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メディアグランプリ

JAZZはファンキーでアシッドだが、人見知りにもやさしい


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:とつとつ堂(ライティング・ゼミ)

 

JAZZライブがあることを知ったのは、その日の午前中のことで、

日本人のトランペット奏者のニューヨークからの凱旋ライブが観られるのは、

東京ではその日が最後だった。

 

JAZZはこれまで通ってこなかった道だった。

高校生のときに背伸びして洋楽を聴いてみたり、

大学生でツウぶってインディーズバンドに手を出してみたり、

大人になってウクレレ教室に通ってみたりもしたけれど、

JAZZと名のつく道は避けて通ってきていた。

 

JAZZは、無知な自分には敷居が高いと思っていた。

 

なにせ用語が難しそうだ。

ファンキージャズに、ハードバップ。フュージョンや、アシッドジャズ。

用語の解説を読んだとしても、JAZZをJAZZ用語で説明されてしまうので、

JAZZがJAZZを呼び、友達の友達が友達を呼んできたようで、

人見知りのぼくはたじろいでしまう。

 

それでも、そのライブに行こうと思った。

無知なままでもJAZZを楽しめるのか?

人見知りでもJAZZはやさしく受け入れてくれるのか?

それを確かめてみることにした。

 

目指すは、Blue Note TOKYO。

JAZZを避けて通ってきたが、その名前ぐらいは聞いたことがある。

表参道の駅を降りて、原宿と反対の方へ向かって歩く。

 

道順は地下鉄の中で確認してある。

今からJAZZを聴きに行くのだ。

まさか地図を見ながら歩くわけにはいかないだろう。

 

ちょっとお洒落な感じを出すためにポケットに手を入れてみる。

今から聴きに行くのはJAZZなのだ。

手のひとつやふたつ、ポケットに入れておいたほうがいいだろう。

 

歩道の先に、Blue Note TOKYO が見えてきた。

建物の前でパシャパシャと写真を撮る男性を、

ごめんなさいね、という感じで女性が横切って扉に入っていく。

 

ぼくも写真を撮った。パシャパシャとは撮らなかった。

扉は大きくて重たく感じた。本当にJAZZを聴きに来たのだ。

 

扉の先には、階下へと向かう階段があった。

階段を下りるとクロークが見えた。クロークに上着を預けた。

 

で、ここまでは良かったのだが、次にどうしたらいいのかがわからない。

これが無知な自分に対する、JAZZの洗礼というものなのか。

 

周りを見れば、何組か談笑している人たちがいる。

ソファに座って熱心に何かを読んでいる人もいる。

ポケットに手を入れている人はいなかった。

スタッフの方は各々の持ち場で、ご案内する姿勢のままで待っている。

 

間違えることは怖いことだが、ここにいても先には進めない。

クロークのはす向かいに、受付らしき場所がある。

受付らしき場所に受付をしてもらいに行ってみよう。

 

まっすぐ前を見て、口角を少し上げ、軽く会釈をした。

「いらっしゃいませ。ご予約のお名前は?」

ほら、やはりここは受付だったのだ。

受付に「受付」とは書かないところがJAZZなのだ。

 

レコードを模したチケットを受け取った。

つまり、JAZZに受け付けてもらったのだ。

ライブ会場はさらに下の階にある。

いよいよこの先で、JAZZが待っている。

 

階段を下りるとそこは、高級なレストランのような雰囲気が漂っていた。

逆さに吊るしたワイングラスのある、バーカウンターのようなものもあった。

案内してくれたのは黒人の男性スタッフで、見たことないほど背が高かった。

これ以上背の高い人に席を案内されることは、この先ないだろうと思った。

 

予約していた席はボックス席になっていて相席だった。

向かいの席は男性、右隣も男性。右斜め前は、右隣の男性と一緒に来た女性。

隣との距離はずいぶんと近かった。

 

その女性の方は最近、誕生日を迎えたばかりだそうだ。

別々の人からもらったプレゼントが、なんと偶然、本とブックカバー!

距離が近いので、会話がまるまる聞こえてくるのだ。

人見知りにはなかなか厳しい環境だった。

 

会場に流れていた音楽が小さくなり、照明が暗くなった。

沸き起こる拍手とともにバンドのメンバーが登場し、すぐに演奏が始まった。

 

躍動するトランペット。

浮遊感のあるキーボード。

フレーズをループするベース。

力強く刻まれるドラム。

会場を包むようなサックス。

 

天井の照明が黄色から、赤、青に変わる。

客席では気持ちよさそうに体を揺らしている人がいる。

後ろの席から見たら、ぼくもそう見えるのだろうか。

 

海辺の情景を思い浮かべていた。船が出てゆく港のイメージ。

トランペットが描く丁寧なサウンドスケープのような、

はっきりと情景が浮かぶような文章が書けたらと思った。

もう、隣との距離は気にならなくなっていた。

 

最後の曲は『サンタが街にやってくる』のJAZZバージョンの曲で、

聴いたことのあるフレーズを、トランペットとサックスがなぞっていく。

JAZZを知らない無知なままでも十分に楽しめたけれど、

知っているともっと楽しめるのかもしれないと思った。

 

ステージ上では肩を組んでバンドのメンバーが挨拶をしていた。

客席からはその日一番の大きな拍手が送られていた。

隣の女性が「サイコーだったね」と言った。

ぼくも最高だと思った。

 

会場全体が多幸感に包まれていた。

ここにある全てがJAZZで、ぼくらもJAZZの一部だった。

JAZZは人を幸せにする、最高にカッコつけた音楽だ。

 

会場内に明かりが戻り、BGMが流れ出した。

それが合図となって、余韻を引きずりながらまばらに席を立ち始める人々。

さあ、通ってきた道を帰ろう。

 

楽しげなBGMを聴きながら、そこで急に違和感を覚えた。

クリスマスソングだと思っていたけれど、それはバースデーソングだった。

 

ハッピーバースデートゥーユー!

隣の席にバースデーケーキが運ばれてきた。

最高にカッコつけたサプライズだ。

 

ボックス席に周りの視線が注がれる。

隣の女性は驚いて口に手を当てている。

 

やっぱりこの距離は気になりすぎると思った。

人見知りのぼくには拍手をするような余裕も、

多幸感を分けてもらうほどのフランクさもなく、

地上への階段を急ぐことになった。

 

最後にまたちょっとだけJAZZの洗礼を受けてしまった。

 

入るときに重たく感じた扉は、出るときには軽いように思えた。

それは、押すか、引くかの違いだったのかもしれないけれど。

 

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2016-12-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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