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レンガの家は今年完成予定


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記事:下野祐依(ライティング・ゼミ)

「もはや、就活とか趣味だよね」とか、へらへら笑って言ってみる。内心すごい焦りながら。

私は今まで、すでに2回就職活動をしていて、これから3度目の就職活動をはじめようとしている。

1度目の就活は大学4回生のとき。ほとんどの人が大学院に進学する学部だったため、周りに就職活動をしている友達はいなかった。しかし、それまで部活ばかりの学生生活を送っていた私は、大学院に進学して勉強ができずに苦労するより、就職してお金を稼げるようになりたかった。
ただ、楽をしたいという動機で始めた就職活動が、そんなに甘くないということに気付くのにあまり時間はかからなかった。自分でも知っている大企業の説明会にとりあえず行ってみるものの、勉強をしたくない、だけの私は何を見てもなかなか志望動機が思いつかない。予想以上に時間がかかることがわかり、部活をする時間が無くなってしまうのが嫌になると、あっさり就職活動をやめて、大学院に進学するための院試勉強に切り替えた。

2度目の就活は去年、修士1回生のとき。大学院に進学したものの、それまで何も知ろうとしてこなかった私は、興味があるものも、研究してみたいこともわからなかった。そして、1年間、何もできずに悩んでしまう。なんで大学院なんかに進学したんだろうと後悔したり、バイトを探しては大学を辞める方法を考えたり、親をかなり困らせてしまった。これまでの中で一番の反抗期だったし、人と接するときも、ものすごくトゲトゲしていた。
結局、やりたいことがあるならまだしも、なにも計画がない中で大学を辞めて、日本の就活制度で大事とされる新卒、をみすみす放棄してしまうのはもったいないと、何人もの人に説得され退学は思いとどまった。
ほんとに苦しい時期だったが、年が明けるころにはぼんやりとやりたいことも出てきた。そして、ようやく、大学院での研究テーマが決まったころに就活が始まった。それまで親にたくさん迷惑もかけていたので、これ以上心配をかけたくないと思い、必死になって就職先を見つけようとがんばった。だが、今度は自信がなかった。学部のときは怖いもの知らずというか、勢いでどうにかしようとしていたが、院卒となるとそうもいかない。そして、なんといっても、1年間のブランクがある。

「なんで、大学院に進学したの」
「はい、それまで大学で学んだことをいかして、本格的に研究をしてみたいと思ったからです」
(学部で就職できたらしてたけどね……)

「では、なぜ、今回は研究職ではなく一般職への応募なの」
「一つのことにじっくり取り組む研究よりも、いろいろなことが経験できる一般職のほうが自分に合っていると考えました」
(研究とかまともにしたことないけどそんなこと言えないし)

自分の言っていることが本当のことなのか自分でもわからなくなってしまう。
きっと自信のなさがにじみ出てるんだろうなと、ネガティブな気持ちになってしまう。

「就活2回目って言っていたけど、2回目にしては少し出遅れていると思うよ。もう少し危機感を持ってがんばって」
「はい、ありがとうございます、がんばります」

親を安心させたいから就職したいと思う一方で、自分は本当にこれで大学生活をやり切ったといえるのだろうかと、もんもんとしてしまう。休学もしなかったんだし、適当に研究を終わらせて、もう少し就活を続ければ卒業できると、なんど自分に言い聞かせても納得できなかった。あと、1年あれば悔いなくすっきり卒業できるんじゃないかって気になってくる。
悩んだ末、やり足りていないことが多すぎる、という理由で留年をしたいと親に伝えた。わがままでしかないし、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだったが、親はしっかりとがんばりなさいと言って自分を応援してくれた。

そして、今年、3度目の就職活動だ。
留学をしていたわけでもなく、企業で長期インターンをしていたわけでもなく、「ただの留年」というハンデを背負って就職活動を始めることに対する不安は大きい。それでも、やっとここまでこられたと思うと、感謝の気持ちを胸にがんばろうと思える。

今回の就活、焦る気持ちをぐっと抑えてひとつひとつ丁寧にやっていこう。
3匹の子豚では1番目の子豚が作ったわらの家も、2番目の子豚が作った木の家も、オオカミに壊されてしまった。今まで自分がとりあえず楽になりたいと思って書いたエントリーシートが通過しなかったように、親を安心させようと手当たり次第に面接を受けてもお祈りされたように。
でも、3番目の子豚の作ったレンガの家はオオカミが壊そうとしてもびくともしなかった。慌てて取り繕ってもどこかでぼろが出てしまう。最終的には、自分で納得いくなにかを探し続けるしかないんだと思う。

3匹の子豚の話には出てこなかったけど、就活市場ではきっと鉄筋コンクリート造りの頑丈な家をあっという間に立ててしまう効率のいい豚もたくさんいるだろう。

それでも、私は一つずつ積み重ねていくように、レンガの家を作っていきたい。

***

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2017-03-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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