メディアグランプリ

私は毎日学校に通う度に、旅に出ている。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:秋田麻菜香(ライティング・ゼミ)

 

みなさんは毎日どんな道を、どんな気持ちで通勤していますか?

 

私が大学1回生の頃、1年間だけという約束で京都に下宿をさせてもらった。

1年間なのは経済的な理由から。我が家には1年100万円以上の生活費×4年を出す余裕はなかった。

1年間京都に住み、2回生からは実家から2時間ほどかけて通うことになった。

経済事情を母から聞いて少しがっかりしたが、私立の大学に通わせてもらえるだけありがたい。

実家から通うのが大変で2回生から下宿を始めるというのは通学2時間組にはよくあるパターンで、私のような初めだけというパターンは珍しい。

 

1回生の春、待ちに待った京都での生活が始まった。

京都に住むといっても正確には一人暮らしではなく二人暮らし。

先に京都で一人暮らしをしていた別の大学に通う姉に合流する形になった。

住む家は姉の大学寄りの立地で、私の大学からはだいぶ離れていた。

その為、通学方法を考えなければならなかった。バスや電車など、色んな手段を試したが、結局自転車で50分かけて通うことに落ち着いた。これだと最短時間で行けて、お金もかからない。なにより自転車だと帰り方のバリエーションが増える。

当時は本屋や和菓子屋に寄ったり、鴨川の遊歩道を走ったり、とにかく市内中を駆け巡った。毎日発見の連続で、一人だけど楽しくて仕方なかった。

寄り道は想像以上に京都での生活を充実させてくれた。

そんな楽しい1年もあっという間に過ぎてしまい、実家に帰ってきた。

 

電車に拘束される時間が増え、まちを楽しむための自由な時間は大きく減ってしまった。

それでも駅から大学までバスに乗らず、40分かけて歩くことで自由な時間を作り出した。

一通りの帰り方になってしまうのは嫌だったからだ。

徒歩だと自転車に乗っていた時よりもスピードがゆっくりな分、より小さなものにも反応できる。

 

歩いていると、今日は日差しがあったかいな。新しい店がオープンしている。昨日雪が降ったから山が真っ白だ。この細い路地はどこに繋がっているんだろう。

こういった小さな気付きがたくさん見つかる。

 

昨年の秋には、京都の南北を走る川端通りのイチョウ並木が、思わず立ち止まってしまうほど綺麗な黄金色に染まっていた。

黄金色が青空に映える。イチョウってこんなに綺麗だったっけ。

私の心がしみじみしやすいように感度が上がってしまったのだろうか。

そんな疑問に私は、自分は少しずつ歳を重ねていて、こんな季節の移ろいにも感動しやすい大人になったのだと受け取った。

新しい景色だけでなく、新しい自分にも出会えた気がした。

 

ある日、私は大学の授業の発表で失敗した。周りに比べてうまくいかなかった。別に誰もダメだったとは言ってこないが自分では失敗したと思った。

自分ってほんと本番に弱いな。恥ずかしい。早く忘れたい。

むずむずする気持ち悪いエネルギーが体から溢れそうだった。

そんな時は人の通りの少ない鴨川に沿って帰った。

そして周りに人がいないことを確認してから、軽くスキップしてむずむずする気持ちを消し去った。

 

反対に、気分のいい日は入り組んだ細い路地を選ぶ。

まち並みをじっくり見るためだ。つまり、まち並みについて想いを馳せる余裕があるということだ。

じっくり見ていると壁のレンガが剥がれそうな建物を見つけたり、猫のたまり場なんかを見つけたりする。猫との遭遇は自分の中でポイントが高い。

 

このようにその時々の気分によって行く道を変える時、私はふと、旅行をしているような気分になった。

通学路は40分の小旅行ではないかと。

 

経験上、旅行には思わぬ出会いが付き物だと私は考えている。

迷い込んだ場所が、実は夕日の見える穴場スポットだったり、通りすがりのおばさんが食べ物をおすそ分けしてくれたり、入ったお店で隣に座っていたおじさんがビールをご馳走してくれたり。そんな経験はないだろうか?

その土地ならでは出会いは良くも悪くも、旅の思い出に厚みを持たせてくれる。

 

通学路には旅行レベルの大きな出会いはないが、小さな出会いはたくさんある。

綺麗なイチョウ並木や、猫との遭遇がそれに当たる。

そんな小さな出会いの積み重ねで私は通学路のどの道にも思い入れがある。

自分が今まで何かを発見したスポットを定点観測のように確認していくので、最近はどの道を選んでも見るところがたくさんあって楽しい。

 

今日はこんな気分だからこの道にしようと考える一瞬も、旅行の計画を立てているようだ。

落ち込んだ気持ちに合わせた道は傷心旅行に似ている。外の空気を吸いながら歩くと気持ちが落ち着くし、何かをいいものを見つけると気分も晴れる。

 

歩いていると自然と考え事をするので無意識に自分との対話になる。

そうすると、たまに自分の中の新しい価値観に出会うことがある。

新しい場所も発見するけれど、新しい自分にも出会える。

自分は何が好きでどんなことに惹かれるのか、そんなことが学校に通うだけで分かるなんて。

私はなんと安上がりな人間なのだろう。

 

私が実家通いにも関わらず存分に京都を楽しめているのは、1回生の頃に自転車で寄り道をしたおかげだ。

その時、どんなところにも小さな発見が転がっていると知ったから。

 

片道40分の通学路にはまだまだ出会いが沢山あるみたい。

 

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2017-02-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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