プロフェッショナル・ゼミ

ダイエットに失敗し続けてきた私が最後に手にしたもの《プロフェッショナル・ゼミ》


*この記事は、「ライティング・ゼミ プロフェッショナル」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【8月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:ばんり(ライティング・ゼミプロフェッショナル)

「三浦のとこのさマネージャーどうなん? タメにいるんやろ?」
「あーあのずんぐりむっくりのことね」

学生時代の今からもう12年以上前のこと。
違うクラスの同じ部活の男子から私はこう評されていたらしい。

子供の頃から太っている自覚はあった。
いや、違う。太っているんじゃない。ぽっちゃりだ。と自分に言い聞かせてたのだと思う。

だからこそ他のクラスの男子からのこの一言は衝撃的だったし、「本気でやせなきゃ」といういいモチベーションになった。

思えば小学校時代から続けていたバレーも高校受験の為に夏頃に引退。
食べる量は変わらず運動量は登下校のみ。それも近所に中学校があったため、5分程度で着くような距離であった。部活をやめて私が太ったのはごく自然なことだった。

しかもマズいことに中学生の私は美容やオシャレに無頓着。自分で服を買いに出かけることもなければ、メイクなんてしたこともない。おまけに中学の規律が厳しく眉毛一つそったことのない野暮ったい田舎の中学生だった。

高専に入ると県内から集まったたくさんの人たちがいた。
私の入った学校は高校と短大2年が一緒になったような工業系の学校だった。そのため、上級生は二十歳過ぎの人もいてど田舎の学生だった私は外の世界がいかに大きくいろんな人たちがいるか知ることになった。

都市部に住み、既にメイクもし、きちんと自分を魅せている同級生の女の子。
勉強だけして過ごしてきましたというような真面目そうなメガネの男の子。
先輩達はピアスに茶髪は当たり前。みんな大人でキラキラと輝いて見えた。
そして私は田舎じみた野暮ったいずんぐりむっくりだったのだ。

私はその日ずんぐりむっくり発言を受け、1年ぶりぐらいに体重計にのった。

体重計が指し示していたのは59キロだった。
ヤバい……非常にヤバい…あと1キロで60キロの大台にのってしまう!
60キロというかつて見たこともない壁がもう目の前まできていた。

私はこのとき本当の意味で自分の体型を自覚した!

近所に住む2つ上の自他ともに認める肥満体型のかよちゃんが68キロだと言っていたので、自分の意識の中に60キロ=肥満という方程式が成り立っていたのだ。

15歳にして私は初めてのダイエットに挑戦することになる。

ダイエット方法として選んだのは、食事量を減らすことだった。
夜ご飯は炭水化物をほとんど取らないようにすることである。

高専に進学した私は通学時間が2時間近くかかることもあり、寮に入っていた。
寮のおばちゃん達の愛情たっぷり男子学生向け高カロリー食は毎日のように肉・揚げ物ばかり。
私はそのおかずを取り、ご飯は自分で少しだけよそい、取り放題のキャベツはたっぷり山盛りについだ。

そして時間をかけまずたっぷりのキャベツを食べる。
その後、少しのおかずと少しのご飯を食べ、ごちそうさま。
あとは寝るだけなので、ひたすら空腹と戦う。

そんな日々を続けているうちに半年ほどかけゆっくりと体重は落ちていった。
59キロ……56キロ…… 48キロ!!

遂に私は11キロもの減量に成功した。
10キロ以上の減量は私に誇りと達成感を与えてくれた。ようやく自分もイマドキの高校生になれた気がした。
そこからの私はダイエットが疎かになり、メイクやスキンケア、ファッションへと関心が移っていった。
初めてのビューラー、初めてのマスカラ。不自然にまつげが上がりすぎて直角で崖のようになり友達に笑われたこともあった。がたがたのアイラインしか引けず二重の線が消えてしまったこともあった。そんなことをやっているうちにダイエットへの意識は徐々に薄れていった。

本当は心のどこかでできるならあと6キロ痩せたいと思っているのに……
結局意志の弱かった私は−10キロという数値に満足し、それ以上に痩せてもその体重をキープすることが出来なかったのである。

60キロの壁の次に阻んだのは48キロという新たな壁だった。

一度10キロの減量に成功して10年ほど私は長く48キロの壁を超えることは出来なかった。その後、学生から社会人となりお財布事情も変わってきた。

当然、昔は買えなかった1食置き換えの酵素やプロテインダイエット、ダイエットセミナー、エクササイズDVD、ばっかり食べダイエット、果てはエステまで……様々な商品やダイエット方法を試した。

