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シャッターチャンスをつかめる人は、未来を幸せにできる人です


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:うらん(ライティング・ゼミ)

なんて下手くそな写真なんでしょう。

これは、私がスマホで撮ったものです。

いつも通る道に、大きな門構えの家があります。このお宅の飼い犬が、ときどきこうして柵のすき間から顔を出しては、遠くを見つめているのです。
ときどきといっても、そう頻繁に見られるわけではありません。月に二、三度見られればいい方でしょうか。
その姿が可愛くて、私は通るたびに門を見上げてしまいます。
でも、なかなかお目にかかれません。
たまにその姿を見かけても、犬の態度がつれない。
私が手を振ろうと、「おーい」と呼びかけようと、一瞥をくれるだけですぐまた遠くを見てしまうのです。
そんな愛想のないところが、また可愛い。

先日、ちょうどその犬が顔を出しているところに出くわしたので、思わずスマホで写真を撮ってしまいました。

それが、この写真です。

私は、滅多に写真を撮りません。スマホの中にある写真の数も、ほんの数えるほどです。
ですから、たまに撮ったりすると、この有り様です。

そもそも、これでは何を撮りたかったのか分かりません。
レンガでしょうか。犬でしょうか。このお宅の門でしょうか。

私は、犬が可愛いと感じたので写真を撮りました。
でも、これでは、この犬のどういうところが可愛いのかが、伝わってきません。白い犬の姿かたちが可愛いのか、柵のすき間から顔を出すというその行為が可愛いのか、愛想のないところがいいのか。
それを意識して撮ったら、もう少し違う写真になったに違いありません。
いずれにしても、私が個人的にこの犬を可愛いと感じている、ただそれだけのところにとどまっています。他人にしてみたら、どうでもいいことです。

では、プロの方ならばどう撮るのでしょう。
多分、この犬をとおして、なんらかの普遍的な犬の愛らしさなり、微笑ましさなりを象徴するように撮るのだと思います。それを見た誰もが、「ああ。犬ってそういうところがあるよね」と感じさせるようなもののある写真です。

この写真では、この犬にドラマを感じません。
たとえば、この犬がときどきこうして遠くを見つめるのはなぜだろうと考えて撮ったとしたら、もっと意味のある写真に仕上がったと思います。犬が淋しげな目をしたときに、あるいは目を細めたときに、口を引き締めたときに、多分シャッターを押すでしょう。
出来上がった写真次第では、ああ、もしかしたらこの犬は、以前は違う家で飼われていたのかもしれない。それが何らかの事情でこちらのお宅に引き取られてきたのだ。きっと元の家が恋しいに違いない。などと、犬の複雑な背景まで想像させることもあるかもしれません。

この写真を客観的に見てみると、私は傍観者の目で犬を見ています。
私がこの犬にもっと心を寄せて撮っていたら、この犬の背後にまわって、犬と同じ先を見つめて撮ることでしょう。カメラそのものが犬の目になって、犬の心理そのものを写真にすると思います。
もっとも、ここはよそ様のお宅なので、入り込んだりしたら、写真を撮るまえに通報されてしまいますが。

結局、自分が何を表現したいかをよく考えずに撮ると、こんな写真になってしまうということです。
自分が写そうとしているものをこういう感じに表現したい、そのものが持つこういう性質を写したい、こういう意味合いの写真にしたい、と考えて撮らないと、せっかくの写真もただの記録にしかすぎないものになります。

自分が表現したいことを念頭に置いて撮ろうとすると、自ずとそういう瞬間が現れたときにシャッターを押すことになります。いたずらに枚数多く撮ればいいというものではありません。
こういうことを表現したいという、その特性がはっきり現れたとき、「今だ!」とそれを捉えることができるか。それこそが、いちばん必要なことだと思うのです。
犬を犬らしく撮っても、何の意味もありません。犬なら犬を媒体にして、その写真にどんな意味を持たせたいか、ということです。それが現れた瞬間をつかむ、ということです。
自分が表現したいことを写すのに大事なのは、それが現れた瞬間をつかむということだけではありません。
どの場所から、どの角度から捉えるのかということも、大切なのではないかと思います。どの視点から撮るかによって、表現したいことの強弱も違ってくるからです。

