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私が365日「尾行」される理由


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記事:ちくわ(ライティング・ゼミ 日曜コース)

 
 
「はぁ……」
何度目のため息だろう。
まただ。また、私についてきた。
どうして、こんなに「ヤツら」はしつこいのか。本当にもう、いいかげんにしてほしい。

ある芸能人が「実はもう……1年5カ月も尾行され続けているの」と告白した。
大々的なニュースとなったが、実は私も、数年来、尾行され続けている。

数年来と表現したのは、尾行されはじめた時期が、わからないからだ。
いつの間にか、私が気づいたときには、既に後をつけられていた。

予め断っておくと、私の外見は全くもって関係ない。
顔面は田舎くさく、一目惚れされるタイプではないし、スタイルも普通。胸の大きさも人並み。30歳はとうの昔に過ぎており、ピチピチ感は皆無。かといって、大人の色気も、今のところ出てくる気配がない。

また私は、一般的なサラリーマン家庭に育った。決して資産家ではない。
しかし、どうやら「ヤツら」の尾行目的は、私の個人資産らしい。

中小企業に勤め、貯金も平均的と思われる私の資産。それすら狙うなんて非常に不気味で恐ろしいが、幸いにして、私の命までは狙っていないようだ。
それに、ケガを負わせるなど、身体的危害を加えることも「ヤツら」の目的ではなさそうなので、特に警察にも相談していない。

個人資産狙いといっても、この尾行は取り締まれない部類で、正直どうしようもない。
納得はできないが、理解している。

「ヤツら」の尾行に気づいたきっかけは、同じ会社の後輩が教えてくれたからだった。
「先輩、あの、しっかり、後つけられてますね」
「えっ、何で? どうしてわかるの?」と私が聞くと、
「ほら、だって……」と後輩は説明してくれた。

一通り説明された後、私は落ち込んだ。
24時間365日、「ヤツら」から見張られている事実に気づいてしまったのだ。
日ごろ、いかに自分が、ぼーっとしていたか。視野の狭さを痛感した。
指摘されるまで、違和感がないといったら嘘になる。
でも、「ヤツら」がいるのは気のせい、たまたま偶然だと、私は思いこんでいた。

「常に尾行されている」
私も分かってしまったら、もう落ち着かない。
疑り深くなって、行動を少し制限した。
後輩にもアドバイスをもらいつつ、「ヤツら」の出方、やり方をみて、尾行されない対策をとるようにした。
一定の成果はあった。だが、ある程度時間がたって、「もう大丈夫かな」と、安心しきってはいけない。こちらが煙に巻いたと思っても、たまに思い出したように、追ってくることもある。抜け道はあるようで、完全にシャットアウトできない。
この時代に生きている以上、もう逃れられない。

なにしろ「ヤツら」は、スピード感が違う。次から次に新しい尾行方法を開発しては、たっぷりとお金をかけ、ひたすら執念深く、私を追ってくる。

そもそも、私は根っからのアナログ人間。高機能のパソコンやスマホを時代や周りに流されて買ってはみるものの、使いこなせていない。紙や手書きにこだわるからこそ、尾行に疎く、ターゲットになりやすかったのではと思う。

いや、私も軽々しかったことは反省している。
でも仕事上や生活する上では、仕方がないのだ。
このインターネット世界に慣れてしまったら、もう後戻りできない。
その他の手段をとるには限界がある。

そう。私は、ネット中毒者で、暇さえあればネットで検索をしている。
ニュース、SNS、商品購入サイト。時刻表や、他社ホームページ。
時には、自分の個人情報や目的地などの地図情報まで打ち込む。
まるで呼吸をするように、一日に数十回、スマホやパソコンで検索を行う。

すると、いつの間にか、私の頭の中や思考回路の情報が、少しずつ積み重なっていく。検索された過去の履歴から、「ヤツら」・・・・・・広告が出没するようになる。

たった一度、商品詳細ページをクリックしただけなのに。
間違えて、ページを踏んでしまっただけなのに。
梅雨時期の食品に、一気にカビがはえて腐るがごとく、私の画面は、色々なタイプの広告で埋め尽されていく。

隣にちょっと座るタイプの広告。途中で割り込みする広告。
何度も幽霊のように出ては消え、出ては消える広告。
先回りし、通せんぼされる広告もあれば、過去の思考まで掘り起こされる広告もある。

「これが好きなら、これも好きでしょう? 欲しいでしょう? だから買いましょう」と時に、私の好みを勝手に決め付け、巧みに誘導する。
あたかもコンシェルジュのフリをしているが、結局は私の財産目当ての不審者。
買わせるまで離してくれない。

しかも、私にモノを買わせたくてたまらない「ヤツら」は、人間ではない。
だから、永遠に私をターゲットとして追い回すことができる。

私が無視し続けるか、「迷惑です」と意思表示をしたとしても、また違う方法で、「ヤツら」は、アプローチしてくるだろう。

だから私は、いつ、世界のどこにいたとしても、検索し続ける限り、尾行され続ける。
広告という「ヤツら」に、一生つきまとわれるに違いない。
きっと……あなたも。

 
 
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2017-07-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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