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彼女が結婚できない理由は前世にあり


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:和智弘子(ライティング・ゼミ)

 

「私が結婚できない理由はさ、強いて言えば前世の呪いかな? って思ってるんだよね」

 

親友のキョウコから、まさか「前世の呪い」だなんて言葉が出てくるとは思わず、私は思わずワインを吹き出しそうになった。

 

キョウコは、大学で知り合ってから、かれこれ20年近くの付き合いになる。彼女は女の私から見ても、本当にキレイで、スラリとした首には噛みつきたくなるほどだった。むしゃぶりつきたくなる程の美人、とはこの人のためにある言葉だと納得した。

 

大学に入った当初、私は一人暮らしに慣れるのに精一杯だった。そんな時に救いの手を差し伸べてくれたのがキョウコだった。住んでいるアパートが偶然にも同じで、私は1階、キョウコは3階に住んでいた。私が鍵を無くしたかもしれず、部屋の前で半べそをかいていた時に声をかけてくれたことから仲良くなった。

 

「なんか、ほっとけなかったのよね。捨てネコを見て見ぬフリするみたいだったし」

 

キョウコは、その美貌と名前から「キョンキョン」と呼ばれていて、まさにアイドルとしてみんなの憧れの的だった。一緒にいる私は「キョンキョンのマネージャー」みたい、ということでマネージャーとか、マーちゃんというあだ名を頂戴していた。

 

キョウコとは同じ大学でも学部が異なるため、授業が終わった後にバイトの時間まで食堂でダラダラと話をしたり、帰宅後も同じアパートに住んでいるので、一緒にレンタルビデオを見たりと、「マー、お前ちょっとずるいぞ! おれも一緒にビデオ見てぇよ」と男子にうらやましがれるほどだった。

 

キョウコには他の大学に2つ年上の彼氏がいて、高校生の頃から付き合いだそうだ。

「なんか、腐れ縁、っていうか。遠距離だからそのうち別れちゃうかもしれないけどね」と憎まれ口を叩くけれど、ちょっと恥ずかしそうに彼氏の話をするのも可愛かった。

 

私達は大学生活を謳歌し、社会人になった。私は就職活動も思うように進まず、何でもいいから食いつながないと! と、派遣社員でも正社員へのチャンスがあることを知り、頑張っていた。キョウコはとある企業の秘書課で働くことになっていた。

 

キョウコと私は相変わらずおなじアパートに住んでいた。生活環境が変わったことから、学生の時程には親密なやりとりはなくなったものの、お互いの休みがあう時には部屋でお酒を飲みつつ日々の愚痴を言い合っていた。

 

「じつは、彼氏と別れたんだよね……」

「ええーー! なんで? やっぱり遠距離はダメだったの? 10年近く付き合ってたのに」

「うーーん。遠距離がダメって訳じゃないんだけど……。いや、やっぱり私のことを、ちゃんと分かってもらえてなかった、という点では遠距離にも問題があったのかも……。彼は悪くないんだけどね」

 

そうなんだ……。

美人でも、恋は破れることもあるだろう。

「キョウコは美人なんだから、いくらでも彼氏できるよ! 飲もう飲もう!」そう言って、無理矢理グラスにお酒をそそいだ。彼女は寂しそうな笑顔を見せ、そうだね、といってグラスに口をつけた。

 

しかし、だ。

時は流れ、30代半ばに突入してもキョウコは結婚しておらず、独身を貫いていた。彼氏はコンスタントにでき、それなりに長く付き合っていて「そろそろ結婚してもいいかな」という言葉も何度も聞いていたのに、「やっぱり彼とはうまくいかないわ……」という結果に終わる。なんでだろう? 美人で、気だても良くて。私が男だったら即プロポーズするのに? なんでここぞ、というところでうまくいかないんだろう?