糖質をおさえ卵や肉類だけを食べると体が痩せやすく変化すると言われればそればかり食べ、来る日も来る日も卵、卵、チーズ、牛肉、豚肉…… 最初はダイエット中にお肉が好きなだけ山のように食べられると聞き夢のようだった。
朝起きてフライパンにじゅっと流し入れる卵。傍らで豚バラをこんがり焼く。
味のアクセントにチーズを少し豚バラに載せてみる。
とてもダイエット中とは思えないハイカロリーでおいしい食事の出来上がり。朝から上機嫌で「これを食べれば痩せられる」ともりもり食べた。

しかし一週間もたつと続けるのがつらくなった。
朝起きて今日は何肉を食べようから始まる思考。
生臭い肉の臭い……。 
調理でアレンジはするものの主張する肉の味。

あんなに好きだったお肉もいざ食べ続けると苦痛となり、代わりにパンや白米といった糖質を強く欲するようになった。
白いご飯をお腹いっぱい食べたい。
アツアツの卵かけごはんや納豆ご飯を食べたい。
白くてふわふわなパンが食べたい。
調理パンやベーコンエピのようなスパイシーなパンが食べたい。

抑制するあまりそのことしか考えられなくなった。
完全に痩せたいという欲求よりも食欲が勝っていたのだ。
言うまでもなく糖質制限ダイエットは失敗で終わった。

それから1年後、私はエステの体験を訪れていた。
500円で合計10センチサイズダウンするという謳い文句のエステ体験だった。なれない紙パンツをはき、遠赤外線を出しているというベッドに寝転がる。ビニールシートのようなもので体を覆われ暑苦しさを我慢し、ひたすら15分過ぎるのをまつ。その後はキャビテーションという脂肪を分解する電磁波の機械をあてられた。最後にエステティシャンのお姉さんがリンパを流してくれて終了。
体験だけで終わるつもりだったこのサロンにうっかり入会してしまったのは、お姉さんとすごく話が弾んだことが理由だった。
土日の過ごし方を聞かれ「料理教室でパンを作ったりしてます」と答えるとお姉さんはすごく生き生きとした表情で「私パン大好きなんです。東区の○○ってパン屋さんをしってますか? ペーコンフランスが有名でとっても美味しいんですよ」と教えてくれた。その他にも「私が責任をもってゆかさんを痩せさせます。私リンパのゴッドハンドなんで任せて下さい」と言ってくれた。

私は試しにずっと壁であったマイナス6キロの壁について聞いてみた。
「秋に友人の結婚式があるんです。夏が終わるまでに6キロ痩せることは可能ですか?」
「何言ってるんですか? 今から3ヶ月もあるんですよ〜余裕で可能です。」
お姉さんの力強い言葉と優しい笑顔に私の心は決まった。
30万円もの費用を払い、全部で11回のエステを申し込んだのである。

最初の3回は順調に体重が減っていた。
というのも申し込みのときにもらった酵素玄米ドリンクで食事を置きかえる日々が続いたからである。
そこから中々体重の変動しない日々が続いた。
サロンで施術を終えてもマイナス300グラム。サロンに行くたびに体重は増えたり減ったり…… 
エステに行っているからと安心して、途中で友達とランチに出かけたり飲み会に参加した分が響いてるようだった。

そして残りの回数が4回になり終わりが見えてきた頃、こんな提案をされた。
「ゆかさんの今後の生活を考えていました。私達は一生サポートしたいと考えています。そこで提案なんですが、おうちで使えるキャビテーションのマシンが通常40万円のところ今なら30万円です。これなら契約が終わってもゆかさんのライフスタイルに合わせて使うことが出来るしどうですか? もしくは契約をもう10回増やしてリンパの流れや骨盤の位置を整えて、リバウンドしない体をつくりましょう。どちらがいいですか? 私としては毎回確認できるのでサロンに通っていただくのもオススメです!」
お姉さんはあの日と変わらない笑顔でそういった。

私は心の中でちょっとまってくれよ。と呟いた。 
お姉さんに裏切られた気分になった。何より自分の体が50万以上投資しないと痩せられないと思うと悲しかった。そんなに自分はダメな奴なのか。と。
投げやりな気持ちと信用できない気持ちが相まって結局エステサロンに通うのをやめてしまった。

