メディアグランプリ

禿でよかった。


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記事:Masa Mik(ライティング・ゼミ 日曜コース)

 
 
僕は禿ている。

「まじか……」
重い雰囲気が会議室に立ちこむ。
進めてきたプロジェクトの成果が思わしくない。
それは半年前に経営陣の反対を押し切り、会社の成長に必要と信じ、進めてきたものだ。
皆、各自のポジションで一生懸命、取り組んできた。
確かにチャレンジングなものであったが、ここまで成果がでていないとは……。
1週間後、経営陣に発表しなければならないのに……。
皆、深いため息をつく。
「成果の数値を変更するわけにはいかんし、正直に報告しよう。
同時に、成果が出なかった理由と今後の対策を説明する必要があるね……。
反対していた経営陣から責任関係を言われると辛いなぁ……」
プロジェクトリーダーである部長がまとめて発言する。
「反対していた経営陣も承認したんだから、いまさら責任なんて言い出しませんよ。
言い出したら、僕が坊主になって責任とります」
「て言うか、三上(私)、もう既に禿とるやないか?」
全員が苦笑している。
「まあ、三上が全部責任とってくれるみたいや。
しっかり今後の対策など、やることをやろう。
では、今日の会議は終わり」
僕の禿で、暗い雰囲気の会議を明るく終わらせてやった。
素晴らしい。

「おはようございます。
○月○日の朝礼を行います。
今日は、どんよりとした曇り空で、オフィスも何か暗い感じがします。
暗くていいことは何もありません。
同じ時間を過ごすのであれば、元気に、ポジティブに行きましょう。
環境に左右されるのではなく、自分自身で明るい雰囲気を作っていくことが大事です。
その点、僕は体を張って、頭から明るくしていきます。
本日も一日がんばりましょう。
では、朝礼を終わります」
全員が苦笑しているが、僕の禿で雰囲気は明るくなった。
今日もみんなにとってナイスな一日がスタートできるであろう。
素晴らしい。

「花子さん、髪型かえましたね。春らしく、軽い感じで似合ってますね」
「三上さんだけよ。気づいたの」
「僕は髪型にはうるさいので、すぐ気づくんですよ」
「(苦笑しながら)ありがとう。
私の上長なんて、毎日、顔合わすのに全然気づいていないと思うわ」
「本当は気づいてますよ。
面と向かって言うのが気恥ずかしいだけですよ」
僕の禿で花子さんの新しい髪型に気づき、褒めることができた。
そして、花子さんの上長までフォローする。
素晴らしい。

現在、僕はこのように禿を受け入れ、まるで太陽のように皆を明るくしている。
しかし、ここに到るまでには約10年を費やすのである。

僕は大学の時から髪が寂しくなりはじめた。
若いのに、薄毛とは本当についていない。
薄毛の嫌なところは、かっこ悪いのだ。
かっこ悪くなる流れは、このようになる。
薄毛を隠そうと、分け目が5:5から6:4、7:3、8:2と普通でないところまで偏る。
そして、髪を触られるのが嫌なので、散髪に行くタイミングも遅れがちになる。
ますます、変な髪型になる。
それは、服装にも大きな制限を与える。
Tシャツにジーンズ、スニーカーなど、年相応の若い格好がまったく似合わない。
そのため、ポロシャツにチノパン、革靴など、髪型に合わせ? 年老いた服装となる。
薄毛による変な髪型が中心となり、年齢と服装、すべてが変になっていく。
魔の薄毛ドミノが始まり、負の薄毛スパイラルに陥るのである。

鏡や電車の窓に写る自分を見ると、他人からどう思われるのか考え、悲しくなった。
集合写真など、髪がふさふさな他人と比較してしまい、がっかりしていた。

そして、30歳の暑い夏のある日、自分でバリカンを使い丸坊主にした。
鏡の前のこの変な髪型のネガティブな自分に、我慢できなくなった。
最初の一刀は、頭の真ん中に刃をいれてやった。
逆モヒカン、落ち武者のような自分となり、本当に衝撃的だった。
バリカンで刈って床に落ちた髪は、すべての僕の負だった。
丸坊主の鏡の自分を見る。
なんか恥ずかしいのだが、はればれした感じだったのを覚えている。
そこから、すべてが好転し始めた。

「はぁ、はぁ、はっ」
夢から覚める。
髪の毛がごっそり抜け、禿になる夢だ。
大学の頃から、いまだに年2回ほど見る。
寝汗で下着がぐっしょりしているのを感じながら、頭に手をやる。

薄毛を気にしていた頃は、髪の毛があることを確認し、ほっとしていた。
しかし、今は、禿頭を確認し、ほっとしている。

以前は、相手からどう思われるか? を考えていた。
かっこいいという、賞賛を求めていた。
求めるポジションだった。

今は、相手を喜ばすことを考えている。
与えるポジションだ。

なんか嬉しい。

 
 
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2017-09-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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