文章を書くということは、写真と似ています。
きゃあ、可愛い! パシャ。パシャ。パシャ。というような、感覚的、即興的な写真がただの個人レベルでの鑑賞にしか耐えないように、曖昧な向き合い方で書かれた文章は、心に届いてきません。
自分が表現したいことに真剣に向き合うと、それをいちばん適格に表す言葉が浮かび上がってくるまで待つことになります。いえ。待つというよりも、これでもない、あれでもないと吟味し、練りに練り、ときには自分の心の中にあらためて問い直してみたりして、「これだ!」という言葉が浮かび上がったらその言葉をつかむのです。写真でいえば、シャッターチャンスということでしょうか。
また、どういう視点で書くかということも大切です。写真でいえば、アングルにあたるのかもしれません。

先日、バスに乗っていたときのことです。
窓から、路上のベンチにお爺さんがふたり腰かけて、楽しそうに話している姿が見えました。
その片方のお爺さんが、しわしわの顔で、体を斜め後ろに反らせて、大きく口を開けて笑っているのです。「うっひょっひょっひょっ」という高らかな笑い声が聞こえてくるようでした。もちろん、バスのなかから見たので、声は聞こえません。
ほんの一瞬のことでしたが、一瞬だから写真のようでもありました。
もし写真だとしたら。
この一枚は、お爺さんの体の反り具合、口の開け方、顔のしわ、表情、それらのいろいろな情報で、耳で聞くべき音すらも目に見える形にしているのです。

私はライティングを学ぶ者として、写真に少し嫉妬します。
それは、写真はたった一枚にいろいろな情報が入れられるからです。音すらも表してくれますし、悲しみや憤りや共感といった、さまざまな感情を引き起こしてもくれます。

そして、たった一枚が、社会を動かすこともあります。
例えば、ビーチに横たわるシリアの移民のこどもの写真は、世界に衝撃を与えました。これを機に、ヨーロッパ各国が難民救済に対抗し始めたように思います。戦火そのものを写したものではないのに、あの写真が難民の直面している危機を人々に感じさせました。
そのことに私は驚きました。写真には、たった一枚に無限の情報を込めることができるのですから。

学生の頃、試験問題でよく私を悩ませたものがありました。
要約ものです。
小難しい論文なり随筆なりが提示されて、その内容を「20文字以内に要約せよ」といったものです。
13文字ぐらい書いたところで、指を折って残りの文字数を数え、3文字はみ出してしまうだの、はじめから書き直さないと8文字も余計になるだのと、焦ったものです。

写真は一枚に情報や思想や感情を込められるのに、文章は20文字に収めることすら苦しい。しかも、その20文字にすべてが含まれているわけではありません。省いて省いての20文字です。

でも、私は思うのです。
文章には、文章でしか味わえない良さがあるのだと。
写真のように、すべてを「一瞬」に要約することはできません。
でも、だからこそ、文章だけがもつ旨みというものもあります。

文章を読むという行為は、読みながら、書いてある内容を同時体験することでもあります。
もちろん、ただ内容を知ればいい、要点さえつかめればいい読み方もあるでしょう。
それとは違って、一つひとつの言葉、一つひとつの文章に、立ち止まったり、噛みしめたり、消化したりするという向き合い方もあります。
書かれている文章の息づかいを感じながら、あるいは、行間の間(ま)を感じながら読む。そのことに深い味わいがあるのです。文章の種類によっては、話の内容で読み手の心を動かすのではなく、読むこと自体が読み手の心を動かす行為になる場合もあるわけです。

写真にはリアリズムがあります。写そうとしている対象の、ありのままの状況を写します。そこから何かを浮き彫りにさせることはできますが、あくまでもそれは、その対象に内在するものです。
でも、文章には「想像」があります。今そこにない世界を作りだすことができるのです。
クヨクヨした世界を生みだすこともできますが、他人に寄り添い、他人を励まし、元気づける世界を作りだすこともできるのです。
一枚の写真が社会を動かすことができるように、文章もまた、世を動かすことができ、導くことができます。
それも、より善意に満ちた世界に。

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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2016-12-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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