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頭痛のせいで、生きる気力が湧いてきた話


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記事:石村 英美子(ライティング・ゼミ)

「いや、ブラジャーは戦闘服でしょう!!」

そう、ムダに力を入れて言い放った時でした。ハリセンで後頭部を殴られました。

もちろん比喩です。誰も後ろにはいませんし、会場の書店にはハリセンなど常備していません。グループワークでそれぞれの見解を発表している最中、後頭部にハリセンで殴られたような痛みが走ったのです。

調子こいてしゃべる私に、関西風のツッコミでも入ったのかと思うようなタイミングでした。最初の衝撃の後、左側後頭部を中心に締め付けるような、ズキンズキンと脈を打つような痛み。普段、滅多に頭痛が起きることは無いためすっかり気を取られてしまい、ただでさえ散漫な思考がバラバラとほどけていってしまいました。

帰ってビールでも飲んだら治るかな? と甘く考えていましたが、翌日もその翌日も痛みは治まりません。

世に中にはあんなにたくさん頭痛薬があるのだから、きっと頭痛持ちの人もたくさんいるのでしょう。私もその仲間入りをしたんだなぁと思い、まぁまぁしんどいものの、働けないほどでもないので普段通りの生活を送っていました。

私は人間が小さいため「具合が悪い」アピールをする人が大嫌いです。SNSにそのような事が書いてあってもアピール臭がする場合は、どスルーしてしまいます。でも、いざ自分がこうなると周りに言いたくて仕方がありません。

「あのね。ここ何日か、頭が痛いのが治らないんだ」
「そうなん? 大丈夫? 病院行った?」
「いや行ってない。でも多分頭痛薬が処方されて終わりだと思うし、病気って訳でもないし」
「いやいや、それ自分で判断しちゃダメって。ちゃんと診てもらって、どうだったか教えてね」

同僚は優しい言葉をかけてくれます。うん、悪くない。この感じ悪くない。これはあれですね、癖になりますね。だからみんなアピールするのか、などと妙に納得してしまいます。今度アピールされたら、人にも優しくしてあげよう。

そんな感じで数日経過。
この後「容体が急変!」とでもなればスペクタクルなのですが……。

現状維持。ずっと現状維持。
お願いだから維持しないで! 治るかひどくなるかして!!

さすがにだんだん不安になってきます。イブプロフェン系のお薬は効かなかったので、ロキソプロフェン系のお薬で症状をごまかし、夜中にネットで原因を調べてみました。夜中にそんな事してもろくな事にならないのは分かりつつも。

そしたら出るわ出るわ「偏頭痛」「緊張型」「三叉神経頭痛」いろんなものがありましたが、どれも症状が一致しません。そして不安は増すばかり。その中で最も不安を煽る文字を見つけました。

「くも膜下出血」

後頭部にバットで殴られたような痛みが走り……云々。

やめてやめて!
私が殴られたのはハリセンですから!

そして突然、ある女の子の事を思い出しました。

彼女は、毎月集金に行っていた建築事務所の事務員さんでした。月末に行くと、私の顔を見るなり「あ!」って顔をして、小型金庫から封筒に入ったお金を出し走ってきました。

一万円未満の小口現金は彼女の担当のようで、駆け寄って来るなり一生懸命お札と小銭を数えて直し、渡してくれました。何も走らなくてもいいのにと思いましたが、色白で小柄な容姿と相まって、小型犬のようで可愛らしくもありました。

ある月、いつものように集金に行くと、小型犬の彼女はいませんでした。もう一人の大仏パーマの事務員さんにお金を受け取りながら、なんとなく「あの子、お休みですか?」と尋ねてみました。すると思いもよらない言葉が返ってきました。

「あの子ね……亡くなったの。くも膜下出血」

完全に二の句が継げませんでした。金曜に「頭が痛い」と言っていて、月曜には家族から亡くなった旨連絡があったとのこと。まだ25歳だったそうです。

「人生、分からないもんやねぇ。あなたも気をつけなさいね」

驚いたものの、友達だったわけでもないのでそんなに悲しくはありませんでした。パーマの事務員さんに言われた事にも「どう気をつけろっちゅうねん」としか思いませんでした。そしてこの事はすっかり忘れてしまってました。

しかし、思い出しました。今になって思い出しました。あの不公平感。小型犬の彼女の、突然終わってしまった人生。人は死ぬ。確実に死ぬ。でもそれはいつなのか、誰しも平等に「分からない」という事実。忘れていたけど、私はその時とても怖かった。
彼女を思い出したことで、あらためて思いました。

そうか、私も死ぬのか。それも、もしかしたら今日明日にでも。

いいえ、くも膜下出血への不安ではありません。だって、おそらく違うことは分かっているから。不安の対象が、頭痛という事象ではなく「死」そのものにスライドしてしまったのです。

明日、帰り道で交通事故に遭うかもしれない。わけの分からない人に、運悪く刺されるかも知れない。うっかり死ぬチャンスはいくらでもある。できたらまだ死にたくない。

まだ何者にもなってないし、何も成してない。見たい物も知りたい事もまだまだある。猫だって飼っている。

それ以前に。
それ以前に。

こんな散らかった部屋を遺して死ねない!
山盛りの洗濯物と、靴箱から出しっぱなしの靴と、先月出し損ねた燃えないゴミと、食べ散らかした台所。ハードディスクも破壊したいし、ほとんど呪いのような事を書き綴った手帳も燃やさなければ。後始末しないまま死ぬ訳にはいかない、こんな汚部屋を他人に片付けさせる位なら死んだほうがまし! 違う、死んだらダメだった! あーダメだ!!

軽くパニックになりました。しかしそれが治まってくると、今度は急に可笑しくなりました。普段、やる気なく生きているくせに「どんだけ生きたいんだよオレ」と。

そう、生きたいです。まちがいないです。時々冗談で「明日死ぬかもしれないし」なんて言いながらもう一杯と深酒したりしてますが、やっぱり明日じゃ嫌なんです。もう少し、先がいいです。

夜中の思考の堂々めぐりは、意外なところに着地して、安らかな気持ちでベッドに入りました。相変わらず、頭はズキンズキンと痛いままでしたが。

数日後、ちゃんと病院に行きました。
何科を受診したらいいのか分からなかったので「頭痛外来」を予約したのですが、患者さんがとても多いらしく1週間後しか予約が取れなかったのです。

問診票を見た先生は、説明しなくても「こうですね?」と症状を言い当てました。首や肩を押したり、平衡感覚を見たり膝をハンマーで叩いたり、病気の所見がないかも念のため確認されましたが、専門の先生からするとありふれた症状だったようです。

診断は「頭部神経痛」
首から後頭部にかけての神経の痛みが頭蓋骨外の頭部表面に現れるそうで、極度の肩こりなどが原因とのこと。肩はあんまり凝ってないですけど、と答えると「いや、立派に凝ってます」と言われてしまいました。

神経痛って。おばあちゃんかよと思いましたが、すでに年齢は立派に初老。さもありなんというわけです。結局、この痛みは厳密に言えば頭痛ですらありませんでした。

処方箋薬局で筋緊張緩和剤を受け取って帰る私は、原因がわかった安心とは別に「今日も生きててラッキー」という高揚感でニヤついていました。考えてみれば、こんな些細なことで不安になるのも、お母ちゃんが丈夫に産んでくれたおかげです。

だから、たまには少し病気になるのも悪くない。「あぁ、オレ生きたいんだな」って実感するから。そんな風に思いました。

ま、少しだけだったら、ですけどね。

 

***
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2016-10-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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