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メディアグランプリ

左利きはマイノリティ。でも、コンプレックスではなくなった。


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記事:ほそきはら あきとし(ライティング・ゼミ 日曜コース)

 
 
左利きは世間に虐げられている。そして孤独だ。
起きた瞬間から、寝るまでのあいだ、右利きの世界に無理してでも順応させて生きていかなければならない。

想像して欲しい、なぜ、改札を通るとき、ウォシュレットを使うとき、そして、駐車料金を払うときまで、仮面ライダーへ変身するように、腕をクロスしなければならないのか。
右に作るなら、左につけてくれたっていいじゃないかと毎日のように思う。

なぜゴルフ場で向かいあわせに気まずく練習しなければならないのだ。
仕方がないから、右利き用で人一倍練習した。それでも力が入らないから、人よりぎこちないスイングになっているように思う。全く上達しない、なんてことだ。

そして、なぜ、隣通しで肘をぶつけ合いながら食事しなければならないのだろうか。
グループで食事する時は左端の席を選ぶことにしているが、着席するとどうなるか。
そう、オーダーを取る掛になってしまう。飲み会の席であれば、帰る頃にはそのお店の飲み物を丸暗記できてしまうのではないかと思うほどに。

なんてことだ。
これまで生きてきた中で、左利きで良かったと思う瞬間は、吹奏楽部で「ホルン」という楽器を担当したときだけだ。でも、地味な楽器だからトランペットに比べてモテやしない。
あとは、「左利きですか? カッコいいですねぇ」なんて言われても、全く嬉しくない。
まるで「左利き? 変わってる人ですねぇ」と言われているように感じてしまう。

「これも個性だから、好きなように育てばいい」
子供だった頃は、なんて理解のある親だとおもっていた。
しかし、どうだ。大人になったら困ることばかりではないか。

どうすればいいというのだ、親ななぜ私の左利きを矯正してくれなかったんだ。
私は毎日少しずつこの窮屈な世界に困り果てている、もう怒りを通り越して諦めに近い。

あるとき、少しだけ右利きになろうと「字」の練習をした。
「あ」という字をいくら書いても「ぬ」にしか見えない。
「ろ」という字をいくらかいても「え」と区別がつかないじゃないか!
しかし、一番のダメージはそんなことではない。
右手での「字」の練習をしだしてから数分で手首をひねってペンをもてなくなってしまった。もうショックでしかない。

どうすればいいというのか、もう私には右利きに矯正するという選択肢は残されていないのか、歯列矯正だって完了するのに5年掛かった。今から始めたら寿命まで掛かるんじゃないかと思えてしまう。

あるとき、飲み会の席で左利きの愚痴をいったところ、左利きのメリットについて話す座談会になった。そのとき、上司にこう言ってもらったことがある。

君は、空間認識能力が高い、瞬間的に物事を理解して表現する事に長けている。そして、マルチタスクで処理する能力があり、物事は必ずやり遂げる。これは左利きによくある特徴だ。球技の選手には左利きが比較的多い。手先も器用な人が多いのだろう。
そして、これからはダイバーシティの時代になる。
元々は性別も人種も越えて、年齢や性格、価値観の多様性を広く受け入れて活用し、
生産性を高めようとするが、左利きだって重要な要素だと。

それを聞いて、初めて左利きであることに負い目を感じることがなくなった。
マイノリティであることはコンプレックスではない、「他にない能力を持っている」として誇るべきだということだろう。

右利きの世界で過ごすから、左利きは肩身が狭いというのは、
例えば、明日からアメリカ駐在になったときに、現地の言葉や習慣、運転に戸惑うことと
似ているのかも知れない。そう考えれば、至極当たり前のことだった。

でも、そこにある本質は、多様性だ。
アメリカという国だって、サラダボウルのように様々な人種が交わり、それぞれの文化が混じり合って同化し、ひとつの独特な共通文化を形成することで、大きな発展を遂げてきた。

そして、デジタル機器が発達し、左利きで不便だったことは、実はそのほとんどを解消できる技術が確立しつつある。そして、すべてがシームレスで繋がり合う時代だ。
違う価値観を「異物」として捉えるのではなくて、「個性」として許容性をもって受け入れる段階に来たのかも知れない。

ということで、やっぱり親に感謝しなければならないのだろう。
人と違う個性を育ててくれたのだから。

 
 
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2017-06-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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