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借りてきたネコに真の友はできない


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記事:塩 こーじ(ライティング・ゼミ)

 

日本での試合は全戦全勝だったWBCの侍ジャパン。しかしアメリカに場所を移して最初の準決勝戦で敗退となってしまった。

 

はたしてチームの実力が原因だったのか、相手が強すぎたのか。

 

それともアメリカと日本という環境のちがいが大きな理由だったのだろうか。

 

野球もサッカーも、「見るスポーツ」にはほとんど関心がない僕だが、面白いなーと感じるのは、選手たちがホームグランドでは素晴らしい力を発揮できるのに、相手側のホーム、つまり敵地では苦戦を強いられることだ。

 

スタジアムを埋めつくした観衆のほとんどが相手チームのファンで、ヤジやブーイングに集中力を乱されるからだろうか。

 

ホームとアウェイの差。いったいこれはどこからくるものだろう。

 

 

スポーツ選手ばかりではなく、どんな人でもホームとアウェイはあるにちがいない。

 

自分の家や地元の通いなれた店。リラックスして「素」の自分が出せる場所はもちろんホームと呼べるはずだ。

 

『家、ついてっていいですか』というテレビ東京の番組がある。

 

スタッフが町で通りがかりの人に声をかけて、その人の家までついっていってしまうという内容だ。

 

生活感あふれる室内をカメラで隅々まで写し、その人のユニークなライフスタイルを披露する。一見平凡に見える人たちの、はた目では分からない別の顔が見えてくる。

 

はじめは明るいノリでインタビューを受けている人たちが、話を続けるうちに思いもよらぬ過去や壮絶な体験談を語り始めることがある。

 

会ったばかりのテレビ局のスタッフに、話の流れとはいえ、よくそんな深い事情を語ってしまうなーと見ていて不思議に思うが、これはきっと、取材を受けている場所が住み慣れた自分の家だからではないだろうか。

ついついリラックスして、ふだんは見せることのない素顔をのぞかせてしまう人たち。それが番組の高視聴率につながっているのかもしれない。

 

 

自分の家でリラックスできるのは当然として、では「職場」はどうか。

 

仕事となれば厳しいことも多く、人間関係や出世競争に神経をすり減らす。たとえ何年も勤務して仕事にすっかり慣れていても、やはりアウェイ感は抜けないにちがいない。

 

多くの人は、仕事場では与えられた役割をこなすだけで、「素」の自分は隠している。

 

なかには「職場の仲間にも恵まれ、アットホームな雰囲気です」という人もいるだろう。仕事のあと、同僚と飲みに行くのが楽しみだとか、そういう人にとっては仕事場もホームといえるのかもしれない。

 

自由業や、クリエイターといった人々も仕事で自分自身を発揮できるのかもしれない。というか自分の内面がどれだけ表現できるかが決め手になる職業だ。

 

 

NHK・Eテレの『達人達』というトーク番組を最近よく見ている。

 

この番組で対談しあうのは、それぞれジャンルのちがう場所で活躍するクリエイターや表現者、そして専門的な職業についている人々。

 

番組は前半と後半に分かれている。前半は一方の人がもう一方の仕事場を訪ねてトークし、後半はその逆、というように、たがいに相手の仕事場を訪ねてトークする形式だ。

 

トーク番組はいくつもあるけれど、この『達人達』が他にくらべ、より深く突っ込んだ話が聞けるように思うのは、対談の場所にそれぞれの仕事場が選ばれているからではないだろうか。

 

クリエイターにとって自分の仕事場はまさにホームと同じ。スタジオなどに出向いていくのではなく自分のホームにいるからこそ、より本音に近い発言が出てくるのだろう。

 

 

アウェイではホームにいるときのようにリラックスして本当の自分を出せず、実力も発揮できない。スポーツ選手もいつものように活躍できないし、クリエイターも自分の仕事の深さを語れない。

 

僕たちだって同じではないだろうか。

 

なじみの薄い場所では、いつもより緊張してしまったり委縮してしまう。けしてそこを「敵地」と考えているわけではないけれど。

 

たとえば地元から都内まで、電車に1時間以上も乗ると、その間だれともほとんど話すことはない。すると目的地に着いた時は明らかに「声の出」が悪くなっている。喉がかすれてうまく言葉が出ない。これではコミュニケーションにも差し支えてしまう。

 

単なる移動の疲れだけではない。精神的な理由も大きい。自分の地元とそうでない場所とでは、仕事にしても遊ぶにしても気分的に全然ちがう。

 

以前、ある勉強会に参加していて、いつもは直接対面してやっているのだが、1回だけスカイプを使って離れた場所にいるメンバー間でやりとりを行なったことがあった。

 

自分の部屋だと周囲にも気を使わずに落ち着いて話せ、いつもの勉強会のときより発言等も積極的にできた。この差は大きいなと感じた。
住んでいる地元と勤務地、学校などが離れている方は、もしかしたら自分の実力を100パーセント出しきれていない可能性がある。ちょっともったいない。
 

地元以外の場所では素の自分が出せず、地元にいるときほどのびのびと振る舞えない。まるで借りてきたネコ状態だ。

 

そういう場では、誰かと話しても本当の自分を出しきれない。実際に思っていることや感じていることをうまく表現できず「ほんとはちょっと違うんだけどなあ」と思いつつ、話していたりする。

 

そんな状態では出会った人たちと、本当に親しくなれることはまず、ない。自分の本心が伝えられないのだから当たり前だ。

 

借りてきたネコのままでいては真の友人ができることはない。自分の殻をこわして、ほんとうの自分を出すことが必要だ。

 

アウェイにいても縮こまったりしない、強い自分になりたい。敵地でも実力を発揮するスポーツ選手たちのように。

 

はじめはアウェイ同然だった場所を、自分のいるべき場所にしていきたい。
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2017-03-31 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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