメージした建物だ。

もちろん、寄っていっても構わない。

名産のトマトジュースを飲んでもいいだろう。

 

しかし、旅ははじまったばかりだ。

財布と胃袋は、気をつけたいところだ。

 

北海道を車で行く時は、信号に気をつけなくてはいけない。

あまりに信号が少ないので、高速道路かと勘違いしてしまうのだ。

本当の高速道路以外は、ただの一般道だ。

制限速度は守った方がいい。

 

一般道を比較的遅い農業用のトラクターが走っていたり、

山道に入れば、キタキツネや時にはエゾシカに遭遇することもある。

運転には気をつけなくてはいけない。

危険に満ちているのだ。

 

そうこうしているうちに、左手に網走湖が見えてきた。

樹の間から見える湖面は、静かだ。

湖畔にはキャンプ場もある。

ボートの競技施設も見える。

 

そして、おっと、右手に

「博物館網走監獄」の文字が見えてくる。

そう、あの網走番外地といわれた網走監獄である。

何が「そう」なんだか、知りたければ、いってみるといい。

昔の監獄(今の刑務所のこと)が再現されている。

その独房の様子を見るだけで、背筋が伸びる。

このようなところで過ごしたくはない、

今までの不品行、いささかの悪行を改め、品行方正、清廉潔白に生きようと心に誓うことだろう。

ついで、お土産売り場で、「網走監獄から帰ってきました」お菓子を買ってしまうだろう。

 

ああ、娑婆の空気はうまいなあ、といっぱしのムショ帰り気分になったところで、

近くに「オホーツク流氷館」なるものがあるのを知ることになる。

 

オホーツクといえば、流氷である。

しかし、年中流氷があるわけではない。もちろんのことだが。

流氷館に行けば、本物の流氷を触ることができるのだ。

山道を登り、山頂付近にある「オホーツク流氷館」に入る。

ロビーには、「クリオネ」が待っている。

流氷の下にいるという、貝の一種だ。

でも、見た目は貝とは思えない。

可愛らしい天使のような生き物である。

たまにクリオネの食事風景も見えるが、それは、……。

 

 

地下は流氷の展示室である。

マイナス15度の寒さを体験できる。

どのくらい寒いかというと、入り口でぬれタオルをなぜか渡される、それを展示室内で振り回すと、瞬く間に凍り付き、棒状になってしまうくらいだ。

 

そのような寒さを体験したあとは、流氷ラーメンなどを食べてしまうかもしれない。

 

しかし、まだ、小清水町には辿り着いていないのだ。

なのに、あなたの財布は軽くなり、お土産(流氷館では、やはりクリオネの何かを買いたくなったりする)も増えているのだ。

 

これではいつまでたっても小清水町には辿り着けない。

 

気を取り直して、オホーツク流氷館のある天都山を降り、網走市市内へいこう。

志賀直哉の「網走まで」のあの網走である。

 

市内を抜けると、斜里国道を走る。

オホーツク海を左手に見ながら、広い道が続いている。

途中に、いくつもの「カニ」の看板が目に飛び込んでくる。

カニを売る店が多いのだ。

北海道のカニといえば、タラバ、よく似たアブラガニ、毛ガニが美味しい。

漁師が営む店もあって、取れたてのカニが茹で上がるのを見ることもできる。

いや、それを買っていたら、キリがないですよ。

ああ、タラバガニを丸ごと買ってしまって、安いっていっても、どこで食べるんですか!

