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リクルートスーツ姿で空を飛び続けるわたしたち


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記事:万季(ライティング・ゼミ)

アサギマダラ、という蝶をご存じだろうか。
その名前に聞き覚えがなくとも、彼らが空を舞う姿を見かけた方もいるかもしれない。
なんせ、彼らは毎年、日本列島を縦断する「渡り蝶」なのだから。

アサギマダラの前翅長、つまり前羽の大きさはおよそ5cm。
羽を最大に広げたとしても、その全長たった約10cm、つまり人間の片手ほどしかない。
そんな小さな体で、2,000㎞以上もの長い距離を旅するという。
夏に日本全土で発生した彼らは、その小さな体にひたすら栄養を蓄え続け、
秋になると、南を目指して飛び立ち、海を渡り、なんと沖縄諸島や台湾にまで到達する。
そして、次の春がやってくると、その経路をたどって南から北へと移動する。

驚くことに、彼らの寿命は、成虫になってから約4,5か月しかない。
つまり、その生涯ほぼずっと旅をして、生まれた故郷に帰ることなくその命を終える。
旅の舵取りをしてくれる先駆者がいなくても、一緒に旅を続けてきた仲間が亡くなっても、自分の命が旅の途中で尽きるかもしれなくても、果てしない距離を飛び続けるのだ。

アサギマダラはなぜ、それほどまでに長い旅を続けるのだろう。
快適に過ごせる場所を探して? よりおいしい花の蜜を求めて?
敵から身を守るため? 縄張り争いを避けるため?
その答えは彼らにしか、いや、彼らにも分からないかもしれない。
けれど、2000㎞先の見知らぬ土地を目指して飛び立つほどの強いエネルギーが、彼らの中に間違いなくあるのだと、わたしは思う。

あなたも、想像してもらえないだろうか。
あなたとその家族や仲間たちが飢えずに生きていけるほどの食糧が十分にあるとする。
そして、あなたたちの命を脅かす危険な敵がほとんどいないとする。
(アサギマダラは体内に毒を持っており、鳥などに捕食されることはほとんどない)
そして、暑さ寒さをしのげる場所が身近にある、もしくはそれを探すための手段と時間が確保されているとする。
それでも、あなたは、その人生をかけて、遥かな距離を旅するだろうか。

わたしなら、旅をする決心なんてそうそうできない。

わたしはどこにでもいる普通の、いや普通よりやや地味で、特別な個性のない大学生だ。
大学生活ももうすぐ4年目を迎え、ついに就職活動に直面している。
わたしには、小さいころから追い続けている夢や大きな目標もない。
自分の人生をかけて何かを成し遂げたいという情熱もない。
家族や友達といる時間がとても大切で、小さな親切に巡り合ったり、人に感謝されたりすることが嬉しくて、日常のささいなことに幸せを感じる、そんな人間だ。

けれど、就活の世界ではそんな言葉は許されない。
目の前の会社に採用され、社会に受け入れるにふさわしい、「すごい自分」にならなければならない。もしくは、そんな自分を演じ続けなければならない。
そういう強迫観念につきまとわれる。

グローバルな人材として活躍したい。
これまで自分を育ててくれた地域への恩返しをしたい。
御社の経営理念に共感したため、その成長に貢献したい。
どこまでが本当でどこまでがはったりなのか、まったく分からなくなる就活の世界で、
不安と戦いながら、自分を認めて受け入れてくれる場所を、みんな探しているはずだ。

企業説明会やインターンシップで、本気で自分の将来を考え、自力であらゆることに挑戦している「意識の高い」学生に出会い、圧倒される。
彼らには、アサギマダラのように、長い道のりをものともしない強い意志があるのだろう。
そして、その瞳には、海の向こうの遠い目的地が映っているのだろう。
いま自分の持っているものを引き換えにする覚悟を背負っているのだろう。

彼らほどの大きな目標も、それを背負う勇気も持たないちっぽけなわたしには、
その背中がとてつもなく眩しく見える。
そして、そんな気持ちを抱かせる彼らに憧れ、真似をしたい気持ちが痛いほどにわかる。
そんな自分の行動が、意識が低いのか、意識だけ高いのか、そのふりをしているのか分からなくなってくる。

だけど、ほんとうは信じたいのだ。
わたしのなかにも、彼らのような強く大きな何かがあるんだと。
不安に駆られて、焦って、泣いて、失敗して、迷って、また失敗して、
でも、昨日より一歩でも前に進みたくてもがいているうちに、
その何かの手ごたえが見つかると思いたいのだ。

答えが見つかることを願って悩んでるだけじゃ、何も始まらない。
サナギから蝶へと変わるわたしたちは、羽根を伸ばし、空へ飛び立たなくてはいけない。
雨の中でも、風の中でも、その旅の途中で力尽きるかもしれなくても、
実は案外、近くに羽根を下す場所があったとしても、
そこが本当に自分の居場所かどうか、確信が持てなくても。

羽根を広げて飛ぶその姿は、地面に止まっている時よりきっと、
美しく見えるのだと信じている。
***

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2017-03-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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