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実は天狼院と書道は同じである


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:佐藤穂奈美(ライティングゼミ)

目の前にぺらん、と5000円札が落ちていた。

ある日、わたしは高校の廊下で5000円札を拾い、それを届けた先が書道室だったから、たったそれだけの理由で書道部に入った。正確には「5000円札を届けれくれるような君は、書道部にはいるべきだ!」という先生の謎の演説に圧倒されていつの間にか入っていたのだけれど。

入って間もなくの頃、書道室でいつも通りわたしは書き始める準備を始めた。

墨をすって、筆をつける。すこし筆を絞って、一画目にすっと下ろす。

すこし止めて、そのまま横にすうっと伸ばす。

うーん。

たかだか線が綺麗にひけただけでなんでこんなに気持ち良いのだろう。

いつの間にいたのか、先生がうしろから覗き込んでいる。

「惜しいですね」

「どこらへんがですか?」

「最初の横線はもう少し抑えめに書いた方が全体のバランスが良いと思いますよ」

あれ? そこは自分でもけっこううまくいった! と思っていたところなのに……。

なんでかなあ、と思いつつも、とりあえず先生の教えに従う。
先生はいつもどこかアイスを買ってもらった子どものようにふくふくしく、かつ、字は抜群にうまかった。そんな先生はいつも純粋に字のことを考えて指導してくれているとわかっていたから、とにかく先生の言うことを実践し、先生の書き方を真似た。

まだ春だと思っていたらいつの間にか夏になっていた。
「秋の県展に出しましょう」という話になり、夏合宿に行く羽目になった。

書道部の夏合宿なんて聞いたことがない。

なにをするのかといえば、眠りもせず、ただひたすらに書いて書いて書きまくるのである。

わたしたちは、高校生の合宿ならでは! といった青春のきらめきを感じることもなく、すこし湿気のある部屋に閉じこもり、ひたすら書いて書いて書きまくった。

ある程度書き進めると、自分の身長くらいある長い条幅を壁にいくつか並べる。

一歩離れてみると、自分の目にもダメなところがすぐにわかる。

ああ、ここは一画目が丁寧にできていない。
ここは筆が乗ってしまって必要以上にはらってしまった。
ああ、ここは上の3文字でうまく墨がきれなくてかすれがうまく出なかったな……。

みんなが自分の作品を見て「フムウ。フムウ」とうなっていると、先生がスタスタと歩いてきた。

「みなさん、書道は呼吸なのです。書く時に息をとめてはだめです。自分の呼吸のリズムにのせて書くのです」

「ほほう」

書道は面白い。
一息で書く、とはよく言うけれど、本当にそうである。
書道は自分の呼吸や精神状態がすぐ文字に反映される。
書道は確かにテクニカルなところもあるけれど、とっても精神的で肉体的だ。
人間のずうっと深いところにあるものがシンプルに出てくる。

わたしは昔からすこし紙が斜めになってしまうくせがある。姿勢が悪いのだ。左肘を机に寄せた方が書きやすいから、体が斜めになる。字も斜めになる。
自分が楽な方に流れると行の角度ですぐにばれてしまう。

すこしうまくなって行書体などを書いていると、ススウッとはらって返した筆で、また次の一画をおろす、みたいなことをやるが、ちょっと調子にのると不要にはらいが長くなって、キザったらしい文字になる。

はたまた、長い時間書いているとたまに腕を一定の高さ、角度に保つのが辛くなったり、姿勢が崩れたりもする。それでも線は見る間にへにゃへにゃとする。

書道は奥が深い。

ほんとうに深い。

最初から字がうまい人、というのはいるけれど、きちんと練習すれば、ある程度まではあまり字の上手さに差はないと思っている。何度も何度も型を覚え、反復することで、どんな人でもある程度きれいな字を書くことができるのだ。

ただ、ある程度字がきれいになってから、他人が見てほんとうに「きれいだなあ!」と感動してくれるようになるためには、もうそれはそれは何度も反復練習が必要だし、テクニックだけではたどり着けないように思う。

書道のはじめは、だいたいが模写をするところから始まる。理想形はわかっているのに、たどり着けない。たどり着くには自分の呼吸や腕の動き、気持ちの動き、全部をあるべき場所に、ピタッと収めなければならない。

でも、それがうまくはまった時の気持ちは格別だ。

書き終わって、それを眺めると、ほんとうに絶妙に白と黒がちりばめられていて、まるで絵のようになる。

先生曰く、「書道は白と黒のバランス」なのだそうだ。

わたしは最近天狼院に通っている。
天狼院書店は不思議な本屋さんだ。本屋さんといっていいのか分からない怪しい本屋でもある。
わたしはその怪しい本屋さんの怪しさの総本山のような三浦さんという店主の方にライティングを習っている。

はじめて文章を書く、ということをしていて気がついたことがある。
書道のときと同じなのだ。

自分が記事を書くと三浦さんがコメントしてくれるのだが、それを見てもう一度自分の文章を読み返すと「なるほどなあ! たしかにそれ、できていなかったなあ!」となるのだ。

自分がるんるん、と書いていて「これよくできたな!」と思うものが、他の人もそう思うとは限らない。

書道をしていると、自分の中にぐるぐるとうずまく「こうしたい!」という気持ちがあるのをすごく感じる。

それをぐうっと抑えて、必要な分を紙に落としていく。
自分の想いを表現するために、力を抑えたり、放ったりする。
それがひとつのバランスを持って、紙の上からわたしたちになにかを訴えてきた時、「なんかすごいなあ!」と感じるのだ。

花道や柔道、剣道など、わたしはほかに「道」と名のつくものをやったことはないけれど、なにかを突き詰めていこうとする行為はきっとすこしずつ似ている気がする。

まずは型を極める。それが、それこそ息をするようにできるようになって初めて自分のアレンジを加えていく。そこに自分の気持ちが入って、誰かの心を動かすようなものになる。

高校生のとき、知らず知らず書道にのめり込んでいったときのように、いまは文章を書くことにすっかりのめり込んでいる。なんで、のめり込んでいるかというとそれがすきだし、自分ができないところをちょっとずつできるようにしていく、その過程が楽しいからだ。

いつかすてきな文章を書くには、まずは書道で言う所のとめ、はね、はらいみたいな型を学ぶことが必要だ。

いきなり自分らしい何かを探すのではなく、まずは自分がいいなあ、すごいなあと思った人を真似る。
基本、みたいなものをせっせと自分のものにする。

わたしはまだ、あれがいいかな、これがいいかなとぐるぐるしてしまうけれど、いつか「面白いっ」と言ってもらえるような文章がかけるように、いまはぐっとエネルギーをためて、コツコツ型を学ぶのだ。

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、店主三浦のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

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2016-11-04 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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