メディアグランプリ

アホウドリのような私がライティング講座をはじめてしまった


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:斉藤チオリ(ライティング・ゼミ平日コース)

 
 
真夏の太陽が照りつけるスキー場。少しきつい斜面の上で、私はサークルの仲間たちと座って順番を待っていた。次々に飛んでいく仲間の姿を眺めながら、隣にいた仲間の一人が私に向かって言った。
「オマエってアホウドリみたいだよね」
 
大学に入ってハンググライダーのサークルに入った私は、ライセンスを取るための講習に参加していた。
ハンググライダーはライセンスを取得して初めて自分一人で飛ぶことができる。東京近郊の大学生たちの多くは一年生の夏休みを利用してここのスクールに通う。広々とした緑のスキー場を、多くの学生が草まみれになって飛んだり走ったり転んだりする。このような日々を1週間ほど過ごし、資金が尽きると東京に戻ってアルバイト。そしてまた山に戻るというサイクルを何度か繰り返し、夏休みが終わるまでにはなんとか合格する。そうして晴れて先輩たちと山から飛べるようになる。
 
アホウドリ。
その言葉に「えっ」てなった。まずはあまりいい気がしない。
詳しくは知らないが、「アホウ」が「阿呆」から来ていることは知っていた。
私が「どういうことー」とプリプリしながら聞くと、隣の彼がまあまあ、という感じで答える。
「アホウドリってすごい飛ぶのが上手なんだよ。でもね、着地がものすごく下手なの。岩にぶつかったりして」「でも飛ぶのは上手なんだよ、あははは」
それを周りで聞いていた仲間たちは、上手いこと言うねえ、みたいな事を言いながらゲラゲラしていた。
「くそー」と思ったけど、まあ飛ぶことは上手いと言っているし、アホと言われたわけでもない。そして確かにな、とすごく納得した。
 
飛ぶことに関する要素は3つ。離陸、滑空、着陸だが、私はその滑空部分が上手だった。これは私の中でわずかに自慢できるポイント。飛んでみて自分でもびっくりした。
左右に体重移動することで左右へ旋回、前後に移動することでスピードを調整するが、風は常に同じ方向や強さで吹いてはいないため、まっすぐ飛ぶだけでも微妙な調整が必要になる。その調整が遅れると機体が大きく傾いてしまい、修正するのに大きな力が必要になるし、傾いている時に突風が吹くとひっくり返るリスクが上がる。よって傾きが小さい時点で感じ、すぐに調整するのが良い飛び方で、上手な人は常に地面と平行にスーッと飛んでいく。
 
講習を受ける学生たちは、左右10メートル以上、重さ30キロもあるグライダーの扱いに最初はとても手こずる。少し慣れてきても飛行中に大きく傾いて斜面に激突したり、あらぬ方向へ飛んで行って茂みに落ちてしまう人もいる。私はそのどちらも一度もなかったし、大抵スーっと飛べていた。
 
なのに。
着陸が絶望的に下手だった。高度を落として体が地面に近づいたら、すっとグライダーを真上に持ち上げバンザイのような姿勢で自分の足で地面に立つ。こうして着陸するのだが、私はこのバンザイができずにズズズーっと胴体着陸することが多かった。かろうじて足がついた時でも、トトトトっと数歩よろめいて、結局転んでばかりいた。
試験直前までちゃんと着地できることが殆どなく、試験ではヨレヨレの着地を根性で堪え、辛うじてクリアした。
 
あれからもう20年近く経ち、アホウドリな過去はすっかり忘れていた。
部屋の片付けを始めるまでは。
 
2ヶ月前に10年ほど勤めた会社を辞めた。職場の中では荷物が多い方ではなかったが、会社で使っていた私物をいざ家に持ち帰ってみたらダンボール2箱ほどの荷物になっていた。しばらくの間は見て見ぬ振りをしたが、この狭い部屋にこの荷物ギチギチ状態は厳しい。いよいよ耐えられなくなり、重い腰を上げた。しかしすぐに問題が発覚する。収納するスペースがない。先に断捨離だ。また気が重くなった。でも仕方ない。やる。
 
普段あまり出し入れしない棚からものを取り出す。
彫刻セットと掘りかけの何か。編み物用の毛糸と編みかけの何か。染物をやろうと思って買って手付かずの染料。いろんな本や教材もある。そういえば3ヶ月で必ず話せるようになると言う英会話も行ったな。未だ話せないけど。
裁縫関係は何かに使おうと思ってついつい布などのストックが増えてしまう。古いジーパンやTシャツがこんもりしている。最近DIYにもはまってしまい、工具が増えた。ペンキと板などは結構スペースをとっている。アクセサリー作りも……など、キリがないほど出てきて、これら片付けにくいものを前にし、途方にくれる。
 
中途半端に終わったもの、まだ手をつけていなくてそのうちやるぞ的なものの多さに愕然とする。好奇心は旺盛だがものすごく飽き性な私は、すぐに色々な趣味ごと、勉強に手をだしては途中でグダグダになる。その証拠がこれなのだ。すると「アホウドリ」という言葉が頭の古い部分から蘇ってきた。やっぱり着地が下手なのだ!
なのに私は今、またもや気軽にライティング講座に行き始めてしまった。本は読むことは読むけど本好きと言えるほど読まないし、これが書きたいという明確なものがある訳ではない。言葉の表現がもっと上手になればいいな、という軽い気持ち。ただ、説明会、第1講を受けてみて、「書くのがもっと上手になったらいいな」どころのものじゃないかも、と感じた。もしかしたらこれまでとは違う着地ができるのでは?と、ひっそりと盛り上がっている。
 
 
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2017-06-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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