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太鼓持ちのススメ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:Masa Mik(ライティング・ゼミ日曜コース)

 

「さすがですね、なるほど……、考えが及びませんでした」と、部下の声。

「気持ちいい、癒される、俺ってまだまだいけるな」と、僕の心の声。

 

太鼓持ちが好きだ。

 

僕の部下に、田中というすごい太鼓持ちがいる。

僕は仕事に疲れると、よく田中を誘い、飲み屋に行く。

その田中は、僕が何を言ってもほめてくれるのである。何を言ってもである。

 

僕の提案が会議で却下された話をした時は、

「先日の会議、お客様からの要望への対応について提案を出したけど、通らなかったよ。会社は、お客様の声をどう思ってるのかな?」

「M(僕)さんは、管理職なのに事務所にこもらず、積極的に売り場に出て、お客様と接しているから、お客様の声を一番知っているのに……。Mさん、ほんとうに自然にお客様に話しかけますよね。この前の土曜日、ベビーカーの売り場でMさんが接客しているのを見ましたよ。お客様と会話が弾んでましたね。お客様、Mさんのアドバイスに感動してましたよ」

と、提案が却下された話が、僕の接客スキルの賞賛に変わり、

「感動は言いすぎだけど、お客様の役に立てて良かったよ。あのお客様の生活ニーズは……」

と、僕ものせられて、得意気に話す。

この場合、太鼓持ちの田中は、会議で提案した内容も、なぜ会社がそれを通さなかったのかも、聞かないのである。ただ、僕の良いところをフォーカスする。

 

僕が部長の不満を話した時は、

「部長、最近、急に仕事を振るんだよな。早めに言ってくれれば、計画立てて、より丁寧に対応できるに……」

「部長はMさんに期待しているんですよ。この前も飲みの席で、俺の後任はMだと言ってましたよ」

「この前って、いつの話だよ」

「半年前くらいですかね」

「え〜、半年も前かよ」

「半年も前だけど、あの時の部長は本気でしたよ。部長が頼む人は、Mさんばかりじゃないですか? Mさんを頼りにしてるから、部長は頼むんですよ。Mさんが優秀だからですよ。すごいなぁ、Mさん。みんな、Mさんのことを部長の懐刀って言ってますよ」

と、僕の部長への悩みが、部長からの期待に代わり、

「なにが懐刀だよ。でも、まあなぁ、部長と付き合い長いからなぁ、結構、俺、部長のこと、分かっているしなぁ」

と、僕はやる気になるのである。

 

僕がオーダーした時は、

「ささみ梅肉、すなぎも塩で、2本ずつ」

「Mさんのチョイス、高たんぱく低脂肪、さすがですね。Mさん、おなか全然出てませんもんね。いつもカロリー計算してますよね。自制心、セルフコントロールの仕方、教えてください」

 

帰りがけには、

「Mさん、今日も楽しかったです。勉強になりました。また、誘ってください」

と、田中の太鼓は、どの場面にも、素晴らしい音で鳴り響く。

 

そして、僕は、

「今日、楽しかったなぁ、なんだかんだ、俺もまだいけてるなぁ、明日もがんばろう」

となるのである。

 

今、飲み屋のやり取りを文字に起こしたが、田中と僕のあほさ加減に頭が痛くなってきた。

 

しかし、僕は田中の太鼓が大好きだ。

 

なぜなら、それは、こび、へつらいではないからだ。

それは、コミュニケーションの一環のご機嫌取り、よいしょであり、かっこよく言うなら、ホスピタビリティ、心のこもったおもてなしなのだ。

 

こび、へつらいではないと思う理由は、田中の人間性にあると思う。田中は、いつも、どこでも、どの人にも親切でポジティブな対応をする。その延長に、飲み屋でのやりとりがあるのだ。だから、田中が飲み屋で同じような対応を、誰にでもしていることを僕は知っている。

 

また、ホスピタリティ、心のこもったおもてなしだと思う理由は、そもそも褒めることは、難しいことだからだ。褒めるには、相手をよく知るために、関心を持って観察し、少しでも良いところを見つけなければならない。また、相手を喜ばせよう、気持ち良くしようという気持ちがなければならない。これらを行うには、能動的に動く必要がある。田中は、ボランティア精神、サービス精神を発揮しているのだ。

 

僕を含め、みんなが太鼓持ちになればいい。みんなが、周りの人々の長所を探すために、周りに関心を持ち始める。そのことは、同時に、人々の心配や不安に気づくこととなり、フォローや励ましにも繋がるはずだ。

 

そして、みんながオリジナルの太鼓を持つ。控えめに褒める小さな太鼓、大げさに褒める大きな太鼓、気づきにくい長所を褒めるきれいな音を持つ太鼓など、個性に合わせた太鼓を持つ。そして、みんなで、セッションのように太鼓を叩き合えれば、明るく、活力ある世の名になるのだろう。

 

辞書で調べてみると、太鼓持ちは俗称で、正式名称は幇間というそうだ。「幇」は助けるという意味で、「間」は人と人の間、すなわち人間関係をあらわす意味。この二つの言葉が合わさり、人間関係を助けるという意味となる。まさしく、このとおりだと思う。

 

太鼓持ちとは、人間関係を助けるために、相手や周囲を気遣う発言、思慮深い発言ができる人なのだ。

 

めざせ、太鼓持ち!

 

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2017-09-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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