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パクチーのおいしさを知ることができたなら


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記事:森山 寛昭(ライティングゼミ日曜コース)

 
 
わたしはパクチーが大嫌いだ。
見た目は鮮やかな緑色で、一見おいしそうである。パセリに似た香草の一種で、タイ料理には欠かせない薬味でもある。
だが、だまされてはいけない。
 
職場が入っているマンションの向かいにあるタイ料理屋に、私は週一ペースで昼食をテイクアウトするのだが、必ずこれでもか、というぐらいパクチーが添えられている。
グリーンカレー、ガパオライス、鶏肉とカシューナッツの炒め……あのねガンさん(店主)、私言いませんでしたっけ? パクチー嫌いだから抜いてって!
何が嫌いかって、とにかくにおいがアウトである。誰が何と言おうとカメムシのにおいがする。
間違って食べようものなら、料理の後味がカメムシをかみつぶしたようになってしまい、午後からの仕事をイライラしながらやらねばならない。
そんなわけで私は、タイ料理をいただくときには必ずおかずをほじくり返して、きちんとパクチーを取り除いてから口に運ぶようにしている。
 
だがこのパクチー、なぜだか女性を中心に数年前から大人気である。
職場の先輩のお姉さんも、私の健康を診てくれるアロマテラピーの先生も、口をそろえて
「ええ? おいしいじゃないですかあ」
とのたまう。
どこがどうおいしいのか理由を聞くのだが、ふたりとも明確に答えられない。
「だってカメムシのにおいするでしょ?」
とたたみかけると、ふたりともその意見には同意する。
にもかかわらず、おいしいと言って譲らない。
 
理由もないのに、なぜこんなに女性を中心に人気があるのか不思議に感じた私は、ネットを駆使してその秘密を探ろうとした。
まとめサイトによると
「パクチー:別名カメムシソウ。中国では香菜(シャンツァイ)、英語ではコリアンダー」
ほらやっぱり、カメムシじゃないか。
あの嫌なにおいは、ノネナールという加齢臭の成分が入っているのが一因のようだ。くさいわけである。
香菜とパクチーは同じなのも判明した。香菜も嫌いな理由がわかった。
にしてもコリアンダーまで同じとは。大好きなカレーにはこれが入っている。だんだん嫌いになってきた。
このまとめサイトによると、人気になった理由はおそらく、
「体にいいから」
栄養価が高く、デトックス効果、抗酸化作用もある。
つまり、女性を中心に人気の理由は「美肌やアンチエイジングに効果があるから」らしいのだが、残念なことに「おいしい」という理由は、どんなに検索をかけても出てこなかった。
たしかに彼女らは言わなかったか?
「おいしいから」
と。
どうやら彼女らの主張を理解するには、無理にでも私がパクチーを口に入れて味わうしか方法はなさそうである。
 
私にとって嫌いな人間を知るという行為は、パクチーのおいしさを知ることとよく似ている。共通項は、苦痛の先にある意外な効能や利点。
 
社会人になるといろんなビジネスシーンでいろんな人と出会わねばならない。
そんなとき嫌いな相手だからといって、選り好みしているとどうなるだろうか。お客様になりうる相手を排除するのだから、ビジネス自体がそこに成立しない。
社会人になりたての頃は、パクチーを別皿によけるように、嫌いな相手を排除してきたために仕事はできなかった。
望んだ部署じゃないというやる気のなさも手伝って、営業職で外回りを命じられたときは、訪問先の相手に、
「あ、こいつ無理」
と悪印象を抱いてしまったとたん、2度と顔を出さなかった。
営業成績が悪いのは当然だ。そんなことを繰り返してお客様をみずから排除し、商圏をせばめていたのだから。
これはビジネスに限った話ではない。交友関係全般にあてはまる。
 
嫌いな相手だからと選り好みをするのは楽だ。だが、損だ。
真向から嫌な人間を拒否してしまうと、その知恵や知識に触れることは一切なくなる。そうなれば、本来そこで得られたはずの自分の糧になるような知恵や知識すらモノにできなくなる。自分の視野が広がらないのだ。
嫌いな相手だろうと理解しなければ。苦痛だが、なにか得られると期待したい。
 
数度の転職を繰り返し、40を過ぎてようやくそのことに気づいた私は、嫌いな相手に対して持っているイメージを一切無視して接するように心がけるようにした。
こうすると、他人への妙な先入観を排除した分、純粋に相手に対する興味がわく。興味が湧かないまでも、自分が損をしないために相手を理解しようとする義務感が芽生える。
すると、嫌いな相手の知恵や知識が、悩みの解決策になることがある。
さらに、共通の趣味嗜好を共有するきっかけになって面白かったりもする。意外な相手の一面を知るきっかけになって、親友になることもある。
 
だが、どれだけ努力してもやっぱり嫌いなやつは、いる。人間だもの。
別に嫌いな相手を好きになる必要はなくて、とりあえず頑張って理解しようと努力したのだから、良しとしている。
要は、その行為が自分をどれだけ大きくできたかが重要だから。
 
ただ、もしかしたら、私がパクチーをむしゃむしゃ食べられるようになったなら、私の周りには嫌いな人間がいなくなるのかもしれない。
なんだか神様みたいで気持ち悪い。
 
 
 
***

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2017-05-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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