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記事:YUKI(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
イライライライライラ……。
新宿駅に向かって早歩きする私とその後ろからついてくる男。私の機嫌は底辺まで落ちていた。
 
この日、私は友人のカナとカナの友達の3人で新宿歌舞伎町にある居酒屋に合コンに行った。
 
1件目にいるときはそれなりに楽しかった。私と男性一人はお酒が弱いのであまり飲まなかったが、それ以外の4人はワインを飲み続け、店を出るときにはかなりできあがっていた。
 
2件目のお店に入って30分後、カナに異変が起きた。お手洗いに行くと立ち上がった瞬間、体がぐらりとゆれて倒れたのだ。「大丈夫、大丈夫」と言っていたが明らかに大丈夫ではない。私は彼女に肩を貸し、一緒にお手洗いに向かった。
 
お手洗いの個室からなかなか出てこないカナを心配しながら外で待っていると、合コンメンバーのヒロキ君がやってきた。彼はカナに気があるのか1件目からカナの隣をキープし、お酒をどんどん飲ませていた。ただ、この時ばかりは反省したのか飲ませすぎたことに責任を感じていると言い、カナの荷物を持ってきてくれていた。その時、個室から「もう大丈夫。あと少しで出られる」とカナの声がドア越しに聞こえた。私は自分の荷物を持ってきていなかった。だから「自分の荷物を持ってくるついでにまだ席にいる他のメンバーも呼んでくる。もし戻ってくるまでにカナが出てきたら体を支えてあげて」と言って荷物を取りに行った。
 
私が他のメンバーと戻ってきたとき、二人はいなくなっていた。
 
店内はもちろん店の周辺にもいなかった。携帯もつながらなかった。ここは新宿歌舞伎町。周りは女の子に声をかけるホストと気の強そうなホステスばかり。私は勇気を出して手あたり次第声をかけた。意外にも皆すごく親切だった。携帯やトランシーバーを使いながらほかの人たちにも声をかけて一緒に探してくれた。
 
しかし歌舞伎町大走査線では結局二人を見つけることができなかった。仕方なく居酒屋の前に戻るとちょうどヒロキ君が居酒屋に戻ってきていた。彼の言い分はこうだ。個室から出たカナの酔いを醒まそうと外に出た。意外と大丈夫そうだったのでカラオケ店に入った。ところがカナが部屋で吐いてしまった。一人じゃ処理できなくなったから私を呼びに居酒屋に戻ってきた。
……全く理解ができなかった。この時彼を殴らなかった私を誰か褒めてほしい。結局カラオケ店の店員に謝りカナを回収した。この時終電時間はとっくに過ぎていた。他のメンバーはヒロキ君と私とカナを残し各々帰っていった。
 
いつ嘔吐するかわからないカナをタクシーに乗せることは不可能だった。結局人1人がギリギリ横になれるレンタルルームを1部屋見つけ、そこにカナを寝かせた。部屋を出て自動ロックがきちんとされているか確認し、私はレンタルルームを後にした。
 
ヒロキ君は「歩いて15分くらいのところに俺の家がある。吐かないなら泊めてあげてもいい」と何食わぬ顔で言ってきた。この時彼を殴らなかった私を誰か褒めてほしい。さすがに頭にきたので無視して新宿駅に向かった。
 
そして冒頭に戻る。駅に到着後、「また明日連絡するね」と言い彼は帰っていった。こうして史上最悪の合コンは幕を閉じた。
 
だが、残念ながら私には帰宅するというミッションが残っていた。家までのタクシー代は約2万5千円。決して安くはないが早く自宅のベッドで寝たかった。私はタクシーに乗りドライバーのおじさんにその日の出来事を愚痴った。おじさんは苦笑しながら私にこう言った。「そもそも男は合コンでみつけないほうがいい。職場でも友人でもいいから身近な男を選びなよ。自分好みに育てればいいのさ。できる女っていうのは男を育てることができる女のことを言うと俺は思う」「いきなり完璧なものを手に入れることなんて無理なんだよ。もしそれができるとしたらそれはその男性と同じ土俵に立てるだけの女にならなきゃね。だから見つけるより育てるほうが簡単なんだよ」
 
おじさんが言うのはもっともだと思った。確かに学生時代は全くかっこよくなかった男子が久しぶりに同窓会であったときにはすごく仕事ができそうなカッコイイ男性に成長していたことがあったのは記憶に新しい。そしてそういう男性のほとんどに彼女か奥さんがいた。
 
そのあともおじさんは海外でのボランティア体験や趣味でタクシードライバーをやっていることなど色々な話を聞かせてくれた。あっという間に時間がたち、家に到着した。おじさんは言った。「色々話を聞いてくれてありがとう。お礼は1万円でいいかな」私は約1万5千円を支払いタクシーから降りた。イライラしていた気持ちはどこかにいっていた。
 
最悪な合コンだったが、歌舞伎町大走査線のホストやホステス、そしてドライバーのおじさんの優しさに触れることができた。私はその日以来合コンに行くのをやめた。
 
 
***

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2017-09-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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