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「君の名は。」で泣けなかった人も、この映画を見ればきっと、途中で3度泣き、エンドクレジットで4度目の涙をながす


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:菊地功祐(ライティング・ゼミ)

 

「また泣けなかった……」

大ヒットしている「君の名は。」を見て、泣いている観客に混じり、一人空気のよめない男がいた。

 

私だ……

 

感動に包まれている映画館の中で、私だけどうも浮いている。

 

 

隣の高校生のグループは中盤から、おいおい泣いていた。

前席の年配の女性も、館内に響くくらい泣きまくっている。

 

それなのに私は……泣けなかった。

 

「君の名は。」が駄作だというわけではない。ふつうに感動した。

むしろ、泣けない方がおかしい。

本当に素晴らしい映画だと思う。

 

しかし、私は泣けなかった。

 

私は、涙もろい人間というわけではないけども、子供のころは、

タイタニックを見て、死ぬほど泣いたし、感動映画を見たら、たいてい泣く。

 

しかし、あることが原因で、ここ1〜2年の間、

映画を見て泣くことができなくなってしまったのだ。

 

その原因は……映画を見すぎたことにある。

 

 

私は、学生時代に死ぬほど映画を見ていた。

本数を数えてみると、少なく見積もっても年間350本以上。

 

TSUTAYAから年賀状が届くほど、狂ったように映画を見ていた。

 

今思うと、相当頭がおかしい。

 

そのころは、自主映画サークルに所属していて、映画作りに熱中していたので、

勉強のためにも見なきゃと思い、浴びるように映画を見ていたのだ。

 

ただ、ひたすら映画を見ていた。

 

映画を見るのをやめてしまうと、干からびて死んでしまうのではないかというぐらい、狂ったように映画を見ていた。

 

高校生の頃は、私は何の趣味もなかった。

何も取り柄がなかった自分。

だから、何か人よりも突き抜けたものが欲しいと思っていたのだとおもう。

 

自分にしかできないことは何だろうと考えたすえに、出てきた答え……

 

それは映画だった。

 

映画だけは人一倍見てやろうと思い、死ぬほど映画を見ていた。

他人が見ていて、自分が見ていない映画があったら必ず見るようにしていた。

 

 

何も予定がない日だと、1日に6本は映画を見ていたと思う。

 

1日にそんなに映画を見ていたら飽きるだろう!

と思う人もいるかもしれないが、

ヒューマンドラマを見て感動した後に、

ゾンビがぐちゃぐちゃ出てくるスプラッター映画で、うまい具合に感動を

中和していくと……

意外と1日6本の映画を見ることができるのだ。

 

起きている時間よりも映画を見ている時間の方が長かったんじゃないか?

 

自分が編み出した、映画を連続で見続けるためのメソッド。

何の役に立つのか……
 

映画を死ぬほど見続けると同時に、脚本や映画制作の勉強にも熱中していた。

私が住む調布市は、その昔、東洋のハリウッドと呼ばれていて、

映画撮影所が密集している場所だった。

角川、日活、東宝などの撮影所が調布の多摩川近辺に集中している。

そのせいか、映画の街として、調布市がPRしていて、図書館にも映画コーナーが充実していた。

 

映画コーナーに閉じこもっては、一日中むさぼるかのようにストーリーや

映画関連の本を読み漁っていた。

何のために役立つかわからなかったが、こうしていないと自分が自分で無くなる気がしていた。

 

アルバイトをしても失敗ばかりで店長に怒鳴られていた自分。

何をやってもうまくいかなかった。

 

高校は進学校で、化け物のように頭がいい人を見て、

勉強ではこいつらには勝てないとわかった。

現役で東大に入り、彼らは将来、日本を動かしていくであろう人材になるのだと思う。

 

何の取り柄もなかった自分。

つらかった。

せめて、映画だけでもと思い、彼らを見返してやろうと、映画に関連する本を読み漁った。

 

特に感銘を受けたのは「定本ヒッチコック映画術」という本だった。

これは、映画の教科書のような本だ。たしか、天狼院にもあったはず?

 

 

サスペンスの定義を生み出した巨匠ヒッチコックが解き明かす、人を魅了するストーリーの構造や、ドキドキさせるサスペンスの仕組みが書かれていて、

夢中になって読みふけった。

 

 

そこで培ったサスペンスの法則やストーリーの黄金法則を

自分の自主映画作りに取り入れていってみた。

 

家の壁にストーリーボードを作って、感動のポイントに付箋を貼り、

物語の流れやサスペンスの流れを書き出していく。

 

こんな感じに映画漬けの日々を3〜4年続けた。

すると、どんなことが起こったのか?

 

 

 

映画を見て、全く泣けなくなってしまったのだ。

 

 

作り手の視点で映画を見る癖がついてしまい、ストーリーの展開が

ある程度、予想できるようになってしまった。

 

映画を見ているうちに、ストーリーボードが頭の中に浮かんできて、

感動を生み出す仕組みを考えてしまうのだ。

だから素直に映画を見て、感動することができなくなってしまった。

 

 

「君の名は。」を見ていても、頭の隅っこで、プロデューサーである川村元気のしたり顔な姿が浮かんできてしまうのだ。

 

ちくしょう! 新海誠という才能に新たな道を与えたな!

