メディアグランプリ

歯ぐきと羞恥心


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:たいらまり(ライティング・ゼミ日曜コース)

 

「ハナコちゃんがね、まりちゃん笑うと歯ぐきがニョキッて出て変だねって、笑いよったよ」
小学校5年生の頃、クラスで一番成績が良かったハナコちゃんが、私の歯ぐきを嘲笑っていたと、友達にから聞いた。
その通りだった。私は笑うと歯ぐきがむきだしになる。このことがコンプレックスになってから、笑うことが苦手になった。ハナコちゃんの陰口が決定的なダメージとなり、その頃から笑う時は顔を隠すようになり、中学生の思春期になると、笑うこと自体が嫌になり、笑わないクールなタイプの人を装うようになった。笑わないから、「近寄りがたい人」になっていった。
私はこの歯ぐきダメージをきっかけに、コンプレックスや、苦手なこととぶつかると、「受容」「克服」「努力」という対処ではなく、「隠す」方法をとりながら生きていくようになった。
しかし、36歳になった今、その生き方が崩れようとしている。
「書くこと」で、歯ぐきを隠す人生と、さよならできそうになっているのだ。

「書くこと」は幼少期から好きだった。
手書きの手紙を書く時なんかは、アドレナリンが出すぎて、相手が誰であってもトキメキが止まらなくなる。
面と向かって気持ちを伝える時は、自分の歯ぐきの見え方が気になって自信がなくなってしまい、言葉の語尾なんか聞こえなくなるほど怖気付く。その点、手紙は最高のツール。顔を見せずに、どれだけでも書き直せて、どれだけでも想いを込めることができる。
書き終わった手紙を赤いポストに投函する瞬間なんかたまらない。「その穴に入れてしまえば、もう後戻りはできないぞ」というスリルと「この手紙がつなぐもの」への期待で興奮が最高潮に達する。投函した後は、一仕事終えた達成感。その赤いポストが神聖な鳥居に見えて、合掌をし、手紙が安全に届くことを祈る。
社会人になり、販売の仕事をするようになってからも、「書くこと好き」は役に立ち、お客様へのご案内状やダイレクトメールなどの文章作成を担当させてもらえる機会も増えた。ただ、やはり仕事となると難しく、伝えたいことを書き表せない大きな壁にぶつかった。そのうち、プライベートな手紙も億劫になり、歯ぐきを隠してきたように、「書くこと」も、封印しそうになった。そんな時に、天狼院書店のライティング・ゼミに出会った。

なんとなく気になっていた「狼」の文字がつく本屋さん。なんとなく眠れない夜中にFacebookで見つけた「ライティング・ゼミ」ただ、本当になんとなくおもしろそうだから、翌日、お店に行って申し込みをした。
そして、課題の2000文字の文章を初めて提出。なんだか、丸裸にされている気分。急に妙な羞恥心に襲われた。
「こんな文章、誰かに読まれたら恥ずかしい。やっぱりやめよう」
「誰も見てないよ。ちゃんと課題は提出しなきゃ」
「いやいや、誰も困らないし、課題出さずに、受講だけすれば?」
「書いても出さなきゃいいじゃん」
1週間かけて書いた約2000文字の文章を目の前にして、一人押し問答を繰り返した。自意識過剰もいいところで、この文章をあの人が見たら、とか、他の受講者さんの記事と比べて自信ない! と思ったり、ほとほと自分が嫌になったが、最後は、思考が疲れすぎて投げやりな気持ちで投稿。
投稿した後は、ポストに手紙を投函した後のような達成感が湧きあがってきた。たった1週間だったけど、私のパソコンの中で生まれ、成長した文章が旅立った。娘を嫁に出す気持ちってこんな感じかな、と少々大げさに感慨にふけって合掌をした。そして、何より投稿前にやってきた羞恥心、それは大切なことに気づかせてくれた。

私は、今、書くことで自分が何か変われるような感触をつかんでいる。
ずっと、歯ぐきを隠してきた生き方。でも、本当に隠したかったのは、弱い部分をさらけ出せない自分。かっこばかりつけて、弱さやダサさを受け入れなかった自分。
むき出しの歯ぐきがなんだ。ピンク色に波打って可愛いじゃないか。歯ぐきを見せながら大笑いするんだ。出せ。出すんだ。かっこつけずに、人目を気にせずに。さらけ出すんだ。書くんだ。恥ずかしくても書き続けるんだ。
4ヶ月間のライティング・ゼミ。これからも自分が文章を生み出す度に、羞恥心と向かい合うことになるだろう。それでも4ヶ月後はもっと自分を好きになれていると思う。歯ぐきを丸出しにして笑える、そんな新しい自分に、きっと変われている。

 

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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2017-09-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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