メディアグランプリ

インドでもらった、今も心に深く刻み込まれた言葉


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記事:中澤一志(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
「Be there. Learn. (そこに来て、学びなさい)」
と最後に彼女は言った。
 
正確にいうと、最後ではなかったかもしれない。でも、その時の私の頭は完全に混乱していた。それでもこの言葉だけは、心に深く刻み込まれた。本当に思い知らされた。
 
三年前の夏、私はインドにいた。
 
その数か月前、何気なくインターネットをしていた時、新興国の社会課題を考えるプログラムが募集中であることを知った。週末に何回か集まるグループワークと、夏休みに1週間、現地でフィールドワークをするらしい。今回の国はインド。フィールドワークでは一般家庭への訪問のみならず、電気のほとんど通っていない村、スラム街など、旅行では到底行くこともできないようなところにも行くとのこと。そのことへの単純な興味と、パックパッカーの聖地であるインドに行けば何か自分が変わるかもしれないという安易な気持ちが相まって、即座に申し込みボタンをクリックしてしまったのだった。
 
最初の1か月は、グループワークだった。4つのグループにわかれ、インドの社会課題は何か、それを解決するためのビジネスアイデアは何かを話し合った。調べてみると、ある意味予想通りだが、インドは課題のオンパレードだった。BOP(Base of Pyramid)と呼ばれる年収が3000ドル以下で暮らす人々が人口の50%以上を占め、電気は慢性的に不足している。郊外に出れば、まったく電気の通っていないところだって沢山ある。トイレの普及率は半分以下だし、飲み水や食の問題、マラリアやデング熱など衛生面の問題、教育が受けられない問題など、課題だらけだった。
 
そのような中で私たちのグループでは、最低限、安心して安全な生活を送るためには、電気が必要。そして衛生面を考えれば、トイレを普及させることがどう考えても先決ということで、これらにターゲットに絞ってグループの意見をまとめ、その仮説を確かめようと、フィールドワークに出発したのだった。
 
だが、実際にインドの大地に立つと、あらゆる面で想像以上だった。
 
デリーの中心部には大きなビルが立ち並び、IT企業が乱立するようなビジネス街がある一方で、電気もろくになく、狭く汚いところに沢山の人々が住むスラム街も数多くある。都市部でも停電は日常茶飯事で、道には人、車、オートリクシャと呼ばれる3輪自動車が溢れかえっている。そうかと思いきや、急に牛や羊の群れに出くわしたりするのである。車線の数なんてお構いなし。3車線のはずが、何故だか5車線で車が走っていて、挙句の果てには一番外の車線は逆走する車が走っていたりした。
まさにカオス。想像以上のカオスだった。
 
フィールドワークの二日目。今度はデリーの街を離れて、電気の通っていない村へ向かった。道はガタガタで舗装されていないところも多々あった。更に昨日の雨のせいで巨大な水たまりができていて、何度も足止めされた。こんな感じで行くだけでも大変だったが、どうにか到着し、早速家の中など様々な場所をみせてもらった。
 
そこで思ったのは当初の考え通りのこと。このように電気がなく暗い台所で薪を使って料理をし、トイレもないような生活をしている人たちに、何が一番欲しいですかと聞けば、きっと電気とかきれいな水が欲しいとか、そんな答えが返ってくるだろうと。でも、実際は全く違う答えが返ってきた。
 
最初に出てきた答えは、なんと携帯電話だった。村でも何人かは既に携帯電話を持っているらしく、家族といつでも話ができて羨ましいとある男性が言った。充電はわざわざ村の中心にある商店にまでやりに行かなければならないのにである。なぜそういう答えになるのか、全くもって意味がわからず、我々の想像する優先順位とこうも違うもののかと、ただただ驚いた。
 
そして最終日。現地の機関で働く女性と話をさせてもらう機会があった。もともとは我々の考えてきたアイデアを議論をさせてもらうような時間だったのだが、もはやその案が成り立たないのは明らかだった。だから、せっかく時間を取って頂いたのにも関わらず、ただただ見て感じたことを話すことしかできなかった。本当に申し訳なかった。こんな話なんて、彼女にとっては当の昔に感じ、考えていたことだと思う。それでも彼女は熱心に話を聞いてくれ、数々のアドバイスをくれた。そして、最後に「Be there. Learn」と言った。
 
まさにその通りだった。
 
今の時代、インターネットでいくらでも情報を調べることができる。それは大事で、きちんと調べて準備しておかなければならないのだが、あくまでもその情報は他の人が調べたもの。本当なのかは自分の目で確かめないとわからない。それを身をもって体験した。また、調べた情報だけではどうしてもこちらからの一方的な視点になってしまい、相手の立場に立って考えられていない。それを痛感した。結局、このプログラムは、自ら行動し、相手の立場に立って考えることが、課題を解決するために必要だということを教えてくれたものだった。
 
あれから三年、あの経験をもとにして成長できたかと言われると心もとない。でも、チャレンジすることを何か理由をつけて諦めようとしたり、怠けてしまいそうになった時には、あのインドでもらった言葉、「Be there. Learn」を思い出すことにしている。この言葉がリモコンの再生ボタンのように、あの時の経験、そして学んだことを再認識させてくれるのだ。自ら興味を持って動き、学び、考えることが大切だと。だから、これからも思い出し続けるようにしたい。それが、あの暑い夏、本気になって議論をし、貴重な時間を割いて熱心にアドバイスをしてくれた人たちへの恩返しになると思うから。
 
 
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2017-09-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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