というような感じで。

 

そんな具合にして「君の名は。」を見てしまい、私は泣くことができなかったのだ。

 

 

 

 

日本中が「君の名は。」旋風で大騒ぎしている頃、

私がいつも楽しみにしている映画評論家の町山智浩さんのラジオの中で、

やたらと町山さんが大絶賛している映画がとても気になった。

 

それは、小さな劇場だけで公開されている、とある日本のアニメーション映画だった。

 

監督も無名のうえ、低予算で作られ、上映されている映画館も少ないが、

口コミで評判を呼び、カルトヒットを飛ばしているという。

 

主人公の声優は、数年前に一世を風靡した朝ドラヒロイン。

 

戦時中に生きた人々の姿を描いた感動作だという。

 

またこの手の映画か……

 

正直、そう思った。

 

 

 

日本が描く戦争映画は、どうも昔から好きになれなかった。

戦争を利用したお涙頂戴の映画が多すぎるのだ。

 

戦争は良くないと思いつつ、「生きて帰ってきて!」と見送る妻。

愛する妻を思い浮かべながら戦地で息絶える夫など、

戦争を否定するついでに涙を誘う展開で、お涙頂戴な映画が多すぎる。

 

 

戦争を否定的に描くのは、戦争を体験していない人による、後付けにすぎないんじゃないか?

 

もちろん、私も戦争には反対だ。

だけど、日本は敗戦国のため、戦争を描きづらいのもわかるが、

涙を誘うために戦争を取り上げるのはどうなんだろう?

 

そう思っていた。

 

またしても、お涙頂戴な展開で泣きはしないだろうと思っても、

気になって仕方がなかったので、予定が空いている日に、

その映画を見にいくことにした。

 

 

また、感動に包まれている映画館の中で、自分だけが浮くのか……

 

どうせ泣きはしないからと思い、ハンカチすら用意しなかった。

というか、その日に限って忘れた。

 

ま、いいや。

どうせ泣けないし、

泣かないし、泣きたくても泣くことができないし。

 

映画がはじまる。

 

 

 

え?

 

思った以上にいい。

 

 

 

あ、やばい……

 

 

 

 

 

 

やばい……涙が……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

号泣……

 

 

 

 

ハンカチをくれ! 誰かハンカチをくれ!

 

 

映画館の中には、年配の方から10代の女性まで幅広い客層がいたが、

全員涙を流していたんじゃないかと思うほど、感動に包まれていた。

 

鼻水が垂れるくらいの号泣。

 

ハンカチじゃダメだ! タオルをくれ!

 

いや、タオルでもダメだ。

バスタオルをくれ!

 

これはやばい。

とんでもない映画だ!

おいおい泣きながら、帰りにショップでパンフレットを即、購入。

 

私は、あまりパンフレットを買わない人間だけども、

無意識のうちに買ってしまった。しかも、泣きながら。

 

おいおい泣きながらパンフレットを買う私。

 

完全にドン引きしている店員……

 

涙腺崩壊。

 

泣きまくった。

 

これはすごい映画だ。

戦争映画なのに、戦争を否定的に描いていない。もちろん肯定しているわけでもない。

 

なのにこの感動。

自分がいま生きているっていうことだけで、ぼろぼろ涙が溢れてくる。

 

 

 

 

数日経って落ち着いてから、この映画についてもう一度考えてみることにした。

感動場面を、思い出していく。

するとわかったことがあった。

 

この映画は、途中までに3度泣いて、エンドクレジッドでもう一度、

涙を流す映画なんだなと。

 

 

ストーリーの山場が、本編では3度ほどある。

そして、本編が終わった後に、エンドクレジットで流れる文字を見て、

最大級の涙が溢れるのだ。

 

映画館にいた人の多くが、エンドクレジットの文字を見て涙を流していた。

 

 

 

年間350本ほどの映画を見てきた私だが、本編だけでなく

エンドクレジットだけで泣かせる映画ははじめてだった。

 

クレジットされている名前を見ただけで、ぼろぼろ涙が溢れてくる。

 

そう、この映画はエンドクレジットに仕掛けがある。

この映画を作った人たちの思いがクレジットの中に込められているのだ。

 

そして、クレジットされている人々の数。

あぁ、地球に生まれてよかった!
 

 

 

 

映画のストーリーも、とてもよくできている。

 

ヒッチコックの時代から提唱されてきているサスペンスの定義をあえて破壊しているのだ。

 

感動に効く薬としてサスペンスの要素は欠かせない。

二人はどうなるの? というドキドキする展開がのちの感動に結びつく。

「君の名は。」もサスペンスがうまい具合に使われていた。

さすが川村元気さん。

 

この映画を見ていると、ヒッチコックが提唱したサスペンスはもう古いんだなと思ってしまった。

 

 

本当にうまい具合に、観客にだけわかるサスペンスが使われているのだ。

 

 

この映画は昭和8年からはじまって、

後半のある日に向かってストーリーが進んで行く。

 

そう、現代に生きる我々だけが知っている、あの日のことを。

あの日、あの場所で一体何が起こったのか? 私たちだけが知っている。

 

 

「ああ、そっちに行っちゃダメ!」

と映画のなかで暮らす人々に向けて、言いたくなってしまうのだ。

 

「君の名は。」を見て、泣いた人も、あるいは泣けなかった人も、

ぜひ見て欲しい映画だと思う。

 

この映画は、11月から全国のミニシアターを中心に、随時公開されている。

主人公の声優はあの朝ドラヒロイン。

クドカンの脚本で、有村架純が可愛かったやつ。

 

 

 

この世界に居場所が見つけられない人こそ見て欲しい。

また、あなたの周りにいる、自分の居場所を見つけられない人に贈るのもいい。

 

たとえ、この世界の片隅でも、自分が生きてることにきっと感謝できる映画なのだ。

 

 

見るときはハンカチの用意を。

またはバスタオルの持参が必要かもしれない。

 

*** この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、店主三浦のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

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2016-11-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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