 

まだ、網走市内、小清水町には辿り着いていないのですよ。

 

と、オホーツク海沿いに走らせていけば、見えてくるのは

小清水原生花園だ。

 

名画「幸せの黄色いハンカチ」にも出てきた。

「キタキツネ物語」にも出てきましたよ、この原生花園は。

 

左手に見える緑の帯、右手は濤沸湖だ。

原生花園ということで、咲き乱れる花々を思い描くことだろう。

 

しかし、原生花園で見えるのは、花ではなく草ばかり。

そして、草原の向こうに、茫漠と広がるオホーツクの海があるのみである。

原生花園の花の時期は、6月なのだ。

秋には何もない。

 

小高い丘に登れば、濤沸湖とその向こうに斜里岳や知床連山を望むことができる。

原生花園で見ることができるのは、湖と山々なのである。

 

海と草原と山々を眺めるのに飽きたら、売店に行こう。

原生花園の案内所に併設されたささやかな売店である。

ジェラートとかイモモチとか、小腹を刺激するものばかりだ。

その誘惑は心地よいほどに鼻孔をくすぐる。

 

しかし、まだ先はあるぞ、でもちょっと一口舐めたり、囓ったりもしたい。

誘惑に負けてもいい、なぜなら、旅先だから。

といい訳をしたくなるかもしれない。

 

原生花園をあとにして、その先に待っているのは、

またしても道の駅だ。

海が近いところだから、海の幸、山の幸が並べられ、

いくら丼まである。

この誘惑に打ち勝てるのか?

 

道の駅をあとにして、小清水市街に向かうのだが、

また、途中で誘惑がある。

 

「ほじゃが」の工場が左手に見えてくるのだ。

「ほじゃが」というのは、ほんの数年前にできた新しいお菓子である。

小清水産のジャガイモなどを使った煎餅のようなものである。

これは、なかなか、なかなか止められない味なのである。

 

廃校になった小学校を改築してできた工場は、

可愛らしい。

見学もできる。

もちろん、出来たてを買うこともできる。

 

ほら、もうあなたの財布は、とんでいくほど軽くなってしまったのではないか?

お腹は、夕食前だというのに、一杯になってはいないか?

 

これらは、有り金を吐き出させてしまう、恐ろしい罠なのだ。

 

ほじゃがの工場からは、ジャガイモ街道を通っていこう。

道の両側は、畑である。

ジャガイモ街道となっているが、ジャガイモばかりではない、

豆や小麦、ビート(甜菜、砂糖大根、グラニュー糖などの原料だ)の緑が広がる。

北海道の農地は広い。

数ヘクタール単位である。

1ヘクタールは、10000平方メートル、約3000坪である。

一軒の農家は30ヘクタールくらいの農地を持っている。

東京ドーム6個分くらいだ。

それくらいないと成り立たない、ということでもある。

 

ジャガイモ街道を抜ければ、小清水の市街だ。

町の外れには「リリーパーク」という百合の公園もある。

これは、明日にしよう。

ひとまずは、宿にチェックインだ。

温泉に併設された「ふれあいセンター」と、あまりに芸のない名称のところに泊まるのがいいだろう。

 

部屋で一息をついたら、温泉につかるのも悪くない。

移動の疲れも、運転の疲れも温泉に融け出していくだろう。

 

湯から上がれば、夜だ。

ふらりと外に出て、夜空を眺めれば、

都会では見ることのできない数の星々を見ることができる。

高い建物も、明るい明かりもないから、

大きな北斗七星、不動の北極星、名もしらない無数の星々がくっきりと見える。

 

大きな空を見上げたら、

仕事で行き詰まったこと、

つまらない人間関係、

叶えられない望み、

去っていった人のことなど、

何か些細なことのように思えてくる。

 

部屋に戻り、床につけば、

聞こえてくるのは、秋の虫たちの声、そして、夜の静寂。

時折聞こえる車の音が、いっそう静かさを際立たせる。

 

田舎の夜は、静かなのだ。

 

救急車のサイレンも、車の音、隣の住人の立てる生活の音も聞こえてこない。

 

そして、夜は深く暗い。

 

 

いかがですか、

わずか一日で、あなたの財布は軽くなり

あなたの体には、予想以上に栄養がまわり(温泉に入った時、体重計があるから計ってみること)

自然はあなたを包み込んでゆくのです。

 

それでも、あなたは、秋の北海道、しかも道東の小清水町に行きたいと思いますか?

 

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、店主三浦のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

 

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2016-09-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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