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【現役数学講師に突撃インタビュー】数学的思考力をド文系に分かるよう教えてくれませんか?


*この記事は、「ライティング・ゼミ プロフェッショナル」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:吉田裕子(プロフェッショナル・ゼミ)

中高生時代、「数学」は得意教科でしたか?

――Yesの方、憧れます。本当に素晴らしいです。羨ましいです。

――Noだという数学が苦手なアナタ、分かります。ゼヒお友達になりましょう。

私は、数学とは全く仲良くなれませんでした。定期テストの前には数学ばかり勉強しなくてはなりませんでした。大学入試でも大苦戦。第一志望の試験当日、数学が終わった瞬間、あまりの解けなさにボロボロ泣き、隣の男子(当然知らない人)に慰めてもらった思い出を持っています。

にしても、です。数学ができないというのは、人間としての能力、というか「脳力」を否定された気持ちになりませんか。社会のテストができなくても、「もっと勉強しておけば良かったな……」と思うだけなのに、数学のテストができないと、「やっぱり私はバカなんだな……」と思ってしまうのはなぜなんでしょう。数学ができるというのは、本質的に頭が良い証拠だという感じがします。

だからでしょうか、書店に行くと、『中学校3年間の数学が1冊でしっかりわかる本』といった本が平積みされています。きっと、数学を学ぶことを通して、自分の頭を鍛えたい人が多いのでしょう。思考力をブラッシュアップしたい人が多いのでしょう。

そういえば、ビートたけしさんも数学がお好きです。ドワンゴ代表取締役会長の川上量生さんも、専門家を家庭教師に雇って、高度な数学を学ばれているとか。数学的思考力というのは、斬新なアイデアやビジネス上のブレークスルーにつながるのかもしれません。

そこで今回、「数学的思考力とは何ぞや」ということを、数学のデキる人に尋ねてみることにしました。

インタビュー対象は、私の元同僚・真田先生(仮名)です。

真田先生は塾・予備校や高校で12年ほど教えていらっしゃいます。とある大学の数学科を首席で卒業したことがあるとかないとか。

彼と話していて驚いたのが、真田先生は、高校数学をほぼ独学で習得したということ。中3の頃から、高校数学の教科書を一人で読み進め、高1の頃には数学Ⅲ・Cまでマスターされたそうです。分かりやすく書かれている(はずの)参考書を見ても、学校の授業を聞いても、先生に質問に行っても理解できなかったワタクシとの差……! きっと、真田先生は圧倒的な数学的思考力の持ち主のはずです。さあ、訊いてみましょう。

* * *

――今日は、数学的思考力について教えてもらいたいのですが。

真「論理的思考力とか、そういうこと?」

――そうです。私は感情で考えがちな人間なので、数学を通して論理的思考力を身につけられたらな、と思っています。

真「残念なこと言っていい?」

――??

真「たぶん、数学を勉強しても、あなたの望む論理的思考力は手に入らないよ?」

――え……?

真「俺が思うに、数学に論理的思考力の醸成などを期待するのは幻想」

――え……?(ちょっと待って、このインタビュー不成立……?)

真「確かに、数学は論理的に考える。でも、それはあくまで、数学内の特定分野の論理システムにおいて論理的である、ってだけ。ほら、教えてているでしょ、数学はできても、現代文の評論は全くダメな子」

――た、確かにいます。

真「国語には国語、歴史には歴史の論理がある。あと、色々な仕事にも、各現場ならではの論理的思考力っていうのが存在するんじゃないかと思うよ。数学の論理的思考力を磨いたからって、自分の仕事に活きるかどうかは分からない。これは多分だけど、数学を苦手にした人が、数学の論理的思考力のことをまつり上げすぎているんじゃないかな、って」

――心苦しい指摘……。でも実際、大人が数学を勉強し直す本が結構はやっているんですけど、大人がそういう風に数学を学び直すのって全く意味はないんですかね?

真「いや、メリットはあると思う。パッと思い付いたのは2つ」

――2つ?

真「まずはコンプレックスやルサンチマンの解消。学び直しの場合だと、入試向けのマニアックな話とかが削ぎ落とされた本で勉強するんじゃないかな? そういう、本筋だけをシンプルに書いた本だったら、当時挫折した人でも理解できることが多い。それで、実際に問題が解けて『デキる』って感覚を味わえると気持ちいいしね。そしたら、変なマイナス感情が消えて、自分の思考力に自信がつく」

――なるほど。

真「もう一つは、大人の場合、数学を学ぶプロセスが、働く上での参考になるんじゃないかな。ほら、数学を勉強するときって、①原則を学ぶ ②原則を具体的な問題に応用する ③実際に手を動かして答えを出す ④正否を検証する っていう流れでしょ。この流れを仕事にも持ち込めると良いと思う」

――数学の内容自体というよりは、学び方が参考になる、ということですね。例えば、①会社や部署全体の目標や指針をきちんと理解して ②自分個人の具体的な仕事に落とし込んで ③ちゃんと泥臭い作業とかもやって実現して ④反省する という感じですかね。

真「そうそう。仕事って日々、具体的なトラブルが勃発するでしょ。その課題の構造を見抜いて同一視するのとかは、数学の思考に近いかも」

――あーっ!

真「どうしたの?」

――私、数学が苦手だったので、試験範囲の問題集を全暗記してテストに臨むタイプだったんです。でも、ちょっとヒネられるともうダメで。それって全然「同一視」ができてなかった、ってことですよね。

真「かもね。こまかい枝葉を落として、あれとこれ似てるじゃん、って思えるかどうかだよね」

――構造を捉え、同一視。なんかキーフレーズが来たので、記事にできそうです。ありがとうございます。最後に、これまで見てきた生徒とかで、「こいつ数学的思考力あるな~」と思った子の話、教えてもらえますか?

真「あー、忘れられないのは、『数学はどこででもできてしまうからツラい』といった子だね」

――え、どういう意味ですか?

真「数学ってさ、紙とペンさえあれば、いや違う、自分の頭さえあれば、本当にいつでもどこでもできるわけ。天性の数学人は誰に言われなくても、そこにある疑問を絶えず考え続けちゃうんだよね。内発的に。放っておくと、24時間考えちゃう。そういう姿勢が、数学的思考っていうんじゃないか、と俺は思ってる」

――おお、一刻も早く宿題を終わらせたいという姿勢で数学に取り組んでいた私との違い……。

真「いや、それはそれぞれの人の適性の問題だよ。自分の領域に関して常に考え続けられる人は、その分野での思考力はあると言って良いでしょ」

――何だか救われる言葉です。私は、文章に関してそうなれたら良いなと思います。今日はご協力ありがとうございました。

* * *

以上、2016年の暮れに、うちの夫にインタビューしてみたことでした。

自分のできないことをできる人はカッコ良く見えます。そのおかげで、数学講師にばかり恋をし、とうとう数学講師と結婚した私ですが、自分の数学コンプレックスに目を向けるよりも、自分野での思考力を発揮する2017年にしたいと思います。書いて、書いて、書きまくるぞー!

***
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2017-01-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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