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【逃げ恥】ヒラマサさんを見て恥ずかしいと思う男心


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:番匠ながら(ライティング・ゼミ)

「これは恥ずかしくて見てられん」
テレビを見て久しぶりにそう思った。番組は人気ドラマ「逃げ恥」。

男性主人公ヒラマサさんは女性に対して極度の奥手。彼女が持ち掛けたハグにたじたじ。まさかの「週1回、火曜にしましょう」というミラクルな逃げ腰発言をする。

ヒラマサさんの年齢を確認すると35歳。なんと自分と同年齢。しかも、IT企業勤務、出身大学までも同じ……。
でも、さすがに僕はヒラマサさんほど女性と距離をとっている訳じゃない。かといって全く違うかというとそうは言い切れない思いがあるんです。それは、テレビのヒラマサさんを見るたびに毎回、思い出すことがあるから。
それは、高校3年の夏の夜。なつみちゃんとの初めての電話だった。

僕はコードレスの家電話を持って、30分以上部屋の中を行ったり来たりしていた。当時、携帯電話は一部の人しか持っていなかったので、友達に電話するのは家電から家電にかけるしかなかった。無論、相手は家族のだれが受話器をとるか分からない。今思えば、どんなロシアンルーレットだよとつっこみたくなるけれど、あの時はそれが当たり前だった。

壁の時計を見ると夜8時30分。夜9時をすぎて電話するのはマナー違反だと当時の僕は思い込んでいた。のこり30分以内には電話をかけないと……。僕は決心して電話番号はプッシュするものの、最後の番号を押して、すぐに切ってしまうなんてことを繰り返していた。手のひらは汗でべったりだった。

花火大会があるのが来週末。今日くらいには誘わないと誰かに先を越されるかもしれない。そう思い続けて8日目。僕は毎日夜8時前に受話器を持って部屋をうろうろしていた。昨日は9時過ぎに受話器を戻したところを母に見つかり「あんた電話持っていくのに、使ってないやろ。何やっとるの?不思議な子やね」と疑いの目で見られた。

僕が電話しようとしているのはバドミントン部の河野なつみさん。教室で見かける彼女は、いつも女友達といて楽しそうで、笑ったり、跳ねたりしていた。僕はそれを見ているだけで、こたつに入ったみたいに幸せな気持ちになれた。

男女の距離なんて近づけなくていい。遠くから見てるだけでも十分幸せだ。ドラマのヒラマサさんの気持ちは、当時の僕と全く同じだった。近づかなければ関係が壊れるようなこともないし、傷つくこともない。何より十分幸せなんだから、近づく必要もない。そう思っていた。僕の思いは、森の中の泉のように穏やかで安らぎに満ちていた。

そんな僕にささいな出来事があった。
それは、河野さんとした1回の会話だった。といってもふたりきりで話した訳ではなく、放課後、友達と教室にいた時に8人でいっしょに話しただけだ。正確には、教室には2グループがそれぞれ輪になって話していて、僕は男だけの4人グループで話していた。
彼女は帰りがけに「テニス部って明日練習あるの?」と僕に質問をしてきた。いきなりの展開に僕は「えっ、あっ、多分、アル、あるよ」とカミカミで返事をした。「アル、あるよ」ってマンガの中国人でもないんだから……、今思い出しても恥ずかしい。
やってしまった。なんともカッコ悪い返事。もっとましな返事なんていっぱいある。なんとか、リベンジがしたい。俺だってもっと、ちゃんと話せるんだと分かってもらいたい。僕はそう思い始めた。

その日から、僕はなんとか河野さんに話しかけようと努力して、週に2回くらいは挨拶をできる関係になった。そうなると今度はもっと話してみたくなる。「テレビは何みてるの?」「好きな教科は?」頭の中には聞きたいことが湧き水のようにあふれだしていた。

そして、7月の花火大会。高校最後の夏。それまで、男友達と遊ぶのが当たり前と思っていたけれど、初めて女の子と行きたいと思った。そして、受話器を握った。でも、なかなか電話がかけられない。
8時53分。僕は電話番号をプッシュして最後の番号を押した。明日にしようかな……、そう思ったとき、アクシデントが起きた。うっかり受話器を落としてしまったのだ。しかも、ベッドと壁の隙間に落ちておく。あわてて腕を伸ばして受話器を救い出す。電話は耳にあてるとコール音がして、次の瞬間「はい、河野です」と女性の声がした。えっ、なに?つながったの?えっと、えっと、どうするんだっけ。僕はあわてながら「もしもし、〇〇です。なつみさん、いらっしゃいますか?」となんとか平静を装っていいとげた。相手は「ちょっと待ってください」といって電話は保留音に変わった。

これって、もうすぐ河野さんと話すってことだよね。現実が受け止められない。心臓がバクバクしているのが自分でも分かる。受話器を持つ手が震えていた。
「もしもし、なつみです。〇〇くん、だよね?どうしたの?」
「テニス部の〇〇です。あの、僕と花火大会一緒に行ってください!」

長時間の電話なんて耐えられない。精神が正常なうちに言うべきことを言わなければ。僕はその一心だった。
「突然でびっくりしたよ。でも、ごめん。他の人と行く約束してるの」
遅かった。いや、今思えば断るための嘘だったのかもしれない。
「あ……そうなの。そうだよね。じゃ、じゃ、じゃあね」
「うん。また学校で」
それで電話は終わった。ふーっ、僕はベッドに体を投げ出した。花火大会には行けなかったけど、なぜか大きなことを成し遂げた達成感があった。電話をしただけなんだけど。当時の僕には必要な通過儀礼のようなものだったのかもしれない。

最近のヒラマサさんを見てると、もう当時の気持ちを思い出して仕方ない。ふれあう回数が増えると気づかない間に好きな気持ちが大きくなっていて、近づきたいけど、近づけない。近づこうとしている自分に驚いて立ち止まったりもする。分かる、分かるよ。ヒラマサさん。あるよね、そういうの。それは通過儀礼だから。いつかきっと彼女ともっと近い関係になれるよ。
僕はドラマを見ながら、高3の自分を重ね合わせて、いつも心の中では全力でヒラマサさんを応援している。

僕がヒラマサさんに文句を言いたいことがあるとしたら、ひとつだけ。
ガッキーはみんなのものだから!

 

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2016-12-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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