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メディアグランプリ

「羨ましい!」と叫ぶことすらできなかった私は、ネバーランドへ行きたかった。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:福居ゆかり(ライティング・ゼミ)

「ああ、すごいなぁ……」
独り言がこぼれ、ため息をつく。
どうやったら、こんな記事書けるんだろう。
開いているページは「メディアグランプリ」。上位の人たちの記事を読み、ランキングを見ては毎週のようにそれを繰り返していた。

私には、人を惹きつけるものがない。ずっと、そう思い続けてきた。
なんでもそこそこで、特に秀でたものがない。特に大きく自分を主張しないので、目立たない。ないない尽くしのオンパレードだ。
学生の頃、大抵女子はグループに分かれて過ごす。その中でも一応定位置はあるものの、ふらふらと一人、他のグループに入って遊びに行っていた。そのくらい、どこにでも馴染めるけれど存在感が薄く、人目を引かなかった。

妹の梨香は私と対局だった。
どこにいても目立ち、クラスでダンスをやれば1番前に立って踊る、グループのリーダー格だった。何もしていなくても彼女の周りには人が集まった。
実家の周囲には同じくらいの年の子が何人か住んでおり、いつも小学校が終わると皆で遊んでいた。
ある日、梨香は熱を出した。私は、いつもなんとなく梨香に対して引け目を感じていたので、1人で遊びに行けることにウキウキしていた。
けれど、遊んでいると口々に皆がこう言った。
「梨香ちゃんがいないとつまらないね」
私は、それは「私がいてもつまらない」と言われているような気分になった。
どうして梨香ばかりなんだろう、ずるい。そんな気持ちでボールを蹴った。

「羨ましい」、その言葉を知らなくてもずっとずっと、私の心の中にその気持ちはモヤモヤと渦巻いていたのだと思う。
私は何かを「持っていない」、そんな気持ちになることが多かった。

時は流れ、私は高校生になった。
進路が見えて来た頃、私は焦り始めた。特にやりたいことも決まらず、突出して何かが得意なわけではない私は、どうしていいのかわからなかった。
周りの友人はどんどん進路を決めていった。得意なもの、夢を皆それぞれ持っていて、それを語っている姿ははっと惹きつけられるほど輝いていた。
「持っている」人たちは、私には眩しすぎた。
私は、「地味な私がこんな事を言ったら笑われる」と思っていた。自信がなく、人前で自分のことを話す事が怖かった。なので、進路希望調査もこそこそと手元を隠して書き、適当な大学に進学した。

そして、私も成人を迎える頃になった。
そんな折に梨香から「就職が決まったの」と連絡があった。
実家に帰ると、お祝いのためにずらっと料理が並んでおり、ニコニコしている両親がいた。梨香は真ん中に座っており、見事に主役を務めていた。
手に職やから将来安泰やわぁ、子ども出来たらいっぺん辞めてもまた働けるし、ホントあんたはいい仕事についたわ、と祖父母は梨香のことを褒めた。
「で、ゆかりはどうするんや」
そのうち来るだろうと予測はしていたが、いざお鉢が回ってきた私は聞こえないフリをした。
「大学行って、どうするか決めたんか」
畳み掛けるように言われると無視はできず、「まだ2年も先やし」とお茶を濁すのが精一杯だった。
私は当時、完全に迷走していた。相変わらず突出したものが見つけられないままだった私は、逆に考えればなんでもそこそこ出来るのだから、と教員になろうと思ったのだった。
しかし、教員こそ「華」が必要な職業だった。生徒の前で立って、授業を教えるには人を惹きつけなければならない。惹きつけられなければ、授業はうまく進まなくなってしまう。
それを教育実習で思い知った私は、自分はこの職業に向いていない、と思った。そのためにどの方向に走っていいのか分からなくなり、大学を辞めるかどうかで悩んでいた。
将来の夢を実らせ、「持っている」梨香はキラキラ輝いて見えた。
ねー、ゆかり就職どうすんの、実家帰ってくるの? と聞かれても、私はうまく返事ができなかった。

ああ、「持っている」ことってずるい。
こんなにも私は、ずっと羨ましく思っていたのか。

「羨ましい」と叫びたかった。叫んで思い切り、泣きたかった。
就職も決まって友人もたくさんいて、彼氏もいる梨香が心底羨ましかった。
けれどそう叫べなかったのは自分の中のちっぽけなプライドと、悔しさと、叫んだところで私が「持っている」状態にはなれないことを知っていたからだった。

なかなか寝付けない私は布団を抜け出し、廊下へ出ようとした。ふと、隅にある本棚に目が止まる。
昔集めた、童話の本。
その中にピーターパンがあった。
手に取ると、挿絵に覚えがあって懐かしかった。
それを見て思う。ああ、ウェンディのようにピーターパンが来て、ネバーランドに行けたらいいのに。何もせず、ただ子どものままでいたかったな、そう思った。
未来が怖かった。
けれど、ウェンディは大人になる事を選択して、最後にはネバーランドを出るのだ。私も、もう選択をしなくてはならない。
……そもそも二十歳になるのだから、もう、初めからネバーランドには入れないか。
苦笑いをし、そっと、本棚に本を戻した。

結局、何年も経った今でもそれは変わっていない。
縁あって入った職場では、やっぱり突出して得意なものはないけれど、ある程度のことを一通りなんでもこなせる中途半端な立ち位置になってしまっている。
このライティング・ゼミも、記事自体はアップされるものの、ランキングに名前が載ったことはほぼなかった。私は上位の人たちの記事を読み、いつも「すごい」と思うと同時に「羨ましいな」と思っていた。

私は、ずっと自信がないのだ。
それなのに、泣いて叫んで思っていることを全部ぶちまけて誰かに相談する、ということができないほどプライドだけは高く、それを守りたいのだ。
だから、思っていることも口に出さずに心の内で押し殺し、涼しい顔をして取り繕い、「なかったこと」にしてしまう。
そんな私にとって、ここで記事を書くこと、そしてこんな内容を書くことは大きな冒険だ。それこそ、ウェンディがネバーランドに行った時のように。
人に見える所で自分の気持ちをさらけ出すことには、ものすごく抵抗があった。心の内で「やめた方がいいんじゃないの」と囁く声がする。
でも、やってみようじゃないか。
そう思い、心の声に耳を塞いだのは、私が「変わりたい」と強く思っているからだった。
ありのままの気持ちを書いて、人に読んでもらうことを許す。それが、自分を認めて許すことに繋がっている、そんな気がするのだ。

私がずっと思い続けている願い。「持っている」人に「変わりたい」。
そこまで考えて、ふと気がつく。
そもそも、「持っている」って、誰が決めたんだろう。
それは他の誰でもない、私だ。
私が「持っていない」と決めているのも、私だ。
なら、私が私を認めてあげればいいのではないだろうか。たとえ私が、私から見て本当の「持っている」人にはなれなくても。
気づいてみるとたったそれだけのことで、私は自分が作り上げた箱庭の中で一人、ぐるぐるしていただけなのだった。

大きく息を吸う。ブラウザを閉じ、ワードを開く。
だから、私は書こう。
新しい世界なんていうと大袈裟だけど、それでも、昨日とは違う未来への第一歩を。自分自身を認めるために。
ネバーランドには行けないけれど、冒険はここからだ。
私は文字を打ち始めた。

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2016-12-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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