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行き先不明の電車が教えてくれたこと


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記事:和智弘子(ライティング特講)

 

 

ふぁー、疲れたよ……。

ようやく今日一日の仕事が終わって、帰宅できる。

 

私は自宅から職場まで、通勤に1時間半くらい離れた距離に住んでいる。

割と、へんぴなところに住んでいるため、朝の通勤ラッシュ時には座っていけるのだけれど、帰宅の際には結構不便だ。

 

通過する特急や急行を優先されているようで、電車の接続が上手くいかないことが多い。職場の最寄り駅から、かなりの距離を各駅停車に乗って帰ることが多い。

そのため、座って帰れることも多いのだけれど、かなり時間がかかってしまう。職場を18時半に出ても、家に到着するのが20時過ぎになる。

 

毎日長時間、電車に乗っているのだから、その時間を有効利用したいと考え、本を読んだり、スマホで気になる記事を読んだりして過ごしていることが多い。もちろん、座ったとたんに、ウトウト眠ってしまうことも、しょっちゅうだ。

 

その日は、仕事が忙しかったこともあり、疲れてはいるけれど、まだ頭が動いているような状態だったので、本を読んで帰ることにした。

 

車内はそこそこ、混み合っていたけれど、運良く私の前に座っていた人が降りてくれたので早めに座ることができた。

 

「ラッキー!」

そう思って、すとんと座席に座り、本を読み始めた。

本を読んでいると、夢中になってしまって、周りのことが見えなくなってしまうことがある。

その時もそうだった。

グッと集中していたので、周りのざわめきに全く気がついていなかった。

 

 

うん……?

どうしたんだろう……?

 

集中が途切れたときに、ふと周りを見渡すと、あるターミナル駅に停車したきりで、電車が全然動いていなかった。

なにやら、アナウンスもひっきりなしに鳴っていたけれど、音が割れていて、上手く聞き取れない。

 

耳を澄まして聞いてみると、どうやら車両に不具合が起きているため、点検しているらしい。

スマホで時間を見てみると、30分近く動いていないようだった。

 

周りの人達も苛立ち始めていたし、私もさっきまでは気付いてもいなかったのに、動かないと分かった瞬間に「えー、早く帰りたいのに! さっさと動いてよー!」と苛立ち始めてしまった。

それから5分ほど経ってから車内にアナウンスが入った。

「乗車中のお客さまにお知らせいたします。車両の不具合を点検しておりましたが、ドアが突然故障いたしまして、閉まらない車両がございます。申し訳ございませんが、2番線のホームに参ります電車へお乗り換えくださいますよう、お願い申し上げます。繰り返します……」

 

 

えっ?

今まで普通に、なんの問題もなく走っていた電車なのに、突然トラブルって起きるんだ。

しかも、ドアが閉まらないって……。

乗客はみな、苛立ちよりもアナウンスを聞いてポカンとしている人が多かった。口々に「えー、そんなことってある?」とちょっと笑いながら、電車を降りて、2番線のホームに到着した電車に乗り換えていった。

どの車両のドアが壊れているのか、興味本位で見てみたくて、乗り換える前にきょろきょろ見渡してみたけれど、私が乗っていた車両からは全く確認できなかった。駅員さん達が大慌てで走り回っていたので、ドアが壊れたことには間違いないのだろう。

 

新しく乗った電車内では、またアナウンスが行われていて「大変ご迷惑をおかけしております。また、この電車は行き先、待ち合わせ等が変更になる場合がございますので、あらかじめ、ご了承くださいますようお願い申し上げます」と切実に伝えていた。

 

どの電車も、「特急:どこどこ行き」などと表示しているから皆安心して乗ることができるのだと思う。けれど、電車自体の故障や思わぬ事故などで、電車の行き先は変更したり、運休してしまうことは、良くあることだろう。

 

私は、この突然ドアが故障したときの電車に乗り合わせて、ふと気がついたことがある。

 

これって、生きていくことも、同じなのだということに。

敷かれたレールの上を走るのは嫌だ、という言葉を聞いたこともある。けれど、走るための電車そのものが、突然止まってしまった場合には、いくらレールがきちんと整備された状態で敷かれていたとしても、走り続けることはできなくなってしまう。

 

電車自体が走れることが、一番大切だ。

電車をコントロールするのは、他でもない自分自身なのだ。

動くだろうと、無理矢理走らせてしまって、思っても見ない場所で止まってしまうこともある。敷かれたレールの上を走っていたつもりでも、いつの間にか分岐があって、別の線を走ってしまうこともあるに違いない。他の電車が故障してしまって、思いも寄らない同乗者がやってくることも、ときにはあるかもしれない。自分が思い描いていた時刻通りに到着しなくて、イライラすることも、もちろんあるだろう。

 

けれど、それは受け入れればいいのだ。

どこか、目的地がきちんとあって、思い通りに到着できなかったとしても、目的地を目指すことができているのなら、何も問題ないのだ。

 

分岐で間違ってしまっても、途中でドアが壊れてしまっても。

その過程を乗り越えて目的地に到着できたなら、電車の役割は果たされているのだから。

 

 

  ***

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2017-03-28 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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