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メディアグランプリ

文章力とは自分と向き合う力のことかもしれない


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:大北 舞(ライティング・ゼミ)

今夜もコーヒーと音楽をお供にキーボードを叩く。

20時前、やりかけの仕事をいくつも残して帰宅した。こういう時に限って、帰る直前に話しかけられたりするから、たまったもんじゃない。課題の提出期限が4時間後に迫っているのだ。書かなければ……

わたしは子どもの頃から文章を書くときに緊張する癖があった。小学校の作文の時間、先生が原稿用紙を配り始めると、胸が締め付けられるような気分だった。
「1人3枚ずつ取って後ろに回してね」
400字詰め原稿が3枚。1200マスが埋められる時を今か今かと待っているように感じた。
「それじゃあ、始めてください」
嫌いだったプールの時間に自分の番が来て、笛が吹かれるのと同じ緊張感を味わう。

「こんなにたくさん書けるはずない……」
わたしは途方に暮れる。しかし、時間は待ってくれない。周りの友達はみんな、なんということはないという顔をして書いているような気がした。それでもわたしは毎回なんとか作文を書きあげた。時間内に書けず、宿題になったこともあったけれど。書けるはずがないと不安になって、やっと書き終えてホッとして、そんなことを小学生の間、何度も繰り返した。

あの時から10年以上が経つ。わたしは大人になって作文を書く必要がなくなった。それなのにどうしたことか、みずから「ライティング・ゼミ」に申し込んで、また苦しんでいる。この前の講義なんて悪夢だった。ワークショップで急に課題が出て、あのいやな緊張感をまた味わう羽目になった。結局わたしは完成させることができず、他の人の発表を静かに聞いた。

スタッフの川代さんの発表を聞いていて、ふと頭に浮かんだことがある。

以前から川代さんの文章は読んでいて、いつも上手だなと思っていた。なにげない内容なのに、心のひだのようなものが普通の人より多いのだろうか、思いや考えが生き生きと、そして立体的に描かれている。共感できたり、笑えたり、考えさせられたり。そんな川代さんが羨ましかった。

どうしてそんな文章が書けるのだろう。おそらくわたしは無意識にこのことを何度も考えてきたのだと思う。発表をぼんやりと聞いていて、ふと出てきた一つの答えは、川代さんは自分に向き合う力が高いのだということだった。

自分に向き合う力――そんなの能力じゃないと言う人もいるかもしれない。でも、自分の本音に向き合うのって結構しんどいことだと思う。時に予想もしない言葉が飛び出してくるからだ。自分は思うほどいい人じゃないことに気づかされたり、現状維持の方が楽なのに変わりたいと願っている気持ちに気づいたり。そして、一度知ってしまったからには、後戻りできない時もある。

日常生活では自分と向き合わなくても意外と平気で生きていける。ご飯を食べて、会話をして、仕事して、自分には何の問題もないというふりをして生活することもできる。会社に勤めていたら、むしろ本音なんていちいち考えない方が物事は進みそうだとさえ思う。だからこそ、自主的に原稿用紙やパソコンに向かう時間は貴重だ。なぜなら、子どもではないから誰に強制されるわけでもないし、時間を取ってまで嘘を書く理由がないからだ。そうなると必然的に、書くことは自分に向き合うことに近づいてくる。

わたしは今でも文章を書こうとすると緊張する。もっと正直に言うならば、書くことが恐い。だから、コーヒーと音楽はそのストレスを緩和するために用意せずにはいられないし、書く前にメールのチェックでもしておこうかと思ったりもする。そして、せっかく書き始めたのに、ある感情に留まって言葉にしていく段階でそわそわしてしまって、次の段落に早く進みたいと思い、何かから逃げるように書くこともある。自分でも何をしているのだろうと思う。

それでも結局わたしは文章を書くことが好きなのだ。サラッと文章が書けて、それを読んだ人が勇気づけられる、そんな才能があったらいいのに。そうなる日が来るかもしれないし、来ないかもしれない。けれど、たぶんわたしは書くことをやめられない。緊張しながら、自分と向き合いながら、共感して何かを感じてくれる人がいることを信じて、懲りずにまた書くのだと思う。

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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2017-07-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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