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「勉強ができない」妹を、僕は一生超えることはできない。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:おおたき文庫(ライティング・ゼミ)

僕には、どうしようもない妹がいた。

妹は、とにかく勉強ができなかった。

母は、半ば無意識だったのだろうが、よく僕と妹を比べた。僕は学校の成績は良かったので、「できるできる」と言われて育った。対して妹は「何でできないんだろうね」「やればできるのにね」と言われて育った。

言葉の持つ力は、大きい。
妹は「できない」役回りを引き受けるようになっていた。

小さい頃の妹は、花のように笑う子だった。小学校のアルバムを引っ張り出すと、むすっとしている僕の隣で、にこーっと笑っている妹が写っていた。

妹は、僕にとって、新しくできた最高の遊び相手だった。いつも冬は外で一日中雪遊びをしていた。僕が作った世界に、妹を脇役として入れて遊んでいた。主役はもちろん僕だ。

「できる」と言われ育った僕は、「できない」妹を、ずっとどこかでバカにしていた。

いつも、妹を従えていた。常に、僕が上にいないと気が済まなかった。家来を従えた王様のようだった。
妹はそんな僕にも「お兄ちゃん、お兄ちゃん」と言って、ついてきた。

妹は、絵が好きだった。一人になるといつも絵を描いていた。

相変わらず、妹は僕と比べられ、「できないできない」と言われていた。
僕は、相変わらず妹を家来のように従えて、王様気分で遊んでいた。

いつしか、妹はあまり笑わなくなっていった。
ご飯をそそくさと食べると、部屋に閉じこもるようになった。

妹は、絵を描き続けていた。高校では、美術部に入っていた。
勉強は相変わらず、得意な美術と家庭科以外は大体ダメだった。数学の試験で赤点を取り続け、先生に「このままだと卒業が怪しい」と母親が呼ばれたこともあった。
僕が家庭教師としてついて、とやかく言いながら、何とか追試に合格して留年は免れた。

妹は、それでも絵を描き続けていた。美術部で描いた絵は全国大会にまで出るようになっていた。

母に地元の大学を勧められていたが、予備校に片道2時間かけて通いつめ、自分で東京の美大を自己推薦で受け、ついに合格をもぎ取った。
大学では日本画を専攻した。画を描いている時、ものすごい集中力を発揮していた。

自己推薦で受かった時の作文を見せてもらったが、その文章が、ものすごかった。
受験勉強に慣れきっている自分には、信じられないほど、独創的だった。

学校は、小さな世界だ。小さいが、子どもにとっては大きい。

でも、学校が持つ尺度は、基本的に「学力」だけだ。
そのたった一つの基準の中で上にいると「優秀」というレッテルが貼られ、
外れると、「勉強ができない」というレッテルを貼られる。

受験勉強には、たった一つの「正解」がある。
「優秀」というレッテルを貼られると、その中でますます、たった一つの「正解」を求めにいくようになる。

「正解」を当て続ければ満足するし、外すと悔しい。
順位だってつくから、更に上を目指すようになる。

そして、気づけば、
人生には、たった一つの「正解」があるような気がしてくる。

偏差値が高い学校に行くのが、正解。
人気の企業に就職するのが、正解。

自分が「正解」を目指しているのだ、という意識すら無い。

それが丁度、本当に自分にとっての「正解」であれば、いいのだろう。
その「正解」から無理に外れる必要は、ない。

でも、その「正解」に自分がたどり着けなかった時。
その「正解」が、実は自分の求めていたものでなかった時。

とてつもなく、苦しくなる。

最初から、そんなものないのに。

人生には、たった一つの「正解」なんてない。
「正解」は無数にある。そして、自分で決めることが出来る。

でも、これに中々気づくことができない。
偏差値的な感覚を一旦持つと、物事を無意識に優劣で見るようになる。
頭では否定していても、「正解」に飢えるようになる。

「あっちの企業はあっちの企業よりスゴい」
「この人と付き合うのが正解」

気づいたら、そんな考え方をしている自分がいる。

文章を書き始め、表現することに触れるようになって、気づいたことがある。

ああ、僕は妹に敵わないな、と思った。

何かを芯から表現したい時、絶対に自分と、世界と向き合わなきゃいけない。

心の奥底に眠っているもの、蓋をしてきたもの、見てみぬフリをしてきたもの、

出せるもの全てを引っ張り出し、ありのままに見ようとしなければいけない。

そこには、たった一つの「正解」なんてない。

どうでもいいや。こんなこと表現して、何になるんだ。

そう思った瞬間、終わりだ。

正解がない世界で、妹はずっと自分と闘い続け、
自分なりの答えを出し続けてきたのだ。

本当は、妹に憧れていたのだと思う。

本当は、自分の好きな場所で好きな道を貫いた妹に、嫉妬していたのだと思う。

本当は、自分はそこに飛び込む勇気がなくて、
「正解」にしがみついて、
向き合うことから逃げて、
その代わりに、妹を「勉強ができない」から、
自分より劣っていると勝手にレッテルを貼って、見下して安心していた。

何やってるんだろう。
何やってるんだろう。謝ろう、と思った。
妹は、苦しかったに違いない。僕を恨んでいるだろうと思った。
謝ったから、どうにかなることでもない。
でも、自分には、そうするしかない、と思った。

それなのに、正面から謝る勇気が、出せなかった。
どこまでも、度胸がなかった。

ある日、先輩が妹と話をしてくれた。
恐る恐る、聞いた。

「妹は……何か言っていましたか?」

「妹さん、お兄ちゃんのこと恨んでなんかなかったよ。
 むしろ、いつも助けてくれて、感謝してる、って」

感謝してる、って。

目の前が、ぼやけた。

感謝しているのは、こっちの方だ。

ごめん。 ごめん。

ありがとう。

次に会った時、妹に伝えた。

妹は、どうしたのお兄ちゃん、と、笑った。

ああ。

妹を、僕は一生超えることはできない、と思った。

言葉で補えるものでもない。

取り返せるものでもない。

ただ、これだけは言える。

今は、妹を信じている。
今は、妹を尊敬している。

今なら、自信をもって言える。

僕には、

とんでもなく才能に溢れた、素敵な妹がいる。

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2016-12-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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