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あと少し、ふたりが仲良くしてくれたなら。


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記事:和智弘子(ライティング・ゼミ)

「オレ、Wさんのこと苦手だから和智さん担当してくれる? お願いね!」

社長なんだから、苦手とか言わないでくださいよ……と内心グチりながら、分かりましたとしぶしぶ頷く。
社長はWさんのことが苦手らしい。長時間顔を合わせていると、頭が痛くなってくるから、できる限り関わり合いたくないとまで言っている。あからさますぎるその態度は一緒に働いている私としては、さすがにまずいんじゃないか? とヒヤヒヤする。入社したばかりの頃にWさんへの態度を改めて下さい! と懇願したこともあったが「なんか、生理的にダメなんだよね。ホント、申し訳ないんだけど。和智さん、お願いね」と言われてしまった。これ以上仲良くしてくれと言ったところで変わることはない。訴えるだけムダなことはせずに、Wさんの担当は私がすればいいのだと腹をくくる。

Wさんのことは苦手だの、相性が合わないだのと散々けなす社長には、実はとてもお気に入りの人がいる。Mさんだ。Mさんは、社長の右腕としていつでも側にいて、十数年ともに過ごしてきている。

Mさんとも、Wさんとも仕事上コンタクトを取らなければならない私としては両者とも非常に有能だし、それぞれ長所も短所もあるのだ。それほど極端にMさんを贔屓する社長の気持ちは正直なところ理解できない。けれど、ずっと社長とともに歩んできているし、社長のアイデアを聞いて即座に反応してくれるMさんの有能さを見る限りでは、贔屓したくなるのも仕方のないことかもしれない。

Mさんはオシャレで、かっこいい。いつもグレーのジャケットで愛想よく私に話しかけてくる。入社当時は「なんかキザな人だな」と少し敬遠していたけれど、一緒に働くうちに打ち解け始めた。音楽にも詳しいし、新しいことが好きでいつも私が知らないような情報を教えてくれるのだ。
一方、Wさんは真面目な印象が強く、事務的な仕事が得意分野だ。いつもキチッとネクタイを締めている。出勤してすぐに出会うと「和智さん、おはようございます。今日は、このメールについてですが……」と、ムダなく仕事に邁進している。キッチリしていてWさんと仕事を進めているときには、安心感もあって、とても心強い。

私があれこれ気をもむのは、MさんとWさんの仲があまり良くないのだ。以前はそれこそ「顔も見たくない」と言わんばかりの犬猿の仲。社長がMさん贔屓であることを差し置いても、2人の中は悪かった。Mさんが担当していた仕事をWさんへ引き継ぎしてほしいとお願いし、ある程度まとまった状態で引き継いだとしてもWさんはMさんの仕事の続きはやりたくない! と放棄することもしばしばあったし、その逆のWさんの仕事はWさんが全部担当してよ。僕は関係ないからさ、と突き返されることもたくさんあったのだ。

私が入社した頃には、両者の和解はかなり進んでいたらしい。どちらかといえばMさんの方が歩み寄ってくれたのかもしれない。だけどいまでも、MさんとWさんの仲は「良い」とは言えず、若干の緊張状態を保ちながらそれぞれの仕事を進めている。両者からにじみ出る「あなたのことは、それなりに仕事も早いし、有能だとは思いますよ。でもね、あなたの事は認めてはいるけれど、私の方が、さまざまな仕事について理解していますから」という空気感は取り去ることはできない。私はそれぞれの性格を考えながら「この仕事はWさんと組んで進めよう」とか、「これはMさんが得意そうだからMさんに相談してみよう」と、仕事によってコンビを変えながら、お互いがケンカしないように調整しつつ仕事を進めていた。

そんなとき、ある大きなプロジェクトを請け負うことになった。私は、Mさんとコンビを組んで仕事を進めていたものの、お客さまから時折クレームが来るようになった。そのクレーム内容はどうやら、Mさんがつくった資料が分からないということだった。Mさん本人は、どうすれば分かりやすく見てもらえるかを苦心して制作していた。それにもかかわらず、お客さまにしてみると、どうも分かりづらい、というものだった。私とMさんは悩みに悩んだけれど、どうしてもうまくいかない。
「Mさん、ここはWさんにも協力してもらった方がいいかもしれません」と、恐る恐る提案した。Mさんは私の提案を始めは頑に拒絶していたけれど、納期も迫ってきているし渋々Wさんへ協力してもらうことを認めてくれた。

2人の仲は良くないけれど、2人がタッグを組んだら最強なのだ。それでも、Mさん、Wさんの両者の席は離れているため、私は両者の間を行ったり来たりして、プロジェクトの完了に向けて大車輪のごとく動き回った。2人のおかげで、そのプロジェクトはどうにか上手く進み始めた。

ある程度、一段落を迎えたときのこと。「それぞれ、向き不向きってあるんだね。僕が、どれほど頑張ったところで、受け入れてもらえない年配のお客さまには伝わらないことも多かったしね。今回はWさんの力を借りないと途中で問い合わせに追われてうまく進められなかっただろうな」Mさんが私にこう呟いた。「Mさん、なに弱気なこと言ってるんですか! 最後のマニュアル制作はMさんじゃないとできなかったって、Wさんも言ってましたよ! 2人とも私なんかよりものすごく仕事できるんですから、これからはもっともっと協力し合ってくださいよ!」そうだね、とMさんは笑って、あとちょっと、がんばりますかーとシャツをまくりあげる仕草をした。
その後も、時々ビックリするような呪いの単語をお互い吐くこともあり、間に入っている私はいささかギョッとする。それでも、お互いの得意分野を見極めて仕事を協力してくれるようになり、かなりホッとしている。

MacさんとWindowsさんが、あともう少しだけ仲良くしてくれることを私は心から願っている。

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2017-01-04 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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