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中学生にバカにされた僕は、将棋から人生を学んだ。


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記事:田中 洋輔(ライティング・ゼミ)

キッカケは、些細なことだった。

将棋が好きな生徒がいて、彼のために将棋に関する授業をした。その中学生は、なかなかの腕前らしく、他の生徒にも熱心に教えていた。

授業を通して、僕も久々に将棋を指すことになったのだけれど……

ちょっと、想定外だった。

小学生のときに将棋は取り組んだことがあった。けれど、やってみると全然できない。ルールもなんとなくしかわからない。「やっているうちに思い出すだろう!」という安易な気持ちは、簡単に裏切られた。

そもそも思い出すほどの知識すらなかったのだ。

「ほんまなら反則負けやけど、まぁ仕方ないから、今のは無しにしたるわ」と、中学生に言われる始末。

僕が将棋を始めようと思ったのは、悔しさからだった。

子どもにバカにされないように。
「おっ! すごいねっ」と言ってもらいたかった。

大人なのに、中学生に褒められたいと思うなんて、自分自身でもなんだか可笑しくて、笑ってしまう。

僕は、親に褒められたい一心で勉強をガンバる子どものような気持ちで、将棋を学ぶことにした。

始めてみると、将棋の奥深さに驚かされた。どれだけハンデをつけたところで、“強さ1”の最弱にも勝てないのだ。

「なぜだー!!」

ルールは、なんとか覚えた。駒がどうやって動くかも頭に入れた。

でも、全く勝てない。

Google先生に聞いてみる。検索のところに文字を打つ。

“将棋 初心者”

すると、いろんなサイトがあって、上達法や学び方が書かれていた。

どうやら、定跡という決まった打ち方があり、まずはそれを覚えることから始めるのが良いらしい。

なんとなくだけれど、どんなことを覚えていけばいいのかわかった。

けれど、サイトを見ていくにつれて、僕の心は沈んでいった。

「どんだけあんねんっ!」

“これだけ覚えたらいい。猿でもわかる将棋”みたいな、簡単に学べるようなサイトは全くなくて、ただひたすら、「本を読め!」「棋譜を見ろ!」「定跡を覚えろ!」しか書いていない。

覚える知識量は膨大で、どこから手をつけたら良いのかわからなくなる。

相手の“王”を取ったら勝ち。自分の“王”が取られたら負け。
とてもシンプルなルールなのに、すごく奥が深い。

ちょっとかじれば強くなると思っていた僕は、自分の甘さを痛感した。その覚えることの多さに圧倒され、イヤになりそうだった。しかし、このまま中学生にバカにされたままではいけない。

毎日コツコツと将棋の勉強。アプリを使い、最弱の相手に何度も何度も負けながら、戦いを挑む。

日が経つにつれて、だんだんと将棋がわかってきた。初心者が学んだほうが良い定跡を少しずつ習得。次第に最弱の相手にも負けないようになってきた。

本やネットで知識を得て、実践で試してみる。うまくいかないところは、反省して次へ活かす。どうすれば上達すればいいかを考え、調べ、試行錯誤する。

あれ? これってなにかに似ている……

将棋を勉強しながら、ふと思った。

なんだろう?

しばらく考えてみて、答えがわかった。
将棋を学んでいく過程って、そのまんま人生と同じなのだ。

将棋には、なにが正解で、どうすれば上達するかの明確な答えはない。

だから、自分で考え、判断をして、学んでいく。必要だと思った書籍を購入し、順番に定跡を覚えていく。

覚えているだけでは使えないので、学んだ定跡を実践で使ってみる。わからないところは、もう一度立ち返る。

人生にも答えはない。「こう生きたらいいよ」なんて正解はどこにもなくって、自分で考え、判断して生きていくしかない。

悩み、迷い、不安になる。

道先を照らしてもらうために、本を読み、知識を得る。
ただし、そこにも決して正解は載っていない。

あるのは、あくまでも参考になる情報のみ。

将棋と同じで、人生も1人だけでおこなうものではない。

いくら定跡を覚えたところで、相手が想定外の手を打ってきたら、マニュアルとは違う対応を迫られる。

仕事でも、本に書いていることをそのまんましたところで、結果が出るとは限らない。営業の本を読んで成績がスグに伸びるのであれば、誰も苦労はしない。

知識を入れた上で、自分なりに工夫をして、目の前にいる敵(仕事)と戦わなくてはならない。

「本なんて読んでも実際には使えない」
「どんどん行動して、そこから学んだらいい」

そんなふうに言う人もいるだろう。

でも、知識が少ないと、敵には太刀打ちできない。やりながら学ぶことも大切かもしれないけれど、それではいつまでたっても勝つことはできないし、結果が出ない。

すると、人はイヤになる。うんざりする。心が折れてしまう。
僕は、将棋を学びだしてから、改めて気づいたことがあった。

普段は、仕事に活用するために、「必要だ」と思って本を読んでいた。答えを探すために本を読んでいた。

義務的に、イヤイヤながら、「読まないといけない」と思って一心不乱に本と向き合っていた。

でも、将棋の本を読んでいるときは違った。目的は、仕事と同じ。
勝つために必要だし、うまくなる答えも欲しいと思っていた。

しかし、読んでいて楽しかった。新しいことを知るのが嬉しかった。得た知識を使って実践でうまくいくと、その嬉しさは倍増。すると、もっともっと知識を入れたくなる。好循環が生まれ、貪欲に学ぶことができた。

そう。学ぶことは、純粋に楽しいのだ。

知識を得て、活かせることもあれば活かせないこともある。活用できないからといって「これは無駄なことだ」と決めつけることはない。どんどん次の情報を探し、答えを見つけようと躍起になるのは、青い鳥を探すチルチルとミチルのようだ。

どこを探しても幸せの青い鳥などはいない。

使える使えないに関わらず、その目の前にある知識や情報がなによりのご褒美なのだ。学ぶこと自体が幸せの青い鳥なのだ。
将棋が強くなること、仕事で結果を出すことは、もちろん大きな目標だ。しかし、それだけだと、人生はつまらない。

僕は今、将棋が強くなりたいと思い、知識を吸収し、実践で試している。この過程そのものが、なによりも楽しい至福の時間だ。

どうやら、僕はいつの間にか結果だけにとらわれ、学ぶ楽しさを失っていたのかもしれない。

中学生に「学ぶことは楽しいんだよ」と教わった気がした。

さて、次はどこに人生の一手を打とうかな。

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2017-03-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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