メディアグランプリ

おいしい文章の書き手は、料理上手。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【4月開講申込みページ/東京・福岡・京都・全国通信】人生を変える!「天狼院ライティング・ゼミ」《日曜コース》〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
【東京・福岡・京都・全国通信対応】《日曜コース》

記事:なかおかともみ(ライティング・ゼミ)

「北海道はおいしい」

北海道の外から来た人は、口をそろえてそういう。
例えば、スープカレー。
ごろごろと入っている野菜が新鮮で、ジューシーだ。

例えばソフトクリーム。
牧場のソフトはいずれもおいしく、食べ歩いても飽きないほどに、お店ごとに多種多様で個性的。

居酒屋に入れば、出される山の幸、海の幸の豪勢さに驚き、質に対してのリーズナブルさにもう一度驚く人が、とても多い。

なかでもわたしのお勧めは、お寿司。
大振りの新鮮なネタがどどんと載っている迫力は、他では見られない。

黄金色に粒のたったうに。
ぷっくりとふくらんだいくら。
とろりととろけるえび。
甘く身の厚いほたて。

回転寿司でも十分に楽しめるネタの充実ぶりは、ひとの舌をこよなく楽しませてくれる。
おいしいものが目白押しの北海道。
そんな北海道に住まいながら、わたしは心ひそかに本州への憧れを抱き続けてきた。

それは例えば、江戸前寿司。

冷凍の技術がなく、食材の日持ちがしない江戸時代。
発展したのは、素材をいかにおいしく、美しく見せるかを考えつくした、伝統的な下ごしらえの技。
酢やしょうゆにつけ、煮て、ゆでて、炙ってと、素材に合わせた多彩な下仕事と、美しく入れられた包丁目。
「買って来たのをおろして、切り付けて、握って売るんじゃないんだ」
精巧な仕事をする職人さんの言葉に、深くうなづく。

それは例えば、炊き合わせ。

同じ皿に盛る煮物を、別々の鍋で炊いて仕立てる、手の込んだ作り方。
例をあげるなら、春が旬の筍とわかめ。
味が入るのに時間がかかる筍と、煮すぎると溶けるわかめの組み合わせだ。
同じ鍋だと、わかめの色が筍にうつる。わかめが筍に絡んで、見栄えが悪くなる。
だから、筍はゆっくりと鰹節を効かせて煮込み、わかめはさっと別に煮る。
その二つを、「筍とわかめの炊き合わせ」という一品として盛り付ける。
そんな手間をかけた繊細さが、炊き合わせにはある。
北海道に住まいながら、わたしはその、「手をかける」という贅沢さに憧れ続けていた。
一歩、北海道を出てみると、「北海道」の名を冠した商品をあちこちで見かける。

北海道の食べ物は、おいしい。安心、安全。
そんな北海道ブランドが、確立している。

あらためて調べると、北海道の食料自給率は、なんと200%超。
生乳、じゃがいも、小麦の生産が多く、カロリーベースでは不動の全国1位を誇る。
北海道の食は、質量ともに豊かなのだ、と、一見、誇らしくもなる。

しかし、売られているものをよく見ると、素材が多い。
北海道で生産された素材は、加工することなくそのまま送られている、という状況が透けて見える。

北海道の食は素材が良いから、比較的手をかけずにおいしく食べられる。
だから自然と、素材勝負の料理が多くなる。
しかし、素材をそのまま食べさせる料理は、単純なシステムに乗せることができる。
それは、簡単に誰でも同じものが作れてしまう、ということだ。

一方、手をかけた料理を作るには、一定の技術がいる。
そこで仕上がってくるのは、「買って来たのをおろして、切り付けて、握って売る」のではない、仕事のされた料理だ。

素材と料理に、食べ物としての優劣はない。
でもその二つには、際立った違いがある。
それは、同じものは簡単につくれない、という決め手があるかどうかということだ。
そんな素材と料理の関係は、文章を書くことに似ている。
文章を書くのは、情報という素材を料理するのにとてもよく似た作業だ。

ネットでお店や地域の紹介記事を検索すると、見たことのあるような記事が複数ヒットする。わたしたちはそこから、必要な情報だけをチェックして読み流す。
そんな記事の生産元のひとつは、2000字/500円などの価で募集される、ブログ記事のライティングだ。その条件を眺めると、マニュアルあり、初心者でも簡単、などの、気軽そうな言葉が並ぶ。そんな対価で調べこんだオリジナルの記事をかくなんて、至難の業。だからマニュアルに沿って情報をコピーしただけの記事が、量産され、媒体に乗り、右から左へと消費されていくことになる。

一方、情報が咀嚼され、ほかのものと組み合わされ、形を変えながらアウトプットされた時、文章の印象はがらりと変わる。
そこに生まれるのは、その人にしかできない仕事を施された、文章だ。
それはすでに、情報というむき身の素材であることをやめている。
あたかも、江戸前の職人が細工をした、美しく並ぶ寿司のように。
おいしい素材をみつけるのは、料理人の目利きというもの。
そして、それをおいしく料理するのが、料理人の本領の発揮どころ。

おいしい文章の書き手は、料理上手なのだ。

そんなことを考えながら、関東に越してきた道産子のわたしは、キーボードをぽちぽちとたたく。
とびきりの素材でおいしい料理を提供する、そんな日を目指して。

***

この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

【3/10までにお申込みの方限定】15,000円分の特典付き先行受付!4月開講ライティング・ゼミ《日曜コース》〜選べる特別講座1講座(90分×1コマ)+イベント参加チケット5,000円相当付き!

天狼院書店「東京天狼院」
〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5

【天狼院書店へのお問い合わせ】

【天狼院公式Facebookページ】
天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。



2017-03-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事