fbpx
メディアグランプリ

正義は人を傷つける


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【4月開講申込みページ/東京・福岡・京都・全国通信】人生を変える!「天狼院ライティング・ゼミ」《日曜コース》〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
【東京・福岡・京都・全国通信対応】《日曜コース》

 

記事:ばんり(ライティング・ゼミ)

 

「まりちゃんの言葉は正義だけど人を傷つける」

授業参観のあった日の夜、母と会話している中で担任の水島先生が言っていた言葉だと聞かされた。当時、小学校5年生だった私は言われた意味がよくわからなかった。

「正しいんならいいんじゃないん? どうして責められるん?」

母に聞いてみたけども曖昧に笑っていただけである。

 

出席番号が一つ前の咲ちゃんとは給食当番がいつも一緒で、すぐに癇癪をおこし泣き出す咲ちゃんに対して、私はいつも注意をしていた。

「咲ちゃんが悪いのになんでいつも泣くん? ちゃんと最後まで片付けよ!」「泣かんでちゃんと言いたいことがあるなら言ってよ」

教室の片隅で泣いている咲ちゃんと泣いてだけの咲ちゃんに納得がいかずきつめの言葉をあびせる私。それを取り囲むようにして何人か立っている女の子たち。

クラスの大半が(またはじまったか)と思っていた光景だろう。それくらいよく咲ちゃんとは言い争いをしていた。しばらく様子を見守った後に水島先生が出てきて「どうしたの?」と優しい笑みを浮かべ話を聞いてくれた。双方の言い分を聞き、泣いてる咲ちゃんを宥めた後、私には「咲ちゃんはこう思ってたみたいよ」と優しく話をしてくれた。

だからこそ私は授業参観後に水島先生が話してた内容に納得がいかず、もやもやとしていた。

 

担任に言われた言葉は長いこと胸のつかえになっていたが、言われた内容を理解できたのはずっと後のことだったと思う。

 

年を取るにつれ、社会に出てからはなおさら、人と争う機会はぐっと減った。

ある程度の本音は我慢し、言いたいことがあっても二重、三重のオブラートに包んで会話をするようになっていたからだ。

また大人になるにつれ生身のコミュニケーションと共にインターネットを通じた会話やコミュニケーションも増えていった。

高校生時代に流行したブログやmixi。大学時代にはtwitterやfacebook、現在ではインスタグラムといった形でさまざまなSNSを使い、学生時代の友達や会社の同僚、果てはお気に入りのアイドルや歌手とまでコミュニケーションを取ることが可能だ。

 

私たちは一人で複数メディアを持ち、いろいろな事を発信できる時代となった。知人とのコミュニケーションをとる人、大好きなアイドルの画像やグッズを載せファン同士で交流を楽しむ人、手作りの料理やお菓子、DIYの家具をUpする人、ざっと見渡しただけでも様々な情報が転がっており、各々考え方があることがわかる。

そういったことが当たり前になった今、私はようやく当時の担任に言われた「正義だけど人を傷つける」といった意味がわかったような気がした。

それは芸能人の熱愛スクープがきっかけだった。いつものようにSNSやニュースのチェックをしていると、私も大好きなパフォーマンスグループのボーカルと抜群のルックスに無邪気な笑顔とため口が印象的な人気なモデルの熱愛報道が出ていた。

私はそのボーカルが一番のお気に入りでもなかったし、あれだけのルックスのまた努力家で知られるモデルとの熱愛なので、「モデルの○○○になら惹かれてもおかしくないし、お似合いだよね。まぁあの子となら仕方ないか」と思ってみていた。しかし世間のファンのリアクションは違っていた。

「裏切られた、ショック」

「ちゃんと説明してください。応援しているファンに失礼です」

「におわせ(※1)ばっかりしないでいい加減認めたらどうですか?」

二人の特にモデルの子のインスタのコメント欄には、そういったコメントが溢れていた。

 

私たちが芸能人のファンになるかはあくまで個人の自由である。

CDを買うのも、グッズを集めるのも、ライブに行くのも自分の意志で決めることだ。

それなのに愛情や人としてというこうあるべき、といった正義をふりかざして、相手のモデルを責めるのはいささか筋違いな気がする。一人一人がメディアを持つことが出来、だれとでも容易にコミュニケーションをとれるようになった今の時代だからこそ自分の正義をふりかざそうとせず、相手の立場で考え人と接する必要があると思う。

 

当時の私に足りなかったのは自分の感情にまかせ、言われたときの気持ちも考えず、表情も見ないままただ正論だけをぶつけていた。

きっと相手の表情を見たり、言われたときの気持ちも考えれば止めることが出来たはずなのに……

ネット社会では人の顔が見えない分余計に言われたときの気持ちを考えて発言する必要があるのではないだろうか?

 

今度もし咲ちゃんに会ったら、「昔はきついことばかり言ってごめんね」と謝りたい。

担任の水島先生に会ったら「ようやく先生に言われた意味がわかったよ」と伝えたい。

 

私は今日も先生の言葉を自分なりに解釈し、それを教訓とし人と接していく。

「正義は持っても人を傷つけちゃいけない。正義は人にふりかざすものではなく自分のポリシーとして持っておくもの」

※1 におわせ 同じ日に同じ場所で撮影した写真をUpしたり、おそろいのアクセサリーを身に着けたりすること
***

この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

【4月開講/東京・福岡・京都・全国通信】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜《初回振替講座有/通信受講有》

天狼院書店「東京天狼院」
〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5

【天狼院書店へのお問い合わせ】

【天狼院公式Facebookページ】
天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。



2017-03-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事