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毎日おみくじ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【10月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:志希歩(ライティング・ゼミ 通信専用コース)

 

さて、何を読もうかな。
夜、自分の部屋の本棚を眺める。
随分前に買った本が並んでいて、普段はなかなかこの中から読む本を選ぶことはないけど、今日はなんとなく。

一番下の段の左端、カフカの「変身」が目に留まる。
20年以上前、高校生か大学生の頃に買ったもの。
言わずと知れた「朝起きたら虫になっていた」話だ。
何度か読んだ記憶はあるものの、内容は全く覚えていないし、さっぱり意味が分からなかった印象しかない。

何度も行った断捨離の網の目をかいくぐって長年ここに鎮座しているが、これまで全く気に留めることはなかった。

これにしてみようかな、いや、やっぱりこれじゃないな。

結局、この本棚から本は選ばなかった。

 

次の日、たまたま会った知人が鞄の中から1冊の本を取り出した。
「今これを読んでるんだよ」

とても薄い文庫本。
特徴的な薄さだ。

いや、まさかね。

「カフカの変身なんだけど」

え、やっぱり。

「主人公が虫になる理由も意味も明かされなくて、その意味は読み手次第で解釈の仕方は色々あるんだろうね」
という程度に話を合わせることはできたけど、いかんせん何も覚えていない。

それよりも内心、前日に一瞬でも手が伸びかけていた本がそこに現れたことに驚いた。

これも何かの縁かな。
帰宅して、本棚から「変身」を取り出す。

安定の薄さ。
すぐ読めるだろうし、今読めば昔とは違う感じ方があるかもしれない。
近いうちに読んでみようっと。

 

翌日、ある講義を受講していた。
あれ、この話の流れで行くともしかして……。

出た。
全く関係のない分野の講義で、何かの例え話で講師の口からその言葉は発せらせた。
カフカの「変身」

 

なんと3日連続だ。
カフカの「変身」に遭遇する3日間。

これは何かのサインだ。
神様からのメッセージに違いない。

どういうメッセージなんだろう。
変身しろってこと? 変われってこと?
この本の変身ってあんまりいい変身じゃないけど。

 

こういうことは、割とよく起こる。

別の日、スマホで何を探すでもなくネットサーフィンをしていて、たまたま行きついたページにちょっと心に響く文章があった。

「ああ、いいことが書いてあったな」

スマホを置き、読みかけの本を開く。
住野よる「君の膵臓を食べたい」

開いたページにさっきスマホで読んだ文章とほぼ同じ意味のセリフがあって、本を落っことしそうになった。

はい来た。
神様からのメッセージ。

このときは、分かりやすい文章だったのでそのまま受け止めた。
そして、ことあるごとに思い出している。

 

偶然といえばただの偶然。
スピリチュアルな人に言わせると神様からのメッセージ。
私はこの考え方のほうが好きだ。

神様は私達に直接言葉を伝えることができないので、私達が目にするもの耳にするものを通してメッセージを伝えようとしてくれている。
だから何度も目にするものや気になるものは要注意。
すんなり意味が分かるものもあれば、意味を捉えかねるものもある。

 

そうそう、おみくじもこういう感じだよね。

おみくじこそ神社という神様のテリトリーで直接いただくメッセージ。
吉凶のほかに運勢が書いてあって、そのときの自分にぴったりきて納得したり、いまいちよく分からなかったり。そのときはよく分からなくても少し心に残ったり。

おみくじって箱の中に手をいれて自分の意思でコントロールしてひとつを選んでいるようだけど、箱の中には白装束の小さいおじさん、じゃない、神様がちょこまかと動いて「ほれ、こっちこっち、あんたにはこれ、はい」と手を導いてひとつ掴ませてくれてたりして。

 

偶然のような出来事も神様が私をちょんちょんと動かしているんじゃないかな。

私にカフカの「変身」が必要で、神様は本棚の一番端で「これだよ、これ!」とアピールしたものの私が見事にスルーしたもんだから、次の日に「変身」を持った知人に会うように「ほれ、この時間にこの道を通ってここに行くんじゃよ」と仕向けたんだ。

スマホで見つけた文章だって、ぼんやりネットサーフィンをしているようで「このページに行って、次はこっちのボタン押して、はい到着!」という具合。読みかけの本にその言葉が出てくるのも神様の仕業。

こうしてみよう、となんとなく決めたとき、神様がぽんぽんと私の肩を叩いて「こっちがいいよ」と導いてくれたということ。

ふと気になって手にしたものは、神様が「ほら、これがいいよ」と目の前に差し出してくれたもの。

 

見るもの、出会うもの、聞くもの、読むもの、そのタイミングさえも自分の意思を超えた神様の采配だとしたら、もう毎日がおみくじだ。私は動くおみくじだ。

神様はきっといい人(人?)なので、悪いようにはしないはず。
目の前に現れることは全て意味があると思って楽しめばいい。
悪いことが起こったように思えても、それは結局いいことに繋がったり、最低最悪のことを避けるための警告だったり。

ああ、もうとっても前向きな人になれそうだ。

 

そういえば、この間、某大型中古書店で目星をつけていた本を目の前で他の人に買われてしまったんだった。
だだっ広い店内に何百万点もある商品の中からよりによってその本。お客さんもほとんどいない時間帯なのに。しかも上下巻の上巻だけ。
最初に見たときにはあったのに、時間をおいて戻ったら、その1冊を手にしたおじさんがレジに向かうところだった。

ねぇ神様、あの本は読むなということ?
あんたにはまだ無理だよ、ということ?
あ、あのおじさん、神様じゃないよね!?

 

***

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2017-10-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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