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メディアグランプリ

たったの3日間で引越ししたが、けっして「夜逃げ」ではない。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:YO-DA(ライティング・ゼミ)

30年以上前の話だ。
私は、都内の高級住宅街のマンションに、5ヶ月間だけ彼女と暮らしたことがある。
と、言えば聞こえは良いが、その広さは約6畳の独身用ワンルームマンションだった。
近くには高級スーパーが1件あるだけで、物価が高く、若者には不向きな環境だった。

なぜ、そんなところを選んだかというと、通勤に便利で、かつ私の条件に合致する物件が他になかったからだ。私が探していたのは、敷金なし、礼金なし、1ヶ月単位で借りられる「マンスリーマンション」だった。そこの家賃は、月10万円だった。

そこを借りる前、私と彼女は、同じ会社の独身寮(もちろん男女は別)に住んでいた。
当時、二人は両家の両親の了解も得て、翌年には結婚式を挙げる約束をしていた。

しばらくして、二人は挙式前に入籍し、会社に結婚届を出した。
なぜ、挙式前に入籍したかというと、一日も早く社宅に入居したかったからだ。
社宅は、建物が古くてぼろぼろだったが、なにしろ家賃が安かった。
会社に「社宅入居希望申請書」を出すためには、結婚していることの証明が必要だった。

そしてある日、会社の福利厚生担当者に、婚姻届の写しを添えて「社宅入居希望申請書」を提出したのだが、
「うーん、二人とも寮に入っているのだね?結婚したからといって、寮から直ぐに社宅に入るっていうのはねー、ちょっと、難しいねー。短期間でいいからさー、民間のアパートに入って住所を移さないと駄目だね」と、言われたのだ。

「えーっ、聞いてないよー」と、言いたかったが、経験上、こういう人に対して盾突いてはいけない。言われたことを素直に聞くしかない、と思った。

いろいろ考えたあげく、私は早々に寮を出て、このマンスリーマンションに引っ越した。
これは、小さなキッチン付きのホテルのシングルルームを月極めで利用する感じだ。
部屋が狭かったので、寮の倉庫に荷物を少し置かせてもらった。

その数日後、彼女もまた身の回りのものだけを持って、その狭いマンションにやってきた。彼女も、寮に荷物を預かってもらったのだ。

その後、二人は正式に住所を変更し、会社に「社宅入居希望申請書」を提出した。
しかし、なかなか社宅入居の決定通知は来なかった。
そうこうしているうちに、2ヶ月、3ヶ月、・・・・・・と、時は流れた。

ある日の朝、私がゴミを捨てようと集積所に行くと、マンションの管理人さんが「あのー、山中さん、お引越しはいつですか?」と、聞いてきた。

「あ、いや、まだ、全然決まっていませんけど、・・・・・・」と、私が怪訝な顔で答えると、「あっ、そうですか。じゃあまた、あとで・・・・・・」と、なんとなく不安な様子。

その瞬間、私はひどく動揺した。突然、頭の中に自分の言葉がぐるぐると渦を巻いた。
「なんだ、今の?」
「あれっ、俺って、いつまで借りてるんだっけ?」
「あっ、そういえば、俺、契約のときに5ヶ月ぐらいでいいですって言ったかも」
「あれぇっ、じゃあ、期限はいつだ?」
「ひょっとして、今月末までじゃないのか?」
「ひえーっ、あと、10日しかない。いったい、どうすんだよー!」

私は、すぐに管理人室へ飛んでいった。
思ったとおりだった。契約は、その月の末日までだった。
翌月のはじめには、次の人が引っ越してくることになっていた。
「ガーン」
その時、本当に頭の中で「ガーン」という音が聞こえた。

その日、管理人さんから聞いたことを、彼女にすべて話した。
彼女は、意外と冷静だった。
「うん、じゃあ、引っ越すしかないね。で、お休みはいつ取れるの?」
「うーん、・・・・・・26、27、28日の3日間かな。」
「うん、いいよ、それで。私もその日なら休めるから」

すごい!奇跡だ。
彼女は泊まり勤務が多いから、これまで一緒の連休なんて、なかなか取れなかったのに。
でも、もうその日に引っ越すしかない。それも来週だ。
その時、私は、まるで「夜逃げ」みたいな引越しだな、と思った。

すぐに本屋へ行って「住宅情報」を買い、数日かけて良さそうな物件の目星をつけた。

そして、その月の26日(1日目)
朝から、二人で2軒の不動産屋さんに行って、3つの物件を見せてもらった。
結局、夕暮れ時になって最後に見せてもらった物件で、京王新線のある駅から徒歩5分という通勤に便利な「1K」に決めた。
1階は大家さんのお宅で、2階部分の2部屋のうちのひとつだった。6畳間にキッチンと、バス、トイレがついて、月6万5千円だった。手頃な家賃も気に入った。
そして、その日のうちに、タウンページで引越し屋さんを探し、3社から料金を聞いて、一番安いところに決めて手配をした。

そして、27日(2日目)
朝から引越しの準備をした。要するに、荷物の整理と部屋の片づけだ。
そして、「明日、引っ越してきます」と、大家さんに挨拶に行ったのも、この日だった。

そして、28日(3日目)
いよいよ引越し当日だ。幸いにも、天気は快晴だった。
朝から、引越し屋さんの小さなトラックが1台と、運転手とその助手が一人来てくれた。

大きな荷物がなかったこともあって、荷物はスムーズに搬出できた。
途中で寮の荷物をピックアップしながら、トラックは新しいアパートへと向かった。
二人は、引越し先へ電車で移動した。

二人は、トラックよりも先にアパートの部屋に到着していた。
良い天気だった。南側の窓には日差しが照りつけて、春なのに汗ばむような陽気だった。
私は、何気なく、両手でスラリと窓を開けた。

すると、眼下には、お墓がずらーっと並んでいた。
二人は絶句した。

「昨日、もう暗くなっていたから、外を見なかったね。・・・・・・ごめん」
「・・・・・・まあ、隣に大きな建物がないと、風が通って洗濯物が良く乾くよね」と、私は、乾いた声で言い訳した。
後から考えれば、なぜか、その窓には「すりガラス」がはめられていた。

しばらくして、引越し屋さんのトラックが到着し、二人のお兄さんが2階に上がってきた。
開け放たれたその窓からの景色を見て、年上とおぼしきお兄さんが、大きな声で言った。
「ああ、いい部屋ですねー。日当たりも良いし、風通しも良いし。そういえば、お墓の隣の家は縁起が良いって聞いたことがありますよ。いいなあ、いい風だー。」

私は、そのお兄さんに、心から感謝した。

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2016-11-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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