メディアグランプリ

世の不細工な同志たちへ


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記事:田中ちぐさ(ライティング・ゼミ平日コース)

 
 
「今回の世界大会も美人アスリートが大活躍ですね!」
こんな言葉を聞くたび、私は心の中で「ちっ!」と舌打ちする。
なぜかって、答えは簡単だ。
私は不細工だから。すなわち、嫉妬をしているからだ。
 
私はかねがね、美人もしくはイケメンは得だなあと思っている。
なぜなら、彼らは世間のいろんなシーンで丁寧な扱いを受けているように見えてしまうからだ。
いや、見えてしまうだけではない。
私自身、スターバックスでイケメンバリスタさんからラテを手渡されたら、満面の笑みになって、
「ありがとう」とかを一回余計に言ってしまうタイプである。
明らかに、見栄えのいい人たちは何かと得なのだ。
 
「あなたは不細工なんだから、気立てくらいは良くないと」
「あなたは不細工なんだから、お勉強くらいは良くできないと」
小さいころから、そういう風に言われて大きくなった。
不細工の場合は、ほかの何かに秀でないとダメなんだな。頑張らなきゃいけない。子供心にそう思った。
もちろん、美人アスリートが頑張っていないと思っているわけではない。
アスリートと呼ばれる人たちが、人並みならぬ努力と苦労をしてそこまで上り詰めていることは、重々わかっている。
でも、頑張って実績を残しているうえに美人だなんて、不細工は頑張っても追いつけないじゃないか!
そう思ってしまうのだ。
 
ある日。
テレビのチャンネルを変えていたら、国会中継をしていた。
暇をもてあましていた私は、なんだか難しい答弁をしているなあ、とか、この人寝てるじゃん! とか、突っ込みながらぼんやりと見始めた。
バラエティのように笑いがあるわけではない。
答弁の内容に共感しているわけでもない。
納得できないぞ! と拳を振り上げているわけでもない。
どちらかというと、お昼寝のBGMにちょうどいいような感じだ。
しかし、気が付くといつの間にか、私は食い入るようにして画面に映る議員たちを見つめていた。
そして思ったのだ。
この人たちはどちらかというと、見栄えが良いほうではない、と。
 
真偽のほどは確かではないが、
「見栄えが良かったり背が高かったりする人のほうが良くモテる。だから、そうではない人はモテるために勉強を頑張る人が多い」
という話を聞いたことがある。
テレビの中の議員たちは、そんなに背が高い風には見えず、見栄えも良いとは思えなかった。
そういう場合は何かに秀でなければならない。だから秀でることとして選んだのが議員になることだったんだろうなあ、と想像した。
議員になるためにはきっと相当な努力もしたんだろう。我慢することもあっただろう。
まあ、誰かの地盤を引き継いだ人もいるかもしれないが、そうであっても努力は不可欠だ。
思っているよりも苦労人かもしれないなあ、大変だったろうに。
当人からすれば「いらぬお世話」であるようなことまで頭の中で空想し、並んで座る議員たちを順番に、それこそ上から下まで舐めるように観察した。
 
その時、ある女性議員が質問をするために立ち上がった。
質問席に向かう彼女を、私はすかさず観察する。正直なところ、美人ではない。
やっぱり、美人じゃないから目指したのかなあ。
相変わらずの下世話な考えが頭をよぎった。
そして、女性議員が口を開いた瞬間、私は目を疑った。
相手を見据えるような視線、顔の角度、口角の上がり具合、立ち方。
人が変わったかと思うほどに、形相が変わった。
口調は鋭く、威圧感も備えたその姿は、私の周りの空気さえも一瞬で変えてしまったように思えた。
さっきまで「美人じゃないなあ」などと思っていた女性議員は、その場にふさわしい風貌の女性となって鋭い質問を浴びせかけていた。
 
あっ……、と思った。
風貌というのは、一つの道具に過ぎないんじゃないか。
美人やイケメンとかいうのは、一つの武器ではあるかもしれないが、単なる道具。
そこで卑屈になったり、嫉妬する必要はないのではないだろうか。
真剣勝負の場、美人アスリートだと、対する競技相手が油断してくれる、かもしれない。
スターバックスだと、イケメンバリスタのほうが女性客が増える、かもしれない。
眼光が鋭いほうが、政治家として信頼を得る、かもしれない。
風貌というのはただのアクセサリであって、それは所詮かざりもの。
きっとそんな程度の話なのだ。
そして、不細工な私は、プラスになるようなアクセサリを持っていない。
それは同時に、「美人なのにね」「イケメンなのにね」というような、何かが足りないからとがっかりされるシチュエーションには、遭遇しないということを意味する。
風貌で期待されない。
がっかりもされない。
それは、素のままで活躍できる舞台が、無限にあるということなのだ。
 
世の不細工な同志よ。
美人を見てため息をつき、嫉妬することはやめよう。
見栄えと成し遂げたこととの大きなギャップで、世の中を「あっ!」と驚かせようではないか。
「あの人、やるなあ。いい味出してるよね」と、言われるように。
美人よりも、不細工のほうが味が出やすいんだよ、と心の中で自分を鼓舞させながら。
 
 
***

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2017-06-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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