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重曹の掃除が、教えてくれたこと


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事 谷口直美 (ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
「トイレ掃除をしたから、しばらく入ったらあかんで!」
私が小学生の頃、母親がトイレ掃除をした後に、必ず言っていた言葉だ。
子供ながら、トイレ掃除には、恐ろしい薬品を使ってるんだと思っていた。母親の言いつけを守り、トイレ掃除のあとは、できるだけ入らないように、我慢した。それでも、どうしても、入りたい時がある。そんな時は、息を止めて入った。しかし、息が続かず、思わず吸ってしまったときは、薬品のツンとした匂いがし、死んだらどうしようと、不安でたまらなかった。
 
大学生になると、さすがに掃除にすごい薬品を使っていた訳ではないことを知ったが、それでも、あの毒毒しい洗剤ボトルは好きになれなかった。もう、嫌なイメージが染み付いてしまっていて、実家のトイレ掃除はした事がなかった。しようとも思わなかった。
 
そんなふうに、掃除を母親に任せっきりにしていた私だったが、ついにトイレ掃除をしなければならない時がやってきた。
 
そう、私は結婚することになったのだ。
 
結婚で、1番不安だったのが、トイレ掃除だった。私は母親のように、劇薬のトイレ洗剤を使うことができるだろうか。あの匂いを嗅ぎながら掃除をしなければならないのだろうか。やらなければならないと思うと、嫌で嫌でたまらなかった。
母親にトイレ掃除だけ頼もうかと思ったこともあった。しかし、新居は、実家から電車で2時間以上かかる場所だ。母親といえども、トイレ掃除をしにきてと、簡単に頼める距離ではない。
 
途方に暮れていた時に、出会ったのが一冊の本だった。
その本には、家中の掃除が、食品である重曹やクエン酸、そして石けんでできると書いていたのだ。重曹は、おまんじゅうの中に入っている、ふくらし粉であるし、クエン酸は、レモンなどに含まれている疲労回復成分である。こんなもので汚れが落ちるのだろうか。正直に言えば、不安だった。それでも、これなら、私でもトイレ掃除が出来る!そう思うと、本を買わずにはいられなかった。そして、むさぼるように読んだ。重曹は、油汚れに効果があり、クエン酸は、水垢やアンモニア汚れに効果がある。
 
掃除を早くしたくてたまらなくなった。新居に引っ越しした当日、百均で重曹やスプレーボトルを揃え、早速やってみた。
しかし、失敗ばかりだった。重曹水で床掃除をすると、ザラザラになり、なんだかきれいにしているというよりは、汚している。また下駄箱の匂いと湿気取りの為に紙コップに重曹を入れて下駄箱に入れておいたら、靴を取り出す時には、コップを落として重曹をばらまく始末。全く上手くいかなかった。
唯一、上手くいったのが、トイレ掃除だった。クエン酸水を便座の裏にスプレーし、トイレットペーパーでふき取るだけの簡単な掃除だ。同じく、床もクエン酸水をスプレーし、トイレットペーパーでふき取るだけ。これなら気軽にいつでもトイレ掃除ができた。友達が来た時、便座がピカピカで、驚かれることもあった。
 
私は、恐怖のトイレ掃除から解放されたのだ。
 
そこからは、どんどん重曹とクエン酸の掃除にはまっていった。焦げた鍋、ガスレンジ台、オーブンレンジの庫内の汚れなど、あらゆるものを試していった。いつの間にか、25キロの重曹をネットで注文するまでになり、洗剤は一切使わなくなっていた。
 
石けんで、自分の体を洗い、重曹で鼻パックをしながら、そのままお風呂掃除をするのが当たり前になっていた。
 
そして、気づいたのだ。
 
体も、お風呂も同じものを使っているということに。
 
時々、丁寧に石けんを泡だてたものに、パラパラと重曹を振りかけてから洗顔することがあった。そうするとスクラブ洗顔のようになり、かなりさっぱりとするので気持ちいいのだ。
 
同じように、お風呂掃除でも、皿洗いでも、油汚れがひどいときには、泡だてた石けんに重曹をパラパラ振りかけて洗っていたのだ。
 
よく考えれば、体も顔も皮膚の上に油汚れが乗っかっているようなものである。それを取り除くのが、スキンケアで1番大事なことだ。
 
そっか、住まいのお掃除も、スキンケアも仕組みは全部同じなんだ。
 
そう思うようになってから、掃除は汚れとの戦いではなくなった。すごく優しい気持ちになったのだ。
 
まるで自分の肌をいたわるように、まめに優しく掃除をするようになったからだ。
 
キッチンのシンクや、蛇口も1日1回は、きちんと石けんや重曹で、しっかり泡だて優しく洗うようになった。
 
そうすると、いつも曇っていたシンクや蛇口も、ピカピカになってきれいが持続するようになった。
 
子供がお漏らししても、すぐに水分を拭き取り、クエン酸で中和させれば、匂いもスッキリ取れる。お漏らししたお布団も同じように掃除すれば、匂いは残らないため、掃除のストレスは大幅になくなった。
 
トイレの便座汚れも、クエン酸水でこまめに掃除するようになり、5年目を迎えた今もきれいを保っている。
 
お肌も添加物のない石けんや重曹を使う方が、調子も良いことがわかった。吹き出ものも出なくなったからだ。汚れがきちんと落とせているのだと思う。
 
重曹とクエン酸のお掃除を続けて10年以上になる。この掃除を通じて、汚れ落しの仕組みを学び、掃除もスキンケアも仕組みは同じだと気づくことができた。
 
そのおかげで、掃除は、汚れとの戦いから、家を労わり、癒やす作業へと変化したのだった。
 
 
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2017-08-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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