メディアグランプリ

昔キャッチセールスに乗せられてウン百万の借金を背負ったけど、今夜も懲りずにだまされてます


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:みはらあずさ(ライティング・ゼミ)

20歳くらいの私は、ボケ老人……、おっと! 認知症のご老人と同じくらいの知的レベルだったかもしれない。なんせ、悪質なキャッチセールスに捕まって数百万の借金を背負ってしまったのだから。

当時の私は、沖縄の実家から離れて福岡の専門学校に進学し、寮生活を送っていた。そんな私が田舎者丸出しのダサい格好で天神に出かけると、街道で次から次へと話しかけられた。残念ながらナンパではない。右も左もわからない田舎者を手のひらの上で転がしてやろうと狙いすましているキャッチセールスだった。
「ねぇ! 君、英会話に興味ある?」
最初は、ジュンク堂書店の前にいたスーツ姿の男性。彼から渡されたチラシを何気なく手に取ると、向こうは差し出したチラシをしっかり握って、離してくれない。仕方なく立ち止まって話をする。
「いや、ないですけど……」
「でもさ、外国人に英語で話しかけられたら、どうする? 道に迷っていたら助けてあげたいなと思わない?」
こっちの戸惑った表情にはお構いなく、セールスマンはハイスピードでまくしたてる。
「そ、それはそうですね……」
「じゃあ、どんな初心者でも、超かんたんに英語がペラペラになる方法があるって言ったら? 知りたくなるでしょ? よし、じゃあ事務所に行こう!」
「えっ!? 結構です!」
「いいから、いいから! 取りあえず行ってみよう」
腕こそつかまれなかったが、かなり強引に事務所に引きずりこまれた。あとはとことん持久戦だ。「契約するまで死んでも事務所から出さないぞ」という強い意志を感じさせる顔で、3時間も4時間も食らいついてくるセールスマン。だんだんお腹もすいてくるし、頭もボーッとして疲れてくる。「持ち帰って検討します」なんて言葉は、キャッチの世界では通用しない。とうとう根負けして、「なんでもいいから家に帰りたい」という一心でサインしてしまった。しかも、説明のときはかたくなに教えてくれなかった入会金が、50万という法外な値段だった。

他にも多かったのがエステ系の勧誘だ。天神の繁華街の前で「1000円オフ」という割引券を渡され、軽い気持ちで行ってみたのが運の尽き。ここも、体験に来た人は、本コースに申し込むまで絶対に帰さないタイプの店だった。
「学生なんで、お金ないので無理です」と当たり前のことを言えば、目の前の女性店員は「金カネ言っている場合じゃないでしょ!」とバァンと机を叩いて、逆ギレする。そのあと猫なで声で「化粧品に毎月3万円かけると思えば安上がりでしょ? 彼氏のためにきれいになりたくないの?」なんて言ってくる。しかし学生が毎月化粧品に3万もかけるわけない。「ちふれ」の500円のチープコスメで十分だ。そんなやりとりが数時間続くと、もうヘトヘト。どうでもよくなり、必要もないエステプランの申し込み用紙にサインしてしまう。

相手の話を無視して、途中でサッサと帰れば良かったのに、できなかった。「相手の許可が出るまで帰っちゃいけない」という変な思い込みがあったのだ。契約が済んでいない獲物に「帰っていいよ」なんてキャッチが言うはずもないのに。そのころの私は、どうしようもなく臆病で、情報弱者だった。そういうことを繰り返しているうちに借金は数百万にふくれあがっていた。私は寮のベッドで請求書を握りしめながら、ゴロゴロとのたうち回り、自分の愚かさをののしり続けていた。

それから就職し、平日は本職、土日は日雇いのアルバイト、夜間はチャットレディの副業にいそしんで4年間で借金は完済した。「なんでクーリングオフしなかったの?」と思うだろうが、当時は相談相手がいなかったし、キャッチから「クーリングオフはできませんから」と言われたのを鵜呑みにしていた。そこも含めてバカだったなと思う。あのときのお金を違うことに使えていたら、どんなに楽しくて有意義な体験ができただろう。海外旅行だって何カ国も行けた。その機会損失はお金以上に大きい。人を貧しくする一番の原因は「無知」なのだと痛感した。

それから、とにかく知らない人の話を聞くのはやめることにした。まともに話をする時点でキャッチセールスのカモだということはわかったから、道ばたで話しかけてくる人は全部スルーした。やつらは存在しない者として扱う。それが一番てっとりばやく確実な回避方法だった。そして、真剣にお金の勉強をするようになった。経済書を読み、投資信託を積み立てたり、有望な企業の株を買ったり、ファイナンシャルプランナーの勉強をするようになった。そのおかげで、0だった資産が少しずつ増えてきている。キャッチセールスにお金を巻き上げあげられたのは手痛い出費だったが、若いうちはいくらでもリカバリーがきく。老人になって全財産つっこむよりはだいぶマシだろう。高い授業料を払ったが、同じ過ちを繰りかえさなければいいんだ。

そんな折、一通のメッセージが入ってきた。家でくつろいでいた私は、ピコンという着信音でiPhoneを見た。よく一緒に仕事をするホリさんからLINEのメッセージが入っている。
「お手伝いしてくれませんか? iTunesカードをコンビニで買ってきてほしいんですけど」
すぐにホリさんに電話をかけた。新しい仕事の予感にワクワクし、声がはずむ。
「ホリさん! さっきのLINEの、お手伝いの件なんですけど。何のカードを買えばいいんですか?」
ホリさんは一瞬の沈黙したのち、あきれたようにいった。
「まだ、だまされているの?」
「はいっ?」
彼の意味不明な言葉に、電話口ですっとんきょうな声を上げてしまう。
「LINEのっとられて、詐欺に使われているってFacebookに書いたじゃん」
「見ていませんよ、そんなの!」
アワアワとしゃべりながら、恥ずかしさがこみ上げてくる。またやってしまったのか……。結局、私のだまされやすい性格は変わっていないようだ。脱力してビーズクッションに顔を埋めながら、「今度入会する天狼院書店のゼミは大丈夫かな……」とぼんやり考えていた。

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2016-12-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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