メディアグランプリ

敢えて今、私は足がクサくなりたい


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:芽れんげ(ライティング・ゼミ)

 

 

「おい、このクサイ靴、誰のや?」

玄関から夫の声。

 

 

突然ですが、あなたの足や靴はクサイですか?

というか、今までを振り返って、クサかったことってありますか?

年代にもよるかもしれないけれど、たいていみんな、若いころにはクサかった記憶があるのではないだろうか。

男女問わず。

かくいう私も、若いころには自分自身でもクサイと思う時期があった。

 

 

私は科学者でもなんでもないので、詳しいことはわからない。

でも、私自身のこれまでの経験から言うと、愛用のスニーカーの臭いは洗ってもすぐに復活した。

足は夜にお風呂で念入りに洗っても、何故か朝にはそこはかとなく臭うような気がした。

消臭スプレーをした靴も、時間の長短にかかわらず脱ぐとしっかりクサくなっていた。

もちろん靴下は毎日履き替えていたし、洗剤のさわやかな匂いがしていたにもかかわらず、だ。

洗剤や石鹸、消臭スプレーの効果が今ほど優れていなかったからかもしれない。

でもそれでも、クサい人とそうでもない人とがいたということは、クサさには何か個人的な理由が介在しているのではないかと思っていた。

 

 

 

ところで、「クサい」といえば、誰もが連想するのが体育会系の部室。

あれはたまらない。

特に、剣道の防具などに代表される、洗うに洗えない物たちに蓄積した臭いときたら……。

我が家の4人家族、私以外の3人がそろって剣道をしていたことがあるので、あの臭いの破壊力の凄さは経験済み。

はっきり言って、ぶっ倒れそうになる臭いだ。

でも一方で、そういう体育会系の臭いって、「青春だなあ」とか「頑張ってるんだなあ」とかいう感情を引き起こしたりもする。

夏の甲子園、炎天下。額の汗をユニフォームの袖で拭う高校球児。

ラグビー。スクラムやタックルの時に飛び散る汗。

プレーの合間にユニフォームをたくし上げて顔の汗を拭うサッカー選手。

それらを目にしたとき、「ああ、青春だなあ、頑張ってるなあ」と思いはしないだろうか。

もちろん、汗は臭いがつきものだから、きっとクサさは発生している。

でもそれなのに、そういう光景を見たとき、私たちはなぜか「クサさ」よりも「爽やかさ」を感じてしまう。

クサさも何もかもひっくるめて、頑張っている姿勢への爽やかさを感じる。

しかも、汗をいっぱいかいているほうに対してこそ、より強く。

 

 

 

いま、学生時代から何十年か経って、私の足はクサくなくなってしまっている。

何故だろう。

理由をあげるとすれば、「年相応の身体の変化」ということになるだろうか。

そうか、私たちも、もうそろそろ枯れてくる年代なってきたのね、とか思っていた。

 

 

しかしその矢先、遭遇してしまったのだ。夫のマラソン靴からの臭いに。

え?と思った。

なぜなら、マラソン靴以外の普段履きの靴からは、臭いはしていなかったからだ。

思い返してみれば、夫のマラソンに賭ける情熱は半端じゃない。

42.195キロでは物足らなくなり、ウルトラマラソンと言われる100キロレースを選んでは、遠くへと遠征に行く。

普段、法事とか余程のことがない限り休まない会社も、マラソン遠征のときにはしっかり休みを取って走りに出かける。

オリンピックに出れるようなタイムではないし、帰ってきたら足だの腰だのが痛いというけれど、それでもメンテナンスして、次の遠征に繰り出していくのは情熱というほかない。

そんな夫の、マラソン靴からの臭い。

 

 

そっか。

足のクサさというのは、若さに比例しているんだ。

当たり前、と言われるかもしれない。

若ければ汗もたくさんかくだろうし、汗臭くもなるし、足もクサくなるでしょう、と。

でもここでいう「若さ」は年齢のことではない。

打ち込んでいる何かがあるか、チャレンジを続けているか、溢れるパッションがあるか、そういうことだ。

熱い汗はもちろんのこと、冷や汗でさえ、何かに力を傾け邁進していなければ出てくるものではない。

そして、邁進しているときには、自分の体の中から、汗と一緒に何か違うものも染み出しているに違いない。

嬉しかったこと、悔しかったこと、頑張ったこと、執念と言われるものに至るまで、そういった自分のエキスの一部みたいなものが染み出してきて、身に着けているものに蓄積して蓄積して、それが発散したのがクサさなのではないだろうか。

むしろ、そうであって欲しい。

勿論、周りに居る者からすれば、クサくないことに越したことはない。

しかし、なかなか指標が出しにくい「頑張ってる度」「チャレンジ度」をはかる目安のひとつがクサさなのだとしたら、クサいってのも少しならアリかなあ、とか思ったりするのだ。

 

 

 

そういうわけで、今私の一番の関心事は、私の足はクサくなってきているのだろうか、ということだ。

いつ、突発的にクサくなっても大丈夫なように、消臭スプレーを持ち歩いたほうがいいかしら、とか思ったりもする。

なぜなら今の私は、ライティング・ゼミに通いだす前と比べ、明らかにアクティブになっているし打ち込んでもいると自覚しているからだ。

通勤の電車の中でも、町の中を歩いていても、何か面白いことはないかしらと頭の中はいつもスタンバイ状態。

見慣れた周りの風景でさえも、キラキラ輝いて見える。

そして、これを書いている今も、私の身体は熱気がこもってちょっと発熱しているように感じるし、キーボードを打つ手のひらも、熱気のせいで少しばかり湿っている。

こんなときは、きっと足にも熱気があふれ出ているはず。

クサさが「頑張っている」「チャレンジしている」のバロメータなのだとしたら、私の足はきっとクサくなっているに違いない。

いっそのこと、最高にクサくなってくれ! いま私はこんなに打ち込んでいる!

そして、もっともっと汗をかき、文字を書き続けていくのだから。

 

 

 

「おい、このクサイ靴、誰のや?」

今度玄関からこんな声がかかったら、こう答えることにしよう。

「はい! そのクサイ靴、私のです! 若者のようにチャレンジしている、私の靴です!」

と。

 

***

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2017-03-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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