メディアグランプリ

「ゲーム好きな干物女子」って愛せますか?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:よめぞう(ライティング・ゼミ)

「趣味は、楽器を吹くことと美味しいお店探すことです。お酒が好きなんですよねー」
だなんて、以前の私はかなり無理をしていたんだと思う。
でも、決して嘘をついていたわけじゃない。

楽器も社会人になって続けているし、お酒も大好きだし、外食する頻度こそ減ったけれど、いざ行くとなれば毎回ワクワクする。

ただ、どうしても正直に言うことができなかった。
言ってしまったら、小さいながらもせっかく積み上げた「女子力」が一瞬で崩されるんじゃないかという恐れがあったからだ。それに、同性の友人が減りそうだし、異性には全くもってモテないだろうって確信もあったからだ。
だからどうしても……

「ゲームが好き」だなんて自己紹介では口が裂けても言えなかった。

え? それだけ? って思うかもしれない。

例えば、スマホのアプリでハマっているゲームがあって……くらいだったら何の問題もなく「ゲームが好き」と言ったと思う。だけど、私の「好き」はスマホの大きさを超えて、テレビゲームの方なのだ。どのくらいやってしまうかと言うと、仕事が休みの前日にお酒とつまみを買い込み、それを頂きながらなくなるまでひたすら……だいたいひどい時は明け方までやって、朝日と共に眠りについて、目覚めたら夕日が沈みかけていたなんてことはよくあった。同世代の一般的な女性だと

「あそこのパンケーキが美味しいらしいよー!」

と来るところだけれど、私の場合

「あのゲームが面白いらしいよー!」となっていた。

一応、結婚適齢期のアラサー独身女性だったのでこれは「女子力」なさすぎるという自覚はもちろんあった。だけど、そんなにメイクに興味はないし、服は見えちゃまずいところさえ隠れてくれればいいくらいにしか思ってなかったから、どれだけ「女子力」を上げようと思っても続かなかった。
そもそも私が必死に「女子力」を上げたところで「女子力高め」のいわゆる『JJ』とか『CanCam』とかのような赤文字系女子にはなれそうにはないし、石原さとみにだってなれるわけじゃない。
私にとって「女子力の向上」はとても疲れることだった。
何もなければ1日中部屋着で過ごす、いわゆる「干物女」の私が石原さとみになろうと思ったら途方も無い作業工程が待っている。ボサボサの寝癖からどうにかしないといけない。石原さとみの石くらいまで仕上がる頃には、きっと1日が終わるだろう。結局、中途半端に終わるくらいならいっそ無理してやる必要なんてないんじゃないかと思った。

そこで、私は「女子力」とお別れすることにした。

周りの話において行かれないように、必死で雑誌を読み漁るのをやめた。
化粧品も、色物は必要最低限を残してあとは捨てた。
話題になっているお店なんかも、興味がなければ行かないようにした。

その結果、家にいる間の「干物化」はハイスピードで進んだけれど、干物らしく味が出てきたのか不思議なことが起きた。

好きな本を読む時間が増えた。
化粧品は色味を少なくすることで、かえって自分が使いやすいものはどれかを考えるようになった。さらに、オフだと一切化粧しないせいで自分の素肌を見る時間ができた。そのおかげでせめて肌の手入れだけはしようという気になった。
興味を持ったものに時間を費やすようになって行動の幅が増えた。
もちろん、ゲームは空いた時間に思いっきり楽しんだ。

おまけに彼氏までできた。彼もゲームが好きだ。
さらにいうとその彼と結婚して、4年ほど経った今も夜な夜な一緒にゲームをしている。

おかしな話だ。頑張らなくなってからの方が明らかに充実している。

結局のところ、私は「女子力」という言葉に惑わされていただけだった。
自分を良く見せたい、嫌われたくない。という気持ちが強い分、厚化粧のように見て欲しくない部分をどんどん塗っては隠してごまかして……だけど、そういう必死な感じというか無理している感じが相手に伝わるから余計に痛々しい。それよりも、あえて見て欲しくない部分こそさらけ出してしまう方がかえって目立たないし場合によってはチャームポイントにだって変わることもある。これは身をもって痛感している。

だから無理をして「女子力」を上げる必要なんて全くないし、捨ててしまった方が楽だ。ひょっとすると「女子力」なんてもの自体、最初から存在しないのかもしれない。
たぶん、私はこれからも「頑張らない」と思う。その方がもっとたくさんのことを吸収することができるし、もっと「自然体」でいられるし、もっと「魅力」がある人になれると思う。

昔の私だったら「大丈夫かな、ドン引きしていないかな」といちいち気にして絶対に言えなかったけれど、次に自己紹介をすることがあれば胸を張って

「趣味はゲームをすることです」

と言うだろう。石原さとみにはなれないけれど、私にも「ゲームが好きな女の子」という魅力が一つ輝いているように見えた。
あとはもうすぐ三十路だし、そろそろ「内面からセクシー」を磨いてみるのも面白いかもしれないな、と天狼院書店の「裏フォト部」の案内を見ながらにんまりしているのであった。

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2017-03-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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