メディアグランプリ

近所の八百屋さんで観光したはなし


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:浦上幸江(ライティングゼミ)

 

先日、近所の路地裏というか、小さな商店街の八百屋さんではじめて買い物をした。

駅の近くなので、存在は随分前から知っていて、気になってはいたのだが、私の帰宅時間には既に閉店している、もしくは閉店間際で買い物をするには気が引けてしまい、なかなか入ることができなかった八百屋さんだ。

 

きちんと昼の時間に立ち寄ってみると思いのほか、活気があり、いい店だった。

商品もたくさんあり、小さな路地の店舗の反対側の壁にも沢山の野菜が積み上がっていて、平日の昼過ぎにもかかわらず2〜3名の客がいた。

店主と思われる夫婦と思しきカップルと他にもうひとりずつエプロンをかけて商品を入れ替えたり、接客している男女がいた、計4人の店員さんで店を切り盛りしているようだ。

なかなかの繁盛店だ。

 

「こんにちわ、今日は何がいい?」

太った白いチワワと、鈍い動作のコーギ、犬を2匹連れた老齢の女性が聞く。

常連さんみたいだ。

 

「今日の超お買い得はほうれん草だよ、安いでしょ?」

たしかに安い、なんと2把で200円だ。

 

「あら安いわね、それと里芋がほしいのよね、どれがいいかしら」

常連さんが聞く。

 

「この里芋は最上級だよ、お正月までだって持つよ」

よく見ると里芋が3種類も置いてある。

なかなかの品揃えだなと感心した。

 

そして、そうかもうすぐお正月か、などとしみじみした気持ちになった。

そういう季節感を何気なく味わえて嬉しくも感じた。

 

常連さんと店員さんのやり取りを聞きながら、私もお買い得のほうれん草を手に取った。

女性の店員さんが、かごを差し出してくれた。

「ありがとうございます」と、お礼を言いかごを受取り、ほうれん草を入れた。

フカフカのレタスと、筋の浮き出たトマトもかごに入れた。両方共とてもおいしそいうだ。

近くの大手スーパーで売っているものよりおいしそうに見えた。

 

買い物を終え、レジの前に立つと、店主らしき夫婦がレジまで素早く移動し、妻(と思われるひと)がかごを受け取った。

「200円」

妻がほうれん草の値段を読み上げると、夫(と思われるひと)が軽やかにレジに金額を入力する。

「380円」

妻がトマトの値段を読み上げると、夫がレジに入力する。

 

息の合った、2人の連携プレーは、見ていて気持ち良かった。

長年、二人で連携してやってきたので、息がピッタリなのだろうな。

 

20代そこそこの若い二人、結婚して、がんばってお店を開店。ほどなく子供にも恵まれ、妻は幼子をおぶって、店に立つ。苦しい時も楽しい時も二人は一緒だったみたいな典型的ないい話を勝手に妄想した。

 

なんとなくいい店だなと思った。

同時に、この店はきっと数年後には潰れるんだろうなと思った。

 

店の中は、店主(と思われる)夫妻もスタッフもお客さんもみんな結構なご高齢の方々。

きっとこのまちで一緒に年を取ってきたのだろう。

そして、この年を取った店主夫婦の世代でこの店は終わるだろう、若返りはないだろうと思った。

商店街不況のこのご時世、店主夫妻はたぶん、息子世代や孫世代には継がせないだろうし、きっと若い客も来ないだろう。

少し悲しい気持ちになった。

 

以前、夫の育ったまちの商店街の駄菓子屋を訪れた時、店主のおばあちゃんと話したことがある。

夫も子供のときに買いに行った駄菓子屋だ。

店主のおばあちゃんはこう言う。

「この店は、子どもたちが来てくれるからやめられないけれど、私の代でおしまいだと思う。正直、誰かに継いでほしいとは思わない。儲からないし、大変だから」

「なくならないでほしく」と言うのは簡単だし、本当にそう思う。

でも、やっている当事者からすれば、「やってられない」というのが本音だろう。

 

私自信としては商店街のお店とか、横丁の飲み屋とか、個人商店がとても好きだ。

大型のチェーン店にはないその店その店の独特の味わいがあり、応援したくなる。

そして、願わくばいつまでも残っていて欲しいとは思っている。

 

でも、商店街の夜はとても早いし、それに宅配もしてくれない。

大手のスーパーやネットスーパー、Amazonの圧倒的な利便性にはかなわないのだ。

だから、私は商店街で、ものを買うことはほとんど無い。

 

私にとっての商店街は、たまに見に行って、「このムード、いいよねー」とかいう観光地に近しい。

ノスタルジックなムードが漂うテーマパークみたいなものだ。

個性があって、おもしろいし、安らぎも感じる。

ただ、日常には使わないというか、使えない。

たまに訪れて楽しむ感じがちょうどいいくらいの距離感だ。

 

便利さではなく、足を運んで、実物を見て、本当にイイものを選んで、きちんと買う。そんな「丁寧なくらし」には憧れるが、いまの自分には全然現実的ではない。

 

ネットでなんでも済ませてしまうのは、味気ないなと思いながらも、やっぱり便利さには抗えない。

商店街は好きだけれど、その終わりに自分自身も加担しているということは紛れもない事実だ。

悲しいけれど、商店街は終わっていくしかないのかもしれない。

 

商店街も八百屋さんも変わらないけれど、時代は変わり、私も変わった。

その変化には抗えない。

少しおセンチな気持ちになった。

年末の少し寒い夕暮れが来る。

 

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2016-12-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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