メディアグランプリ

自転車狂に教わる文章の書き方


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:ほう(ライティング・ゼミ/平日コース)

 
 
国道43号線のカーブを曲がり切った先には、上り坂しか見えなかった。
「今からこれをひたすら上るのか!」
予想はしていたことだけれど、いざ目の前にして、私はたじろいだ。
 
それは9月に入ったばかりの暑い日。
自分のロードバイクでのサイクリングデビュー日だった。
大阪市内を出発して30km強先の箕面まで行き、3キロの上り坂の先にある勝尾寺に行って、戻ってくるコースだ。
全長約65km。
サイクリングコースとしては初心者向けらしいけど、この上り坂を見る限り、とてもそんな風には思えない。
 
そもそもロードバイクを買ったきっかけは、3年前に友人6人で出かけた、しまなみ海道のサイクリングだった。
広島県尾道市~愛媛県今治市を結ぶ、7つの島を結ぶ橋から成る人気のコースだ。
レンタサイクルで、初めての長距離走行はとてもしんどかったけれど、風を切って走る爽快感が忘れられなかった。
しばらく悩んだあげく、自分のが欲しくなって購入したのだ。
 
買ったものの、その後仕事が数カ月単位で忙しくなり、放置状態だったが、ようやくまともに走れる機会が来た。
ちょうどその頃、自転車好きの人と友達になった。
この友人、趣味レベルの自転車好きではなかった。
 
聞けば神奈川相模原市出身の彼は、自宅から70Km離れた箱根まで自転車で行き、山頂まで2往復し、また自宅まで自転車で戻ったというのだ。
日帰りで。
 
聞いたときは、自分の耳を疑った。
箱根って、あの箱根駅伝の箱根よね?
お正月のテレビ中継で、山の神が住むとか言われている。
画面越しに見てもものすごいあの傾斜を自転車で上る?
……正気の沙汰とは思えなかった。
間違いない、この人自転車狂だ!
心の中で、私は彼を勝手に自転車師匠にさせてもらった。
 
そんな師匠に連れられてやってきたのが、このデビュー戦だ。
山のふもとにたどり着いた時点で、既に脚は疲労感でいっぱいだった。
でもここまで来たんだから、上るしかない!
息をひとつ大きく吐いた後、グッとペダルを踏み込んで、上り坂に挑んだ。
 
途端に、ペダルが信じられない程重くなる。
ひとこぎするのに、脚に大きな負担がかかった。
重たい!!!!
早くも心が折れそうになった。
 
と、横の師匠からアドバイスがとんでくる。
「もっとギア軽くして! 重いままじゃすぐバテる!」
 
「どういうこと? 上り坂になったらしんどいから、普通走りはゆっくりになるものじゃないの?」
 
「ゆっくりになる、つまり回転数を下げるんじゃないの。回すペースは同じままで、一番軽いギアにするの。で、心拍数を一定に保つ」
つまり上り坂は、重たいペダルのままでゆっくりフラフラこぐのではなく、軽くて負担の少ないギアでクルクルまわすのが正解だという。
そうすることで、足への疲労度が少なくなるし、息もむやみに上がらないらしい。
サイクリングのコツは、いかにペダルの回転数を一定に保つか、 というのだ。
 
とりあえず早くも息が上がっている私は、急いでギアを軽くした。
進みはゆっくりになったけれど、その分1こぎは楽になる。
なるほど、そういうことか。
 
とはいうものの、その日の気温は既に30度を超えていた。
9月に入ったのに、太陽もじりじりと後頭部を焼いてくる。
ヘルメットから首筋に向かって、汗がしたたり落ちた。
 
上り坂は一向に終わらない。
曲がりくねった道が続く。
カーブの先に、下り坂が待っているかもしれない!という期待する。
でも、視界が開けたその先の更に続く上りに、心が折れそうになった。
 
ぜぇぜぇという、自分の息遣いが耳に直に届いてくる。
口を開きっぱなしなので、口の中が乾く。
 
しんどい。
疲れた。
もう止めたい。
足ついちゃったら楽だろうな。
 
フラフラの頭だったけれど、急に涼しい風を感じた。
今度こそ坂を上りきって、下り坂の先に、ゴールの勝尾寺が見えたのだ。
後は、流れに従って、一気に下りるだけでよかった。
 
風を切りながら、ふと、何かこれって人生みたいだな、と思った。
上り坂になったら、無理せず歩みを遅くして、耐えて耐えて踏み込み続ける。
遅くてもいいけど、歩みを止めてはいけないのだ。
 
そして、ライティング・ゼミに通い始めてから思うこと。
文章を書くことも、サイクリングに似ているかもしれない。
 
上り坂も下り坂もある。
掲載された記事を見ていると、あまりのレベルの高さに恐れを抱く。
こんな上手な文章、自分にはとても書けそうにない。
 
でも自分のペースでもいいから、ペダルを回し続けること、進み続けることをやめないことが、大事なのだ。
そうすればいつか、自分でも思いもよらなかった坂道を上れているかもしれない。
書き続けることで、予想しなかった人生の新たなステージまで、自分自身を連れて行ってくれるかもしれない。
 
私はもっと遠くまで行けると信じて、改めて書くことに向き合ってみようと思う。
 
止まるな、進め。
迷うな、書け。
 
息を切らして振り返ってみれば、そこには爽快な眺めが広がっているはずだ。
 
 
***

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2017-06-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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