 

「なんでキョウコは結婚できないんだろうね? 結婚したくない訳じゃないんでしょ? 私が男だったら何が何でもキョウコを離したくないんだけどなあ。私が悪い、って言うけどさ、悪いとこなんかどこにあるの?」

 

ワインを片手に、キョウコにいつものセリフを投げかける。いつもなら、そんなことないよ、私がわがままだから……と言葉を濁すのだが、今日は神妙な面持ちで「頭おかしいんじゃない? と思われそうで今まで言えなかったんだけど……」と切り出した。

 

「私が結婚できない理由はさ、強いて言えば前世の呪いかな? って思ってるんだよね」

思わず、ワインを吹き出しそうになった。

えっ? 前世?

「何、急に。前世って。いや、真剣なのはわかるけど、なんか変な占いにでもハマっちゃったの?」

 

「ううん。そうじゃなくて。私さ、いつも同じ夢を見るんだよね」

真剣なキョウコの口調に、わたしはすっかり引き込まれていた。

 

その夢を見るのは、彼氏から「ネックレス」をプレゼントされると、突然始まるという。

 

「私は夢の中で、たぶんお姫様か、なにかで楽しく暮らしているんだけどね。突然後ろから首を締め上げられるの。で、なんとか後ろを振り返ると彼がそのプレゼントしてくれたネックレスで私の首を締めているのがわかるの。苦しくて、助けて! って思いながらいつも目がさめるのよ」

 

それは、男の顔と、首を締めるネックレスだけが変わっていて、どの彼氏でも同じシュチュエーションなのだと言う。別れる時にネックレスを返すことでその夢を見なくなるのだという。

 

「じゃあさ、ネックレスだけはプレゼントしないでって言えば問題ないんじゃないの?」

「何度も言ったよ。だけど、みんな『君にすごく似合うと思って』ってプレゼントしてくれるの。せっかくだから着けないと、と思って着けるともうダメね。着けなくてごまかしてても、やっぱり夢をみるんだよね」

 

そんなことってあるのだろうか。

確かに、記憶をさかのぼってみると彼女がこれまでにネックレスをしていたことはない。マフラーもない。ハイネックのセーターも記憶にない。いつも、スラリとしてキレイな首筋やデコルテラインの見えた服を着ていて、その首筋にホレボレとしていたんだっけ。

 

鶴の恩返しみたいに、のぞいちゃダメって言われるとのぞきたくなるみたいに、プレゼントしないで、って言われてもその首筋を自分のあげたネックレスで独占したい気持ちが勝って、プレゼントしてしまうのだろうか。

 

「マーちゃんなら信じてくれると思ったから、初めて夢のこと話したよー。マーちゃんに言ったことで、この呪いが消えるといいんだけどなあ」と、なんだか、スッキリした笑顔をみせてくれた。

 

前世の呪いなんて、本当にあるのだろうか。

私にはちょっと考えられないけれど。

でも、彼女がこんなウソをつく必要もないし、疑うつもりもない。

なによりも、スッキリとした笑顔の彼女が愛おしかった。

 

 

3ヶ月後。

キョウコは「恥ずかしいけど、ようやく結婚が決まりました!」

と突然メールしてきた。相手は、大学の時に遠距離恋愛で付き合っていた彼だった。

 

仕事で偶然再会した彼に、笑い話としてネックレスの呪いの話をしたのだと言う。彼はずっとキョウコを想っていたらしく、二度とネックレスもマフラーもプレゼントしないと言って彼女を抱きしめ、プロポーズしたという。

「その場で返答できなかったんだけど、その日みた夢ではっきりと呪いが解かれたんだとわかったのよね。あの時マーちゃんが真剣に話を聞いてくれたから、他の人にも言ってみようかな、と思えたんだよ。ありがとう」

 

 

彼女は彼女自身に呪いをかけてしまっていたのだろうか。

本当のところはわからない。

だけど、彼女が幸せを掴むなら、これほど嬉しいことはない。

 

「おめでとう! 結婚式には、絶対に招待してね!」

メールを返信しながら、彼女のウエディングドレス姿と、その美しい首もとを想像するのだった。

*** この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

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2016-12-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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