結局、私はエステサロンでも痩せられないまま48キロの壁を前にずっと佇むこととなった。

そしてこの夏、私はひょんなことから最後のダイエットを体験することとなる。
きっかけは母がくれた安くなっていたスムージーミックスと一人の男性との出会いがきっかけだった。

同じ年の彼とは趣味の野球観戦がきっかけで知り合ったのだが、高校まで野球を続けていたというだけあってとても詳しかった。隣で肩を並べ野球を観戦し、たまに彼が入れてくれる解説のおかげでいつもの野球観戦がずっとずっと楽しく感じたのだ。
「今の打球……完全にヒット性の当たりだったのにね。ギータ(ソフトバンクの柳田選手)シフトしかれてたから捕れたんだろうな」
「センターからの返球よかったね〜ホーム間に合うかと思ったらアウトだ」
決して口数の多いタイプではなかったが、野球を真剣にみる横顔と時折話してくれる知識に気付いたら惹かれていた。

偶然にも彼も私を気に入ってくれ帰り際に「今度はご飯でも行きましょう」と連絡先を交換した。彼からの連絡に一喜一憂し、久々に胸の高揚を感じた。

そうなると散々挫折していたダイエットも久々に再開してみるかという気持ちになってくる。手元にあるアイテムを考えたときにいつかのエクササイズDVDと母からもらったスムージーがあった。
エクササイズDVDは考えた結果、まだやらないことにした。継続し続ければ効果が以前の経験から表れることはわかっていたが、仕事が忙しくなり時間が取れなくとやれなくなるのがわかっていたからだ。きっと私は数回やれないことが続くと自己嫌悪に陥り、DVDをやること自体を辞めてしまう。その結果が目に見えていたからだ。

そこで母からもらったスムージーミックスを試してみることにした。
まずはやかんに湯をかけ、白湯をつくる。その間に牛乳や豆乳にスムージーミックスを溶かしてしばらく放置しておくとドロドロとしたまるでシェイクのようなスムージが完成する。スムージーを放置している間に白湯を飲んで、お弁当を作る片手間でスムージーを飲み干す。これで朝ご飯はおしまい。

もちろんスムージーだけではお腹がすいてくるので、デスクワークの合間に少しずつ間食をし、血糖値の急上昇、急降下を抑え太りにくい生活を贈ることを心がけている。仕事中に適度におやつも摘まむし、微糖のアイスコーヒーも飲む。今のところストレスは0である。

そして何より嬉しかったのが、今まで朝ご飯を作る手間と片付ける手間、食べる時間がかかっていたのがだいぶ短縮できるようになったことだ。またその短縮できた時間でフルメイクと髪のセットまで出来るようになった。
朝ご飯をスムージーに変えただけで、私の朝の生活の質が上がったのだ。
以前は、お弁当を作ってたら朝ご飯がおざなりになったり、メイクをほぼしないまま出勤したりとテンションの上がらない朝のスタートをきることが多かった。しかし、朝ご飯を見直しただけでやりたかったことが全てやれるようになったのだ。加えて、体重もゆっくりと降下していく。
体重も減りすっきりとしたお腹と朝からきちんと整った自分。それだけで朝からご機嫌になれる。気付いたら48キロの壁は遠くなり、自分の体重が新境地へと向かっていることに気付いた!

私の中でもう結論は出ている。
「今回のダイエットは成功で、私にとって最後のダイエットになる」

これまでのダイエットに費やした期間とお金は自分にとって合うか合わないかの見極めがきちんと出来ていなかったのである。だからライフスタイルや正確に合わない無理なダイエットばかりして、その度に失敗し自己嫌悪に陥っていた。
そう考えるとダイエットも仕事も恋すら同じものだと思えるようになった。
結局は自分に合うか合わないかが全てである。

もちろん今の私のダイエット方法が合わない人もいるし、あまりいい痩せ方でない自覚はある。しかし結果が出るからこそモチベーションを維持しながら続けることが出来たし、少し痩せると筋トレや運動など他の手法を取り入れてみようという気持ちになってくる。

自分に合うものを見つけるまで探し続ける。
かつてエジソンが白熱電球を発明した際、竹のフィラメントを使うまでに2万回の試行錯誤を繰り返したように、成功するまでの道のりなのである。
幸運なことに私達はエジソンと違い、ネットを使いたくさんの情報を仕入れる試すことが出来る。

だからこそこれからもたくさんの失敗を重ねながら、自分に合うものを探していきたいと思う。

そして今年の秋、少しスリムになった私の隣には彼がいて、野球観戦をまた楽しめているといいなと思いながら、今日も最後のダイエットに励むのである。

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