メディアグランプリ

言葉の迷路を彷徨って


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:一宮ルミ(ライティング・ゼミ日曜コース)

ライティング・ゼミの締め切りまで、あと3日。

それなのに今週書いたものはどれも未完のままだ。

書いて書いても、着地点が見つからない。文字数が足りない。

時間だけが過ぎていく。

 

ここには、本当は出口なんかないのかもしれない。

焦りと不安が追いかけてくる。とにかく出口を探せ!

 

頭の中で浮かんだ言葉は、蝶のようにひらひら舞って、捕まえようとして手を伸ばすが、届きかけたところで、ふっと霧のように消えて、伸ばした手が宙を切る。

そして、二度と姿を現さない。

 

それでも手は好き勝手にキーボードを打っている。捕まえられなかった言葉と違う言葉を画面に表示させていく。

「違う! 私が言いたかったことはこんなことじゃない!」

deleteキーを押そうと構えるが、ケチな性分が祟り、せっかく書いた文字がもったいなくて消せない。書きたい言葉と違うものを残して書き進んでも、結論にたどりつけるはずはなく、しばらく書いたところで、結局deleteキーを押して消してしまうか、未完成のままお蔵入りだ。

 

頭で考えていた時は、とても面白いアイディアだと思うのに、いざ書いてみると、薄っぺらい、ちっとも面白みのない、白紙のコピー用紙のような味のないペラペラの文章になってしまうこともある。

 

もう書くのをやめようか。今週の課題は提出しなくていいか。このままでは出したところで、ボツになるに決まっている。今ならまだスタート地点に戻れる。

 

それでも諦めきれずに、言葉を探して頭と手がパソコンの前で彷徨っている。出口を探して試行錯誤。もうやめればいいのに、なぜかやめられない。

 

今度こそ正解のルートだと思って、進んだ先は、またもや行き止まり。

引き返して、また新しいルートを進む。どうやら今度は先がありそうだ。

 

子供の頃、遠足で遊園地の巨大迷路に入った。周りは背の高さを超える木の板で囲まれ、全体像は全く掴めない。入ってしまったら、何としても出口を探して、進まなければならない。初めのうちは、友達ときゃあきゃあとはしゃぎながら進んでいたが、友達も思い思いのルートを探して、散り散りになり、しばらくすると、周りにいた友達が一人もいなくなって、自分だけなっていた。

ものすごい不安が襲ってくる。

「このまま、出口にたどり着けなかったらどうしよう」

「みんなどこへ行ってしまったのだろう」

「取り残されて、置いて行かれたらどうしよう」

これはまずいと焦って走り出す。しかし、誰にも会わない。みんなはとうに、先に行ってしまったのだろうか。

不安にかられながら、闇雲に進む。案の定、そこは行き止まりだった。

仕方なく元のところまで、引き返す。引き返した分、時間をロスしてまた焦る。

不安はどんどん大きくなり、ほとんど恐怖に変わる。

 

一人でパソコンに向かい文章を書いていると、迷路で取り残された時と同じ気持ちになる。

書いては行き止まり、戻ってはまた書き始める。出口は一向に見つからない。

他の人はどんどん書いたものが採用され、先へ行っているように思えて、置いて行かれるようで。

困った。どうしたらいいのだろう。

 

落ち着け、自分。

 

そうだ、全体を見渡してみよう。

 

迷路の時もそうだった。

恐怖と不安を感じながらも進んでいくと、展望台があった。登ってみると全体像が見渡せた。見渡すと、自分のいる場所と、ゴールが見えた。

まだまだ迷路の中には、たくさんの人がいた。置いていかれた訳ではなさそうだ。安心した。

だんだん気持ちが落ち着いてきた。一人じゃない。時間はまだある。ゆっくり行こう。

 

よし、まずABCユニットを書いたメモを見返してみよう。

目的と着地点を再確認する。そうだ、私が書きたかったことはこれだ。

出口が見えた。

 

落ち着いて、展望台から全体を見渡し、出口までのルートを確認すると、さっきまでの不安と焦りも幾分落ち着いてきた。楽しく、ゆっくり、書こう。大丈夫。

さあ、気を取り直して、出口まで進もう。

 

出口に向かう途中で、自分が今どう感じているのかを考え、感じたことを言葉にする。周りの状況をしっかりと見て、文字に落とす。画像としてしか見ていなかった風景を、言葉にしてみる。

忘れっぽいので、昔の記憶はとてもあやふやだけれど、なんとか思い出すと、そこには、自分を奮い立たせてくれた友の言葉や、周りの人の優しさがある。

嬉しいこともあったし、腹の立つこともあった。そんな喜怒哀楽も一緒に思い出す。言葉の迷路の中には、色とりどりの花が咲いていたことに気づく。

 

迷いながら進むことも悪くない。

そうやって気づいたことを、うまく表現できるようになって、もっと書き残しておきたい。だから、やっぱり不安と焦りに追いかけられ、迷路の中を彷徨っても、書き続けたい。

 

あの時の迷路の、木の板の下にも、美しい花が咲いていたかもしれない。それはもう忘れてしまったが、そういうことにしておこうか。

 

 

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2017-08-31 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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